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Googleが、Google+連携でソーシャル検索を実現。ここ数年で最も大きな検索の進化と発表

福田浩至 | 2012/01/11

Googleが、Google+連携でソーシャル検索を実現。ここ数年で最も大きな検索の進化と発表

 

Googleが、Google+でシェアされた情報を検索エンジン上で統合するサービスを開始すると発表した。Googleニュースリリースの原文はこちら  “Search, plus your World

 

今回発表された機能は、Googleにとって、検索結果に “Images” “Videos” “Maps”などを追加した2007年以来の重要な進化であり、検索結果にソーシャルネットワークGoogle+内でシェアされている情報を統合し、高度にパーソナライズされた検索を実現したとしている。具体的には、Googleの検索結果に “Personal Results” “Profiles in Search” “People and Page” の3つが追加される。それぞれ画面とともに概要を説明しよう。

 

 

Google新検索機能の概要

 

1.  Personal Results :

Google+内で友人と共有している情報が検索結果として表示される機能。まずは投稿記事と写真に対応する。下記画面で説明しよう。まず 緑の矢印 が指しているボタン、左側が “Personal“(Google+で共有されている情報)、右側が “Public“(今までのGoogleが対象としていたオープン情報)をあらわしており、左側をオンにすると、検索結果にGoogle+やPicasaで友人とシェアしている情報が検索されるようになる。この図では 赤い矢印 のようにトップで50のPersonal情報がヒットし、黄色い矢印 のようにその検索結果が表示されるようになる。黄色のように左側に「人のマーク」がついたものが Personal情報、マークのないものがPublic情報であり、Personal情報は完全に個人にカスタマイズされたものとなる。(記事最後の動画も参照ください)

 

2. Profiles in Search :

自分に関係の深い人物が、検索の結果およびオートコンプリートに表示される機能。人物プロファイルのソースはGoogle+ profileだ。下図のように写真も表示されるので人物の識別も容易だ。この検索は、通常のGoogle検索に、Facebookの友人検索が加わったようなイメージと言えるだろう。

 

3. People and Page :

検索キーワードに関係性の深い人物やGoogle+ページが表示され、ワンクリックでフォロー(Add to circles)できる機能。例えば “Music” と検索すると下図のように著名人のGoogle+アカウントないしGoogle+ページが表示される。

 

 

Googleの検索進化が示唆する、Facebook逆転のシナリオ

 

2011年9月、Google+が一般公開されたタイミングで、Facebookには実装されていない強力な検索機能が追加された。検索対象コンテンツ(すべて、ユーザーとページ、投稿、Sparks[自分が興味あるキーワードで自動収集された最新情報]、ハングアウト[ビデオチャット])、検索対象ソーシャルグラフ(すべてのユーザー、サークル、自分のみ)、検索対象場所(特定都市などを指定できる)を指定して、Google+内のオープン情報ないし自分自身が閲覧可能なクローズ情報をキーワード検索できるという機能だ。この検索機能は実に強力で、Facebook自身の持つ検索機能や外部検索サービス(openbook, Social Searching, kurrently etc.)より遥かにパワフルなものだ。ただし、これはあくまでソーシャルネットワーク内の検索機能だった。それに対して今回の発表は全世界で15億人超の利用者を持つGoogle検索サービス自体がGoogle+と連携し、個人にパーソナライズされた検索結果を表示できるという点が非常に大きいと言えるだろう。

 

FacebookやTwitterではシェア情報がフローとして流れていくため、リアルタイムなディスカバリーには強いが、過去に共有した情報の再利用には向いていない。いずれも検索機能がGoogleと比較すると極めて貧弱で、検索の期間制限などもあるためだ。過去にメーラーを利用していたが、いつの間にかGmailに全メールを集約して閲覧しているユーザーは多い。私自身もそうだが、これはGmailの優れた検索性によるところが大きいだろう。メールの利用頻度が増えれば増えるほど、フィルターなどによる分類で過去のメールにたどり着くことが困難になり、強力なメール検索機能がほしくなるからだ。ソーシャルネットワークも同様だ。利用頻度が増え、共有される情報量が拡大すればするほど、シェア情報の検索ニーズは高まるはずだ。

 

例えば、FacebookやTwitterをGoogle+と連携させ、投稿内容をGoogle+に保存しておく。そうすればいつでも過去に遡って投稿内容を検索できるようになる。さらにGoogleのパーソナライズ検索をより効果的に利用するためには、Google+のソーシャルグラフを最新に保つ必要がある。そのため、シェア情報の検索頻度が高まるほどに、Google+のソーシャルグラフを最新にメンテナンスするようになる。またAndoirdユーザーがアップロードした写真はGoogle+に自動保存され、それがGoogleで検索できるようになる。その便利さに気づいたAndoirdユーザーは徐々にGoogle+をメインSNSとして利用するようになっていく。これがGoogleの描いているFacebook逆転へのシナリオだろう。さらに検索だけではなく、利用頻度の高いGoogleサービスから順にGoogle+と連携させ、そのソーシャル化を図っていくはずだ。

 

実際に、海外ブログメディアによる2012年予測記事でもGoogle+の伸びが予想されている。(参考記事 : ソーシャルメディアやスタートアップを中心に、海外の2012年予測記事をピックアップ ) ただし、このソーシャル検索のコンセプトについては、すでに2009年にGoogleは発表 (Introducing Google Social Search)している。FacebookはMicrosoft Bingとの連携をすすめているが、このGoogle発表に呼応して対抗策をうってくる可能性は十分にあるだろう。

 

なお、新検索サービスの利用可能時期だが、ニュースリリースによると、まずはGoogle英語版を利用しているユーザーを対象として、数日以内に開放していく方針のようだ。またニュースリリースと同時に発表された新検索サービスの動画もあわせて紹介しておこう。

 

 

 

記事執筆)  斉藤  徹 https://www.facebook.com/toru.saito

   

AUTHOR PROFILE

  • 著者:福田浩至
株式会社ループス・コミュニケーションズ副社長、博士(情報管理) 多数の企業にて、ソーシャルメディアの効果的かつ安全な運営を支援しています。 特に、企業のソーシャルメディア活用におけるルール「ソーシャルメディア・ポリシー」策定や啓蒙教育など積極的な守りの仕組みづくりが専門領域です。
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