DeNAの好業績を牽引する「怪盗ロワイヤル」の舞台裏(DeNA大塚氏インタビュー)-前編

岡村健右(おかむらけんすけ) | 2010/08/05

DeNAの好業績を牽引する「怪盗ロワイヤル」の舞台裏(DeNA大塚氏インタビュー)-前編

毎度おなじみの突撃インタビューコーナーですが、今回はDeNAの好業績を牽引している怪盗ロワイヤルを開発したDeNA大塚さんへのインタビューです。怪盗ロワイヤルはCMもバンバン流れていますが、今は戸田恵梨香さんが出演している「盗んで、よろしい。(ゲームなら)」というCMが印象的ですね。1時間くらいのインタビューでしたがボリュームが大きかったため前後編に分けています。前編では怪盗ロワイヤルを立ち上げた経緯を中心に、後編ではソーシャルアプリで注目すべき指標、Facebook版怪盗ロワイヤル(Bandit Nation)がなぜ終了するのか、Android版はどうなるのか、など盛りだくさんの内容となっています。

大塚 剛司氏 プロフィール:

2005年に東京大学を卒業後、事業家を目指してDeNAに新卒入社。当初は営業企画として活躍するが、ビジネスとシステムの両方を理解してサービスを提供できるようになることを目指し、エンジニアに転向。同社の最初のソーシャルゲームである「怪盗ロワイヤル」の企画・開発を全て担当した。現在はプラットフォーム統括部長として活躍中

 

 

怪盗ロワイヤルを立ち上げた経緯

怪盗ロワイヤルは去年の5月の末くらいから開始したプロジェクトです。その当時DeNAではまだソーシャルアプリをやっていませんでしたが、Facebookや競合他社がうまくいっているのもあり、うちでもやるべきだろうという動きになりました。その当時は私は全然違う事業をしていたんですが、その事業もあんまりうまくいっていなくて、じゃあ大塚それやめてこれやれということになりました。当時ソーシャルゲームのチームとして10人も満たないくらいの規模から始めました。その中で僕の役割としてはゲームをひとつ考えて作ることと、同時並行で3,4本作成するゲームのマネージメントをするということになりました。

 

1週間で企画

5月末から企画が始まりましたが、そもそもソーシャルゲームって何だろうということになり、数あるソーシャルゲームを遊び倒して、自分が何を面白いと感じるかというポイントで研究し始めました。最初は案を2,30個くらい出し、その中で2,3個筋のよさそうなものをピックアップし、そこからさらに深堀し、怪盗ロワイヤルの原型が出てきました。方向性は決め、設計(ゲーム構造)にはじっくり2,3週間くらいとりました。当時の企画書を見ると今とは結構、原型が違っていましたね(笑)。例えば手下と経験値と強さというパラメータの関係でどういう風にユーザーが動くだろうというシミュレーションをしたり、これだったらインフレ起こしてしまうとか、逆に難しすぎてつまんなくなってしまうんじゃないかという点を企画上でブラッシュアップしていきました。

■開発スケジュール

・企画 1週間
・設計 2、3週間
・開発 1ヶ月

企画段階では面白さは分かってもらえず

企画書の段階ではたいがい誰に聞いても「よくわからん」「面白くなさそう」「うーんどうかな」と言われました。今考えるともう一度あの企画書を突き付けてどうだと言ってみたいんですが(笑)。頭の中では絶対に面白くなるとは思っていましたが、やはり形にしてみないと分からないだろうなということも感じていました。今回のプロジェクトはCOOの守安直下のプロジェクトだったんですが「自分で面白いと思うんだったら作ってみろ」とゴーサインがでました。

COO守安さんがここで登場。プロジェクトXみたいですね!

とにかく作ってみて形にして8月頭くらいから社内に見せ始めました。そこで「面白い」「分からない」「つまらない」とか言われました。その中で「つまらない」にもいろいろ理由がありますが、ソーシャルゲームは人がいないと面白くないという側面があります。またパラメータ等のゲームバランスが最初から最適ということは不可能に近いので、そこのゲームバランスがおかしくてつまらないと言っているのか、ゲームがわかりづらくてつまんないと言っているのか、そもそも本質的にお宝集めがつまんないとか、バトル自体が受け付けないのかということを切り分ける必要があります。最初のほうの理由はゲームの中では本質的な話ではないのでチューニングすればよいだけで、バトルがしっくりこないというようなところは本質的な部分なのでどうしてだろうと考えて真剣にブラッシュアップを続けました。

やっぱり企画書だけだとわからない

ソーシャルアプリはやっぱり形にしてみないとわからないという印象がありますね。私も最近は立場が変わって3月末まではゲームプロバイダの立場で作る側にいましたが、今はプラットフォーマーとしてSAP(ソーシャルアプリプロバイダ)さんのゲームを集めて運営する立場にいます。今300位モバゲーにタイトルが出ていて企画書も週に何枚も企画書に目を通しますが、企画書ではよく分らなくても実際に出来たものを見みると面白かったり、企画書レベルで判断するのはなかなか難しい世界だなと感じています。 企画書から形に落とすプロセスをうまく消化できれば必ずこのプロセスでいろいろ企画書ではつまんないと言われても仕方がないかと思います(笑)とにかくおもしろいと思うのだったら進んだほうがよいと。そして形に落としてみればよいと思います。

課金スタート。寿司屋でひとりで乾杯

8月頭くらいに社内に公開して分かりづらいという意見が一番多かったです。最後の2,3週間でいかに分かりやすくするかを考えてチュートリアルを作りました。チュートリアル担当をじいやにしたのも老人には優しくするだろうと思ったのですが、モバゲーユーザーはそうでもなくて「じじい引退しろ」みたいな結構きつい突っ込みがありました。そして9/25から約10日間くらいクローズドβを実施し、10/7に一般公開になりました。寿司屋でひとりで乾杯したのは課金スタートの時です。しかしあのころは本当にふらふらでした。ユーザーが待ち構えていたのもありましたが課金をスタートさせた時にスナップショットを打つたびに数字がどんどん上がっていったのでシステムのエラーだったらどうしようと思いましたが、実際につき合わせをしてみて問題なかったので安心しました(笑)そして外にふらふらっと出て行ってお寿司を食べました。

■リリーススケジュール

8月上旬 社内公開
9/25   クローズドβ開始
10/7   一般公開

インフラについて

—インフラ周りについて教えてください

インフラに関してはPV数、UU数を参考にしています。モバゲータウンの9月170億PVだったものが12月末の
時点では2倍の380億PV。今では700億PVを超えるようになりました。前の新規事業では10万PV/日くらいしか経験していなかったので完全オープンの初日が一番ドキドキしました。半信半疑でしたがオープン後PVも目標の倍以上を記録しほっと一安心しました。

 

課金アイテムを出す際の3つの注意点

—課金アイテムを出す際の注意点は?

課金アイテムを出す際の注意点としては3つあります。まずゲームバランスが崩れてしまうもの。例えばワナが流通しすぎて全体の勝率が落ちてしまってなかなかバトルで勝てなくなってしまうことがないようにしないといけないです。また非課金ユーザーのモチベーションを下げてしまわないようにしなければいけません。悪い情報は伝播するのも早いですし(笑)また課金ユーザーのモチベーションも考える必要があります。絶対無敵の金庫を出したとすると、今まで味わえたハラハラ、ドキドキ感がなくなってしまうので一概に売れればいいというものではないです。ですので実際に販売してだめなものはすぐに販売中止にしたりしました。評判は主に公式サークル、サークル、日記、Twitter等でチェックしています。

・ゲームバランスが崩れないようにする
・非課金ユーザーのモチベーションを下げないようにする
・課金ユーザーのハラハラ、ドキドキ感をなくさないようにする

後編につづく

後編ではソーシャルアプリで注目すべき指標、Facebook版怪盗ロワイヤル(Bandit Nation)がなぜ終了するのか、Android版はどうなるのか、など盛りだくさんの内容となっています。

———————————後編につづく

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AUTHOR PROFILE

  • 著者:岡村健右(おかむらけんすけ)

ソーシャルメディアコンサルタント

グループウェア「LotusNotes」のシステムエンジニア(データベース開発/システム運用)を経て、米国製CRM/CMSパッケージの国内販売立ち上げ事業にてマーケティング、セールスエンジニアを経験後、ループス・コミュニケーションズにて社内SNS、コミュニティ立ち上げ事業の営業、コンサルティングに従事。

専門分野は社内ソーシャルネットワーク(社内SNS)、ゲーミフィケーション。

著書「ゲームの力が会社を変える -ゲーミフィケーションを仕事に活かす-(日本実業出版社)」

共著「ソーシャルメディアダイナミクス(毎日コミュニケーションズ)」「ゲーム産業白書Decade(メディアクリエイト)」

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