ソーシャルメディア時代のインナーブランディングに必要な3つのポイント

岡村健右(おかむらけんすけ) | 2013/09/26

ソーシャルメディア時代のインナーブランディングに必要な3つのポイント

Twitter、Facebook などのソーシャルメディアが普及した結果、一般ユーザーの情報発信力が高まりました。企業に当てはめてみると、社長や広報窓口よりも一般社員の情報発信力が高まっています。就職情報を例に取っても企業側が発信した情報よりも就活クチコミサイトの情報を就職・転職活動者は参考にしています。ではこの社員の情報発信力を企業が生かすことはできないのでしょうか。一つの方法としてインナーブランディングの強化を挙げます。

 

なぜインナーブランディングが社員の情報発信力につながるの?と思われるかもしれません。インナーブランディングにより社員にこの会社はいい会社だなあ、働きやすいなあ、と思ってもらわなければ、社員による外への良い情報発信にはつながらないからです。

 

たとえば企業が社員に対してソーシャルメディア上でいい情報を発信してくださいと建前だけでいったとします。業務命令だからなあと思いながら社員が発信した情報を社員の友達が信じるでしょうか。また匿名で2ちゃんねるやTwitterなどで「うちの会社からソーシャル上でいいこと言えって言われてるんだよね」とつぶやかれてしまうとすべてが台無しになってしまいます。

 

真摯にインナーブランディングをおこなう事で本当に社員に会社のことを良い会社だと感じてもらい、ソーシャルメディア上に情報発信をしてもらうことで、社員の友達から「あの人の会社って楽しそうで、みんながやる気にあふれているよね」と思ってもらうことができるのです。それではどのようなインナーブランディング施策をすればよいのでしょうか。

 

会社のことを話したくなるものを用意する

WEBサービス事業を行っているボヤージュグループでは社内運動会や新卒採用で宝探しゲームなどのおもしろい施策をいろいろと取り入れています。その中で、とても個性的な会議室フロアがあります。海賊の根城をモチーフにした楽しく、ワクワクする会議室フロアになっています。ボヤージュグループでは社員に会社のことを外部の人に話したくなるようなものを作りたいという思いでこの会議室フロアを立ち上げました。

 

立ち上げの際も有志のプロジェクトを作り、形に残る部分を決めてもらうようにしました。このようにすることで社員の自分ごとになり、会社に参画しているという気持ちが強くなりました。会議室の名前をどういうテーマにするのか?大陸の名前や、海の名前、星座の名前などの候補が挙がり、最終的に大陸の名前になりました。さらにAJITOと呼ばれるBARも用意されており、社内の懇親会や外部のセミナーでも利用され、アルコールを飲む部屋も用意されています。

 

社員が自発的に活動する場を用意する

オーストラリアのソフトウエア会社である Atlassian では一年に何回か「二四時間何をやってもいい。普段の仕事の一部であれば何でもいい。何でも好きなことをやれ」といっています。エンジニアはこの時間を使って自分が興味を持っていた好きなプログラムを組みます。そしてその日の終わりには、全員参加の会合があって、何を作ったか見せ合います。自主的に、社内で利用されているソフトウエアを修正させるのです。多数のソフトウエアの修正はこの活動なしには成し得なかったでしょう。これがうまくいったので次のレベルへと進み「二〇%の時間」を始めました。Google が実施していることで有名な20%の時間です(※)。Googleでは新製品の半分近くがこの20%の時間から生まれています。Gmail、Googleニュースもこの中から生まれました。

 

モバイルコンテンツ事業を提供しているモバイルファクトリー社も同様のことを行っています。WEB技術者が中心の会社ですが、一日に一時間は必ず社員が自主的に勉強会やコードレビューを実施にしています。開発、デザイナーはもちろんのこと経理やマーケティング、労務の勉強会も行われています。社員自らが勉強会 を主催することで、主催した社員は自分のやっている仕事を振り返り、棚卸しをすることができますし、ほかの社員は主催した社員がどのような仕事をしているかがわかり、また勉強会を通じて新しい気付きも得られると思います。

 

ソーシャルメディアを正しく活用する

これらのインナーブランディングの施策を行うことで社員が自分の会社を楽しく、良い会社であるということを感じ始めれば、自然とソーシャルメディア上でも会社の紹介をしてくれるようになるかもしれません。しかし、ソーシャルメディアの利用を正しく活用できなければせっかくのインナーブランディングの効果も半減してしまいます。

 

企業としてはFacebookやTwitterなどの公式アカウントでインナーブランディング施策をアピールする方法があります。JALやANAのFacebookページでは社員が顔、名前を出し、業務内容や社内の出来事を紹介しています。こうすることで顧客やパートナー会社に良い会社だと思ってもらえるようになります。さらには社員や社員の家族にこういうすばらしい会社で働いているんだ、ということもアピールできます。新卒や転職活動者へのアピールにもなります。

 

また社員にもソーシャルメディアの利用を推奨しましょう。ソーシャルメディアの利用制限をかけることはもってのほかです。もちろん会社の宣伝ばかりにならないようにはしなければいけません。正しい活用方法を社内で推奨しましょう。

 

このように社員をやる気にさせるインナーブランディングを実施し、ソーシャルメディア上で紹介することで会社のブランド、人事面といったアウターブランディングにつなげ、社員、社員の家族にすばらしい会社であると思ってもらうことで定着率の向上にもつながるかもしれません。

 

※ Google には、20%の時間は自分の好きなことを自由にやっていてもよい、という 「20%ルール」がある。 

 


※本内容は月刊総務9月号掲載された岡村健右本人執筆分からの転載です。

 

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1 件のフィードバック

  1. soanblog より:

    Twitter、Facebook などのソーシャルメディアが普及した結果、一般ユーザーの情報発信力が高まりました。企業に当てはめてみると、社長や広報窓口よりも一般社員の情報発信力が高まっています。就職情報を例に取っても企 v

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  • 著者:岡村健右(おかむらけんすけ)

ソーシャルメディアコンサルタント

グループウェア「LotusNotes」のシステムエンジニア(データベース開発/システム運用)を経て、米国製CRM/CMSパッケージの国内販売立ち上げ事業にてマーケティング、セールスエンジニアを経験後、ループス・コミュニケーションズにて社内SNS、コミュニティ立ち上げ事業の営業、コンサルティングに従事。

専門分野は社内ソーシャルネットワーク(社内SNS)、ゲーミフィケーション。

著書「ゲームの力が会社を変える -ゲーミフィケーションを仕事に活かす-(日本実業出版社)」

共著「ソーシャルメディアダイナミクス(毎日コミュニケーションズ)」「ゲーム産業白書Decade(メディアクリエイト)」

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