経常利益率57%を誇る驚異の高収益体質。GREEの複合型ビジネスモデルを探る

斉藤徹 | 2009/04/24

経常利益率57%を誇る驚異の高収益体質。GREEの複合型ビジネスモデルを探る

去る4月13日,GREEは業績の上方修正を発表した。
この不況下において,1月16日に続き,わずか3ヶ月後に今期2回目という異例のものだ。

21年6月通期の見通しとしては以下の通りだ。
・売上高は,99億円 → 112億円 (1/16) → 128億円 (4/10)
・経常利益は,59億円 → 65億円 (1/16) → 73億円 (4/10)

上方修正の理由としては,「GREE」の会員数の伸びに加え、会員当たりの収入が上昇し、広告メディア収入及び有料課金収入がいずれも堅調に推移していることをあげている。ケータイ系SNSは「出会い系サイト規正法」「有害サイト規正法」強化等により伸び悩んでおり,ライバルであるモバゲータウン(DeNA)は昨年10月に初の業績下方修正をした。それだけに GREE の絶好調さはこの上方修正で際立つ格好となった。

では,このGREEの好調さを支える複合型ビジネスモデルを詳しく見てみよう。

まず,MixiなどのSNSと比較して際立つのは,無料ゲームというキラーコンテンツを持っていることだ。ゲームは,初期集客の誘引となるとともに,ゲームアイテムやアバターなどで有料化のツールとなっていることがわかる。つまり,SNSは広告メディア収入,ゲームは有料課金収入のドライバーになっているのだ。当然ながらGREEのゲームはユーザー参加型である。SNSで膨大な会員を持っているからこその深みが,他社とのゲーム・コンテンツの差別化要因になっている。美しい相乗効果だ。

Gree2

ではGREEのそれぞれの収入源を簡単にまとめてみよう。

■一般広告収入
広告代理店を通じて販売しているインターネット広告枠の売上。バナー広告や機能と広告コンテンツを連動させたタイアップ型企画広告の制作・販売がある。またコミュニティ企画運営受託による収入もあるようだ。

■成果報酬型広告収入(アフィリエイト)
GREEを通じてコマースサイトに送客し,そこで発生したコマース売上から成果報酬として収入を得ている。

■有料会員売上
ストレージ拡張などの追加機能を持つ有料会員サービス。携帯ユーザー向け「GREEプラス(月額:300円)」およびPCユーザー向け「GREEプレミアム(月額:300円)」がある。

■コンテンツ売上
携帯ユーザー向け「きせかえプレミアム(価格:500円~5,000円)」でプロフ素材(プロフィールページの背景全体を好みのデザインに装飾できる素材や機能)をデジタルコンテンツとして販売している。

Gree

なお,ユーザーは,(1)成果報酬型広告(アフィリエイト)への登録,(2)有料サービスへの登録,(3)GREEへの友達招待によりサイト内通貨である「ゴールド」を獲得できる。この「ゴールド」は換金性のあるものではなく,GREEアバター及びSNS連動型ゲームの各種アイテム等と交換するためのサイト内仮想通貨である。

特に注目すべきは,この「ゴールド」活用方法である。アバターやゲームアイテムは「ゴールド」交換のみで入手可能であり,ユーザーの強い「ゴールド」ニーズが,成果報酬型広告,有料サービス,ユーザー数拡大に大きな役割を担っている点だ。

これはリアルビジネスにおける「ポイント」活用と同様だ。直接的な金銭メリット以外に,ユーザーの行動を「ポイント」を使って誘導する手法である。

ソーシャルメディアでは,
・アフィリエイト広告への参加
・有料会員の登録
・友人の招待
・商品の購入
・サイトの充実(コンテンツ投稿,レビュー投稿,コミュニティ開設等)
・他のユーザーの評価(ランキング上位者,評価の高い回答等)
・アンケート(投稿,回答等)

これらのユーザーアクションに対して,金銭価値を計算し,それに相当するポイントを付与することが大切だ。これにより,ユーザー行動をリードすることができ,結果的に収益貢献の重要なドライバーとなる。

またポイントを消費する場が,ユーザーの目に魅力的にうつるか。とても大切な点だ。
・商品割引
・デジタルコンテンツのダウンロード(特にプレミアムものが効果が高い)
・クローズ・サービスへの参加
・ユーザーランキング(ゴールド会員等)
・ユーザー間の直接コンタクト(ビジネスSNSや出会い系が多い)
・複数ユーザーへの告知,広告
・リアルイベントへの招待,リアル店舗での割引
・他社ポイントとの交換

この仮想通貨は,単にネット上だけの活用にとどまらず,リアル店舗への集客にも効果を発揮した事例も出ており,「ポイント活用によるユーザー誘導」は,ネットビシネスにおいてますます重要な収益ファクターとなってきている。

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AUTHOR PROFILE

  • 著者:斉藤徹

株式会社ループス・コミュニケーションズ代表取締役。

 

1985年、慶應義塾大学理工学部を卒業し、日本IBM株式会社入社。1991年2月、株式会社フレックスファームを創業。2005年7月、株式会社ループス・コミュニケーションズを創業し、ソーシャルメディアのビジネス活用に関するコンサルティング事業を幅広く展開。20年を超える起業家としての経験とビジネスに関する知見に基づき、ソーシャルシフトの提唱者として「透明な時代におけるビジネス改革」を企業に提言している。著書に『再起動 リブート』(ダイヤモンド社)『BEソーシャル 社員と顧客に愛される5つのシフト』『ソーシャルシフト これからの企業にとって一番大切なこと』(日本経済新聞出版社)、『新ソーシャルメディア完全読本』(アスキー新書)、『ソーシャルシフト 新しい顧客戦略の教科書』(共著、KADOKAWA)など多数。

 

2016年4月から学習院大学経済学部経営学科の特別客員教授に就任。「起業論」「企業経営とトップマネジメント」「企業経営とソーシャルキャピタル」「インキュベーション塾」の講義を担当する。

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