日本の月間アクティブ利用者数が810万を超えるなど(2015年6月時点)、2015年大きな盛り上がりを見せたInstagram(インスタグラム)。ユーザー利用だけでなく企業のビジネス活用においても、2016年注目のソーシャルメディアであることは間違いないだろう。
前回に引き続き、Instagram分析ツール「Aista」を利用し、企業アカウントの投稿へのいいね!率ランキングを、フォロワー数規模別に作成した。さらに、各ランキングの中でいくつかアカウントをピックアップし、運用や投稿の特徴を整理、解説する。
Instagram いいね!率 調査方法
- データ提供元について
Instagram分析ツール「Aista」登録アカウント
- データ取得期間
2015年11月1日〜11月30日
- いいね!率の定義
投稿のいいね!数÷投稿時のフォロワー数
- ランキングの用語解説
・カテゴリ:Aista内で振り分けられた分類
・平均いいね!率:期間中の1投稿あたりの平均いいね!率
・フォロワー数:期間最終日のフォロワー数
・投稿数:期間中の投稿総数
・平均ハッシュタグ数:期間中の1投稿あたりの平均ハッシュタグ数
全体サマリー
当記事では、Instagramにおける企業アカウントのフォロワー数別に平均いいね!率によるランキングを作成した(フォロワー数5,000〜9,999、10,000〜49,999、50,000〜99,999、100,000〜)。下記は、作成したフォロワー数別のいいね!率ランキング上位10の平均を比較したものである。
()内は前回数値
全体を見てみると、ファッションカテゴリのアカウントが上位10位以内に頻出しており、引き続きファッション系の企業アカウントのいいね!率が高いことがわかる。フォロワー数100,000〜以外では上位10アカウントの平均いいね!率が上昇している。同様にフォロワー数100,000〜以外では平均ハッシュタグ数が増加しており、ハッシュタグを積極的に活用していることがわかる。
フォロワー数5,000〜9,999の企業アカウント
いいね!率ランキングトップ10
平均いいね!率 9.14%(前回7.70%)
平均投稿数 11.0(前回20.7)
平均ハッシュタグ数 5.9(前回3.4)
平均投稿数が11.0で前回から半減した一方で、平均ハッシュタグ数は5.9で前回3.4から増加。投稿数が少なく、ハッシュタグ使用数が多いアカウントの平均いいね!率が高い傾向となった。平均いいね!率1位は映画アカウントの知らない、ふたりで16.65%。出演している韓国人俳優・女優の紹介や舞台裏の投稿が中心で、ファンによるコメントが目立つ。2位にはコスメブランドのSABON Japanがランクインしているが、投稿数は1件のみだった。
ピックアップアカウント
Coleman Japan(3位:平均いいね!率9.40%)
スポーツ系のアウトドアブランド。プロフィール欄に「季節感溢れるキャンプやアウトドアの写真をアップしていきます! 」とあるとおり、「#outdoorresort365」のハッシュタグをつけて紹介。キャンプの様子をオシャレに写した画像の投稿や、「Takibi Cokking」や「Multiple Lightings」という形でキャンプのノウハウやtipsを連載形式で紹介している。
投稿1:Takibi Cokking
アウトドア料理のレシピを簡単に紹介。料理関連のハッシュタグではなく、自社名やキャンプ関連のハッシュタグを使用している。
投稿2:Multiple Lightings
キャンプのシーンに応じて使えるライト(自社商品)の紹介。こちらもライトや商品カテゴリのハッシュタグではなく、自社名とキャンプ関連のハッシュタグを使用している。
フォロワー数10,000〜49,999の企業アカウント
いいね!率ランキングトップ10
平均いいね!率 9.73%(前回7.90%)
平均投稿数 33.2(前回20.0)
平均ハッシュタグ数 6.3(前回4.6)
平均投稿数が前回から約1.7倍増加し、平均ハッシュタグ数が約1.4倍に増加した。前回は平均いいね!率が10%を超えたアカウントはANAのみであったが、11月度は ANA含む3アカウントが10%を超えていた。1位のJellyfish Entertainmentは韓国人の芸能事務所アカウントで、投稿文もほとんどが韓国語、ユーザーのコメントも韓国語が多い。5,000〜9,999のランキングにも韓国人俳優・女優が出演している映画アカウントがランクインするなど、韓国の芸能人に対するいいね!率が比較的高い傾向が見える。
ピックアップアカウント
JAL(10位:平均いいね!率7.32%)
11月度の投稿数は7件で土日を除く週に2件程度の投稿となっている。平均ハッシュタグ数は10.0とANAについで2番目に多く使用している。「#JAL」など自社名や「#飛行機」「#機窓」など飛行機にまつわるハッシュタグを日本語英語両方で使用している他、「#followme」「#ゆうやけこやけ部」などInstagram上で人気のハッシュタグも上手に活用している。
画像の特徴としては、ANAがフォトプロップスなど小物やグッズを活用した画像を使用しているのに対し、JALでは飛行機がうまく景色にとけ込んでいる画像や、機内の窓から写した画像を使用している。
投稿1:飛行機が景色にとけ込んでいる画像
自社名の他に「#富士山」「#夕焼け」など画像そのものの人気が高いハッシュタグや「#ゆうやけこやけ部」などInstagram上で人気のハッシュタグを活用。
投稿2:機内の窓から撮影した画像
投稿1同様に「#オーロラ」「#絶景」など人気が高いハッシュタグや、「#instagood」「#カコソラ」などInstagram上の独自のハッシュタグを活用している。コメントもポジティブなものが目立つ。
フォロワー数50,000〜99,999の企業アカウント
いいね!率ランキングトップ10
平均いいね!率 4.75%(前回4.33%)
平均投稿数 40.8(前回38.8%)
平均ハッシュタグ数 8.1(前回5.8)
全体としては、平均投稿数が多く大きな変化が見られない一方で、平均ハッシュタグ数が8.1で前回から約1.4倍増加した。前回同様、PUNYUSの平均ハッシュタグ数が多く、サマンサタバサやヘザーなどファッションブランドの投稿数が多い傾向が見られた。
前回に引き続き平均いいね!率が10%を超えるアカウントはなかった。
ピックアップアカウント
MERY(7位:平均いいね!率3.90%)
MERYは女性向けの人気キュレーションメディアであり、アパレルブランドのアカウントである。投稿数が90と多いが、プロフィール欄に「※画像をリグラムさせて頂く場合がございます。」とあるように、一般ユーザーの投稿を引用し「photo by @ユーザー名」と投稿文に記載する「リグラム」という形式で大半の投稿を行っている。ハッシュタグは自社名(サービス名)の他、投稿に関連するものを使用している。
投稿:ユーザーの投稿を引用する「リグラム」
「photo by @ユーザー名」で引用元を紹介し、投稿文に独自の解説文などを記載。引用されたことに対する引用元ユーザーからはポジティブなコメントがほとんど。
フォロワー数100,000〜の企業アカウント
いいね!率ランキングトップ10
平均いいね!率 5.98%(前回6.48%)
平均投稿数 41.2(前回37.8)
平均ハッシュタグ数 4.1(前回4.7)
平均投稿数は41.2で前回の37.8から微増、平均ハッシュタグ数が4.1で前回の4.7からわずかに減少した。前回に引き続き東京ディズニーリゾートが1位で、ローリーズファーム、ラッシュ除くアカウントは前回も10位以内にランクインしており、ランキングに大きな変動は見られなかった。
ピックアップアカウント
ローリーズファーム(5位:平均いいね!率4.44%)
ファッションブランドのアカウント。投稿数が35と、土日含めほぼ毎日投稿を行っている。投稿内容としては、シンプルな商品紹介、モデルや芸能人を活用したコーディネート紹介、新店舗開店などの紹介などで、ハッシュタグも投稿やファッションに関連するものが多い。中には「#ootd」などInstagram独自のファッション関連ハッシュタグを使用している。
投稿1:シンプルな商品紹介
ハッシュタグは自社名に加えファッション関連のものを使用。投稿文内で他のソーシャルメディア(LINE)のキャンペーンを紹介している。
投稿2:モデルや芸能人を活用した投稿
着ている商品を紹介。ハッシュタグは女優名のものや、Instagaram独自のものなども使用。
ピックアップ・ポイント
11月度の調査では、比較的ファッションカテゴリの企業が多くランクインしており引き続きファッションとInstagramの相性の良さを実感した。「かわいい」「美しい」など視覚に訴えることで共感できる投稿へのいいね!率が高まっており、ハッシュタグの活用はもちろん、Instagramの文化的特徴をよく理解した上での運用が必要である。
アカウントプランナー紹介:若月 翼(わかつき つばさ)
1990年山梨県生まれ。三浦海岸在住。早稲田大学スポーツ科学部を卒業後、インターン期間を経てループスにジョイン。在学中はスポーツ政策の学生学会の運営やアスリートの震災復興支援活動のサポートなどを行う。現在は企業のソーシャルメディア活用支援などに従事。興味関心はスポーツ×デジタルマーケティング。
CVRしないから使いどころが難しそう