Hub&Spokeの作り方〜理想的なソーシャルメディア運用組織

福田浩至 | 2011/10/04

Hub&Spokeの作り方〜理想的なソーシャルメディア運用組織

総務省の平成23年版 情報通信白書によると、13歳以上の携帯電話を所有する人の過半数はソーシャルメディアを使っていると答えています。10歳台では実に約80%が利用経験があります。また、「ソーシャルメディアを利用して実現できたことは何ですか?」の問に対して、実に84%の人が「知りたい情報が得られた」と答えています。つまり、これから成人する人の大多数にとって、ソーシャルメディアを通じて対話することに抵抗がないうえに、情報収集するための拠り所となっていることが分かります。当然、企業においても、顧客・取引先・社員などとの無視できない重要な接点と捉える必要があります。既に、数多くの企業でソーシャルメディアの重要性を理解され、運用が開始されています。しかし、何の取り決めもなく、現場主導で運営が開始され、組織全体として一貫性のある運用ができず、次のような弊害の発生を例も耳にします。

 

・社長がTwitterアカウントを開設して、顧客との対話を始めたのは良いが、勝手に約束をして現場が混乱した

・思いつきで始めたFacebookアカウントが、開設以来放置されっぱなしになっている

・上司が知らないところで、社員がブログを開設し、炎上事件を起こしてしまった

 

これらは、企業のブランドを傷つけるとともに、ソーシャルメディアの運用を試みようとする折角の機運を、衰退させることにもなります。

企業でソーシャルメディア・アカウントを運用するのであれば、出来る限り効果的に、しかもリスクを最小化するための努力をしなければなりません。図は、大企業のソーシャルメディア運営体制を類型化したものです。

表中、多くのC(生活者)向け大企業では、「Multiple Hub and Spoke:チームのHUB化」の体制を志向することが現実的です。(詳細は、「どうすればいい?大企業のソーシャルメディア運営」を参考ください。)

その組織を実現するためのマイルストーンとして、「Coordinated:チーム同士の協調」を目指すことになります。


下図は、パターン3(チーム同士の協調)体制を構築するためのステップを示しています。啓蒙期、設計期、運用期の3つのフェーズで組織を成熟させてゆくことが考えられます。それぞれのフェーズで実施するタスクと実現するチームを説明します。


① 啓蒙期:ソーシャルメディア活用が必要と信じる有志が主体となり「有志チーム」を編成し、その必要性を経営者や幹部社員に認識させる時期です。イノベーションの普及学(Everett M. Rogers)でアーリーアダプターと表現される「新しいサービス・価値観を自発的に受入、活用する人」が自発的にその役割を担います。経営者に問題意識がある場合には、経営者が任命した特命チームが、編成されることもあります。この時期には、主に次のことを実践します。

・企業理念や事業戦略に則って、ソーシャルメディアの活用目的を定義する。

・②設計期に中心的に ・企業のリスクポイントを整理して、運用を本格的に開始するまでの、ルール策定のポイントや教育計画を策定する。

 

② 設計期:企業トップがソーシャルメディア活用を宣言し、組織全体にオーソライズ(認証)された「標準化チーム」が、企業の基本的なガイドライン(ソーシャルメディア・ポリシー)を策定してゆきます。「標準化チーム」には、従来の顧客接点である顧客サポート部門や規約などの法的な合理性を評価できる法務部門、社員の勤怠制度などへの影響を考慮できる人事・労務部門等からもメンバーを選任しましょう。 ③運用期には、ソーシャルメディアを運用するチームが困った問題に直面した際の、相談窓口にもなるでしょう。また、ガイドラインは、ソーシャルメディア運用チームだけでなく、組織に関与するステークホルダーのそれそれの立場を鑑みて個別のアウトプットを準備しましょう。冒頭に述べたように、社員も顧客も取引先もソーシャルメディアを活用しています。どのような使い方を歓迎して、どのような使い方を禁止・自粛してもらうのかを明示してゆきましょう。

 

③ 運用期:現場部門が実際に運用を開始する時期です。運用チームでは、現場の責任者(コミュニティ・マネジャー)を決めておく必要があります。コミュニティ・マネジャーは、現場での最終判断を担いますが、問題が発生したときの標準化チームへの相談窓口にもなります。運用は、②設計期に策定したソーシャルメディア・ポリシーに則り、運用チーム向けのガイドラインを策定した上で、開始しましょう。運用チーム向けのガイドラインには、トーン&マナー等の対話方針やソーシャルメディア固有機能の使い方等の投稿ルールだけでなく、トラブル発生時のエスカレーションフローや標準化チームと運用実績を共有するルールなども策定しておきます。

 

次回から、それぞれの時期について、具体的に事例などをおりまぜて、ご紹介したいと思います。少しでも皆さまの組織で役立てていただけることがあれば、励みになります。忌憚ないご意見をお待ちしています。

COMMENT

1 件のフィードバック

  1. pot_au_feu より:

    Hub&Spokeの作り方〜理想的なソーシャルメディア運用組織 [ITL] http://t.co/kxssnG2O

AUTHOR PROFILE

  • 著者:福田浩至

ループス・コミュニケーションズ副社長。

企業がソーシャルメディアを運用する際のリスクマネジメントが専門分野(安全に・効果的に運用するための組織構築やガイドライン策定などのサービスを担当しています)。

趣味は「ドカ食い」です。バランスを取るために、ときどき「ジョギング」をしていますが、なかなか均衡がとれません。

  • facebook
記事の一覧を見る

ARCHIVES