ソーシャルメディアやスタートアップを中心に、海外の2012年予測記事をピックアップ

斉藤徹 | 2012/01/10

 

2012年はどんな年になるのだろうか? 先月後半から今月前半にかけて、米国の様々なブログメディアが各分野の専門家へのヒアリングに基づき、2012年の予測記事を投稿している。今回は、それらのサマリーを分野ごとに紹介したい。あくまで主観で要約してあるので、気になる記事は、ぜひ原文を確認してほしい。

 

デジタル分野全般についての予測記事

 

New Year Tech Predictions (Mashable)

製品サービス/音声認識/モバイル/手間のかからないシェアリング(Frictionless Sharing)/テレビ/ゲーム/ソーシャルメディア/企業買収という8分野についてサマライズして2012年を予測した記事。特に目についたのは “Frictionless Shareing” として、これからさまざまな行動履歴(音楽視聴、ウェブ閲覧など)のソーシャル共有、それもfrictionless(摩擦のない、つまり手間のかからない)なアクションでの共有が進むであろうことを強調している点。またソーシャルメディアの項目では、FacebookやTwitterのさらなる拡張、Google+のサービス融合の他に、話題のソーシャルサービス、Pinteret が巨大になると予測している。

 

Five big things to watch out for in 2012 (GIGAOM)

英国のデジタルデザインエージェンシーであるFjord社による2012年予測をベースにした記事。5つのポイントを挙げている。

  1. スマートフォンやタブレットなどを持ち込んで仕事をするスタイル BYOD(Bring your own device) の普及で、一般消費者が使い慣れている Dropbox、Evernote、Skype などのアプリがエンタープライズ分野にも進出するだろう。
  2. 時間持ち歩けるウェアラブル技術 − 既存モバイル装置のみならず、スマートウォッチ、デジタルジュエルなど −  がゴールドラッシュとなるだろう。
  3. TVスクリーンを制御するデバイスやプラットフォーム競争、スマートフォンやタブレットによる第二、第三画面の登場などで、リビングルームに革命がおきる。
  4. 銀行やクレジットカード会社から、最もスマートなデジタルウォレットを提供した企業(Google Walletを持つGoogle、P2PペイメントのPaypal、モバイルペイメントのSqueare、NFC技術を使ったモバイルペイメントなど)にパワーがシフトし、Bank2.0の様相を呈する。
  5. 音声認識技術やジェスチャー認識技術が一般化し、ハンズフリー、アイフリーなユーザーインターフェースが普及しはじめる。

なお、記事元となったFjord社のスライドシェアはこちらだ。

 

Fjord digital trends 2012

View more presentations from Fjord

 

ソーシャルメディアについての予測記事

 

7 Social Media Predictions for 2012 (Mashable)

Facebookの成長は落着くが、シェアされる情報量は年2倍のペースで伸びるだろう。またFacebookとTwitterといったトップ層に加え、第二階層のソーシャルメディアが急成長するだろう。2011年に急成長をはじめたPinterestやTumblrに加え、2012年はInstagram、Quora、Pathなどがよりパーソナライズされた顧客体験を提供し、利用者を急増させるだろう。それ以外にもページビューに変わる指標、セレブリティのスタートアップ投資、ソーシャルメディアのセキュリティ、ソーシャルコマースなどについて言及している。

 

What 2012 Holds for Facebook (The Next Web)

Facebookの2012年に関する予測記事その1。

  1. 時価総額1000億ドルとも言われるIPOで、数千人のミリオネアが生まれるだろう。
  2. アクティブ会員数は10億人に達し、各国の事情にあわせてローカライズをはじめるだろう。
  3. 規制されている中国進出については戦略をたてるだろうが、どうなるか予測はつきにくい。
  4. Facebook連携によるウェブのソーシャル化や、ウェブ上の行動履歴の集約化により、Facebookはインターネットの中心的存在となるだろう。
  5. インドなど成長ポテンシャルの高い国のユーザーにとってモバイルはPCより重要であり、Facebookもモバイルに力点をおくだろう。

 Pathの買収の可能性、モバイルにおけるゲームプラットフォーム参入の可能性も示唆している。

 

Facebook 2012: What the Future Holds for the Social Media Powerhouse (Mashable)

 Facebookの2012年に関する予測記事その2。前記事と被らず注目すべき点を3つほどあげたい。

  1. Facebookはモバイル分野でAppleと、Facebook Creditsベースのコマース分野でAmazonやeBayと、広告を主たる収入源としているGoogleとは全局面で争うことになるだろう。
  2. Facebookは3つの機能(Gestures, Subscribe, Ticker)を強化し、検索ロジックからソーシャルリコメンデーションへ、サーチエンジンからディスカバリーエンジンへ、そして究極のキュレーターメディアになろうとしている。
  3. FacebookはTimelineという人々のストーリーテリングを提供することで、シェアの文化をさらに根付かせようとしている。昨年度のGowalla買収で場所の共有がさらに進化するかも知れない。

 

Facebook In 2012 From A Commerce Perspective  (All Facebook)

 Facebookコマースの主要ソリューションプロバイダーであるMilyoni社による予測に基づく記事。そのためコマース関係は強調されている可能性があるので注意したい。

  1. Facebook Creditsの消費は、2011年で160億(セント相当)、2012年には400億に増加する見込み。特にメジャーブランドがプロモーションで利用するだろう。
  2. Facebook Creditsは、メディアを中心にイベントやスポーツのライブ配信にも積極的に使われるだろう。
  3. Facebookのプライバシー問題は、ファンへのダイレクトメッセージ配信やスポンサー記事のニュースフィード化などでより深刻になるだろう。
  4. Google+との間でソーシャルアプリ・プロバイダーなどの買収競争がはじまるだろう。
  5. Facebook広告やFacebook Creditsの成長で(Facebookの売上は)2012年には前年比5倍の150億ドルになるだろう。
  6. 非公式なFacebookページが増えるため、ユーザーはよりしっかりした認証を求めるだろう。

 

スタートアップについての予測記事

 

5 Startup Trend For 2012 (The Next Web)

2012年のトレンドを予測するスタートアップ特集記事その1

  1. ニッチでモバイルメイン、マーケッターが興味を持ちそうなオピニオン・グラフ独占の争いがはじめる。
    (事例) Oink / Amen
  2. 顧客体験のマーケットプレース、特に短期宿泊、ガイドや教師スキルなどを売り買いできるサービスが次々と出てきている。
    (事例) Germany’s Gidsy / Vayable / Side Tour / Blink Collective / MyGuide 
  3. さらに一歩すすめて、P2P(個人間)の労働売買のマーケットプレースもさかんになりはじめた。
    (事例) Taskrabbit / Viatask 
  4.  タクシー市場を狙う、さまざまなタイプのサービスがではじめた
    (事例) Uber / MyTaxi / Hailo / Kabbee
  5. スマートフォンと連動するスマートデバイス、特にヘルスケアやフィットネス領域が活発になりそうだ
    (事例) Jawbone UP / Wakemate / soccer boots from Adidas

 

Startup Trends for 2012 (Business Insider)

これからサイトは「何が一番好きか」をいかに手間をかけない(frictionless)で記録するかが重要となる。過去を見ると、Blogger => Yelp => Facebook/Twitter => Tumblr => Foursquare => Path と、より簡単なアクションで記録できるようになった。ストリームベース(文章など)からオーガナイズドフォーム(ボタンなど)へ。これはさまざまな分野、Q&Aニュース(Qoura)、コマース(Feb)、ソーシャルメディア(Spotify)などにも適用されている。昨年 Pinterestはトラフィックが40倍になったが、これはまさにその典型で、これから同様に数クリックで好きなものを登録(ブックマーク)できるサービスが注目されるだろう。またもう一つのトレンドがある。ピープル・セントリック(人をフォロー)からトピック・セントリック(興味をフォロー)へ。そのため、これからはインタレストグラフがより重要になるだろう。またリアルタイムで消えてしまうストリーム情報(フロー型)から、より系統だって整理される方向(ストック型)にサービスは移行していくだろう。

 

6 Startups to Watch in 2012 (Mashable)

2011年の実績や勢いに基づき、Mashableが選出した6つのスタートアップの紹介記事。

 

  1. Skillshare
    オフライン教室のためのオンラインマーケット。創業1ヶ月で投稿した教師は100人程度だったが、 8ヶ月後には数千人の教師が15000時間の教育を提供するまでに成長した。
  2. Zaarly / Taskrabbit
    してほしいことをモバイルで登録し、  それをしてくれる人とマッチングする地域ベースのマーケットプレース・サービス。ともに今年度の成長が期待されている。
  3. LevelUp by SCVNGR
    LevelUpは リアル世界をゲームにするSCVNGRが提供するモバイル決済サービス。QRコードをベースにしているため、すべての携帯、すべてのクレジットカードで利用できることが特徴。リワードなどゲーミフィケーションの要素を含む点も面白い。10月にサービスを開始して、すでに10万人の利用者、1000社の企業が利用している。
  4. Dwolla
    Facebook,TwitterなどのSNSを通じて、個人対個人、個人対企業の支払いができるサービス。クレジットカードより手数料が安い点も特徴。すでに7万人が利用している。
  5. Eventbrite
    すでに創業5年のイベントチケット販売サービス。老舗だが、販売チケットが、2010年の1100万毎に対して2011年は2100万枚と急成長していること、著名アーティストも活用し、ワールドワイド展開していることなどから有望視している。
  6. Codecademy
    オンラインでインタラクティブにプログラミングが学べるサービス。スタートわずか3日で20万人がレッスンを開始。現在はJavascriptのみだが、今後は多言語に拡張、ソーシャルプラットフォームとなる可能性もあり、注目されている。

 

その他の予測記事

 詳細な解説は省略するが、その他の分野の2012年予測記事もあわせて記しておきたい。

 

What 2012 Holds for Online Media (The next Web)

オンラインメディアという広いくくりで捉えられた予測記事です。

 

2012 search predictions: the experts’ view (Econsultancy)

検索エンジン領域に関する予測記事です。

 

4 payment industry predictions for 2012 (GIGAOM)

来年注目が集まっているペイメント市場関連の予測記事です。

 

5 Predictions for Online Data in 2012 (Mashable)

ビッグデータと言われる時代、オンラインデータに関する予測記事です。

 

What’s going to happen in mobile tech in 2012 (Ventrue Beat)

注目のモバイル分野に関する予測記事です。

 

E-commerce in 2012: the experts’ view (Econsultancy)

eコマース全般に関する予測記事です。 

 

8 Ways Digital Will Improve B2B Sales in 2012 (Mashable)

最後に、B2Bセールスを加速するための2012年予測記事です。

 

 

記事執筆)  斉藤  徹 https://www.facebook.com/toru.saito

COMMENT

23 件のフィードバック

  1. mpresso より:

    ソーシャルメディアやスタートアップを中心に、海外の2012年予測記事をピックアップ

  2. masaya-chonan より:

    今年もマーケットが大きく動きそうだ。

  3. tomokonbu より:

    メモメモ

  4. hashimoto0226 より:

    いろんな予測記事があっておもしろい

  5. kapaopango より:

    メモ!

  6. warriorking より:

    ソーシャルメディアやスタートアップを中心に、海外の2012年予測記事をピックアップ in the looop 斉藤徹

  7. ksknkym より:

    参考までに。

  8. toshi19650104 より:

    ソーシャルメディアやスタートアップを中心に、海外の2012年予測記事をピックアップ in the looop 斉藤徹

  9. tomohiko11 より:

    参考になるまとめ

  10. johndillingerjr より:

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  11. moto2319 より:

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  12. ogipai より:

    メモ。“@hkunimitsu: まとまってる RT @takeshi_kato: 2012年を予測する記事として、弊社ループスCEO斉藤のこの記事も併せてぜひ。 / ソーシャルメディアやスタートアップを中心に、海外の2012年予測記 http://t.co/ZA9hYqZU”

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  15. socialnews_ol より:

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  16. yuyamazaki より:

    やばい、この記事まだ読んでなかった・・・。後で読む。 / “ソーシャルメディアやスタートアップを中心に、海外の2012年予測記事をピックアップ in the looop 斉藤徹” http://t.co/4VGdx39R

  17. yuyamazaki より:

    やばい、この記事まだ読んでなかった・・・。後で読む。

  18. mmasanao より:

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  19. masaya_chonan より:

    今年もマーケットが大きく動きそうだ。 / “ソーシャルメディアやスタートアップを中心に、海外の2012年予測記事をピックアップ in the looop 斉藤徹” http://t.co/9u5DjARO

  20. kikushan217 より:

    だいぶ前の記事だけど、本当にそうなってきてる!ソーシャルメディアやスタートアップを中心に、海外の2012年予測記事をピックアップ http://t.co/ONPEsqnl”

  21. takuya_nakako より:

    うむ。
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AUTHOR PROFILE

  • 著者:斉藤徹

株式会社ループス・コミュニケーションズ代表取締役。

 

1985年、慶應義塾大学理工学部を卒業し、日本IBM株式会社入社。1991年2月、株式会社フレックスファームを創業。2005年7月、株式会社ループス・コミュニケーションズを創業し、ソーシャルメディアのビジネス活用に関するコンサルティング事業を幅広く展開。20年を超える起業家としての経験とビジネスに関する知見に基づき、ソーシャルシフトの提唱者として「透明な時代におけるビジネス改革」を企業に提言している。著書に『再起動 リブート』(ダイヤモンド社)『BEソーシャル 社員と顧客に愛される5つのシフト』『ソーシャルシフト これからの企業にとって一番大切なこと』(日本経済新聞出版社)、『新ソーシャルメディア完全読本』(アスキー新書)、『ソーシャルシフト 新しい顧客戦略の教科書』(共著、KADOKAWA)など多数。

 

2016年4月から学習院大学経済学部経営学科の特別客員教授に就任。「起業論」「企業経営とトップマネジメント」「企業経営とソーシャルキャピタル」「インキュベーション塾」の講義を担当する。

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