お金で社員のやる気は生まれない?

岡村健右(おかむらけんすけ) | 2013/02/13

Looops岡村(健)です。先週のNHK Eテレ「スーパープレゼンテーション」はなんとダニエルピンク!実は僕が一番人生で影響を受けたのはダニエルピンクの著書「ハイコンセプト」なんです。そのダニエルピンクによる、今回のスーパープレゼンテーションは「報酬が人を動かすのではなく内発的な動機が人を動かすのだ」というテーマでした。ちょうど社員のやる気を引き出すというテーマでブログを書こうと思っていた矢先にダニエルピンク、僕が知りたいテーマを取り上げてくれるなんてやっぱりいい人や(笑) 

 

 

スーパープレゼンテーション 2.4 ON AIR

Daniel Pink ダニエル・ピンク

The puzzle of motivation「やる気の謎解き」

http://www.nhk.or.jp/superpresentation/backnumber/130204.html

 

Those if-then rewards often destroy creativity.
成功報酬はしばしば創造性を潰す。

 

サム・グラックスバーグという科学者がロウソクの問題を使って行った実験を紹介しています。

 「テーブルにロウがたれないようにロウソクを壁に取り付けてください」という問題です。

 

 

2つのグループに同じ問題を出し、一方のグループにはこの問題を解くのにどれくらいの時間がかかるのか平均時間を知りたいのだと伝えます。もうひとつのグループには「上位25%の人には5$を渡します、1番の人には20$」という報酬を渡すと伝えます。

 

普通に考えると報酬があるほうが早いんじゃないの?と思うでしょうが結果は報酬があるほうが平均よりも3分半長くかかったのです。

 

一方、よく似た別の問題も行いました。

 

 

この問題だと答えがすぐに分かりますよね。そうです箱を画鋲で止めて箱の上にロウソクを乗せるのです。

 

 

先ほどと同じ条件のグループで実施したところ、報酬があるほうが断然勝ちました。

箱に画びょうが入っていないだけで問題は簡単になるからです。ダニエルピンクは報酬が視野を狭め、心を集中させてしまうと説明しています。報酬が機能する場合が多いのはそのような場合で、視野を広げる必要がある場合には報酬はマイナスに働いてしまうのです。

 

ルーチンワークや言われたことだけをやる仕事であれば報酬が機能しますが、昨今求められいるクリエイティブ的な能力では報酬が機能しないのです。むしろ阻害するのです。

 

The secret to high performance isn’t rewards and punishments but that unseen intrinsic drive – the drive to do things for their own sake, the drive to do things ‘cause they matter.
アメとムチではなく、内発的な動機が いい仕事をさせる秘けつである。やりたいから、やることに意味があるから、という気持ちだ。

 

20世紀には報酬を与えれば機能する仕事が多かったかもしれませんが、21世紀に必要とされているクリエイティブな仕事では報酬ではなく内発的な動機(モチベーション)が必要になるのです。今までのビジネスの当たり前が通用しないのです。

 

では実際にどのような動機づけを行っているのでしょうか。ダニエルピンクは次の3点を説いています。

 

AUTONOMY(自主性。自分の人生は自分で決めたいという欲求)

MASTERY(成長。何か大切なことについて上達したいという欲求)

PURPOSE(目的。私たち自身よりも大きな何かのためにやりたいという欲求)

 

その中でも自主性を持たせる方法を説明しています。

 

オーストラリアのソフトウェア会社であるAtlassianでは1年に何回か「24時間なにをやってもいい。普段の仕事の一部であれば何でもいい。何でも好きなことをやれ」と言います。エンジニアはこの時間を使って自分が興味を持っていた好きなプログラムを組みます。そしてその日の終わりには、全員参加の会合があって、何を作ったか見せ合うのです。多数のソフトウェアの修正はこの活動なしにはなしえなかったでしょう。これがうまくいったので次のレベルへと進み「20パーセントの時間」を始めました。Googleがやっていることで有名ですよね。エンジニアは仕事時間の20%の時間、タスク、チーム、使う技術、すべてに自主性が認められます。Googleでは新製品の半分近くがこの20パーセントの時間から生まれています。Gmail、Orkut、Google Newsがそうです。

 

日本でも最近、流行りはじめているハッカソンですね。技術者だけじゃなく社内全体で「会社を良くする」というテーマで丸1日使ってこういうことするのもいいですよね。

写真で見る,“噂”の「Googleハッカソン」

 

「完全結果思考の職場環境」と呼ばれるものがあります。ROWE (Results Only Work Environment)。アメリカのコンサルタントたちにより考案され、実施している会社が北アメリカに10社ばかりあります。ROWEでは、人々にはスケジュールがありません。好きなときに出社できます、特定の時間に会社にいなきゃいけないということがありません。全然行かなくてもかまいません。ただ仕事を成し遂げれば良いのです。どのようにやろうと、いつやろうと、どこでやろうとかまわないのです。そのような環境ではミーティングはオプショナルです。

 

どんな結果になるのでしょう? ほとんどの場合、生産性は上がり、雇用期間は長くなり、社員満足度は上がり、離職率は下がります。自主性、成長、目的は、物事をする新しいやり方の構成要素なのです。

 

これらの例を見てもそうですが報酬ではなく内発的な動機(自主性)を喚起することでやる気を引き出すことができるのです。

 

まとめると

 

・クリエイティブな考える能力が必要な仕事(タスク)には報酬は向かない。

・クリエイティブな考える能力が必要な仕事(タスク)には「自主性」「成長」「目的」といった内発的な動機を喚起する

・自主性を満たす動機付けを行わせるようにする。

 

ということになります。

 

社員にやる気を引き出させる方法のヒントになりましたでしょうか。実は私もここまでクリエイティブに報酬がマイナスに作用するとは思っていませんでした。クックパッドと楽天レシピの例で金銭的な報酬よりも内発的な動機づけのほうが継続するとは思っていましたが、今回のダニエルピンクの話でより理解が深まりました。

 

楽天レシピはなぜクックパッドに勝てないのか?

  

20世紀型のアメとムチではなく、21世紀型の動機づけは「自主性」「成長」「目的」といった内発的動機づけこそ重要になります。社員のやる気を引き出すためには内発的動機づけを喚起させるような施策を考えるようにしましょう。

 


余談ですが6,7年前くらいにビジネス書を読み漁っていたのですが(実はこう見えてビジネススクールにも通ってました)ダニエルピンクのこの本を読んで生き方が変わりました。うん、懐かしいなあ。 

  



COMMENT

2 件のフィードバック

  1. SasakiTakahiro より:

    報酬ではなく内発的な動機(自主性)を喚起することでやる気を引き出すことができる。

  2. nanoha3 より:

    その実験と実務はかなり遠いけどな

AUTHOR PROFILE

  • 著者:岡村健右(おかむらけんすけ)

ソーシャルメディアコンサルタント

グループウェア「LotusNotes」のシステムエンジニア(データベース開発/システム運用)を経て、米国製CRM/CMSパッケージの国内販売立ち上げ事業にてマーケティング、セールスエンジニアを経験後、ループス・コミュニケーションズにて社内SNS、コミュニティ立ち上げ事業の営業、コンサルティングに従事。

専門分野は社内ソーシャルネットワーク(社内SNS)、ゲーミフィケーション。

著書「ゲームの力が会社を変える -ゲーミフィケーションを仕事に活かす-(日本実業出版社)」

共著「ソーシャルメディアダイナミクス(毎日コミュニケーションズ)」「ゲーム産業白書Decade(メディアクリエイト)」

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