はじめに
今や「YouTuber」は小学生の人気の職業ランキングの常連です。
「YouTuber」は個人が各人それぞれの個性を生かしながら、多彩なコンテンツを発信し、注目を集めています。
YouTubeの利用者は全世界で20億人を超え、国内でも7,120万人に達します。
(2023.10,think with Google)
一方で、多くの企業組織もYouTube Channelを持ち、魅力を発信に努めています。
商品の認知や企業のブランディング・・・様々な目的をもってYouTube Channelを運用しています。
しかしながら、自社の運用状況は常に確認・分析しているものの、ほかの企業の取り組みについて、常に目を配り続けることは、相応に労力もかかり大変です。
でも、ライバル企業の取り組みは押さえておきたい・・・
当社では、特定の業界・企業のYouTube Channelの活用状況を把握するために必要なデータを日常的に収集しています。この収集データをもとに、様々な企業のYouTubeチャンネルの運用状況をレポートしたいと思います。
まず最初に、圧倒的な動画コンテンツを保持し、新たに生み続ける「地上波放送局(全国ネット)」のYouTube Channelの活用実態についてまとめましたので、ご参考ください。
観測チャンネル
今回、「地上波放送局(全国ネット)」として、在京キー局である日本テレビ、テレビ朝日、TBS、フジテレビ、テレビ東京にNHKを加えた6局が運用するYouTube Channelを対象放送局とし、それぞれの代表的なチャンネルを1つを観測対象としました。
- NHK NHK(https://www.youtube.com/@NHK)
- 日本テレビ 日テレ公式チャンネル(https://www.youtube.com/@nittele)
- テレビ朝日 Tvasahi(https://www.youtube.com/@tvasahi)
- TBS TBS公式 YouTuboo(https://www.youtube.com/@tbspr)
- テレビ東京 テレ東公式 TVTOKYO(https://www.youtube.com/@TVTOKYO)
- フジテレビ フジテレビ公式(https://www.youtube.com/@fujitv)
以下に、それぞれのチャンネルの概要を示します。
(チャンネル登録者数、投稿動画数、累計視聴回数は2024.4.1現在)
こちらの記事に、2023/9/30時点での値が掲載されています。参考ください。
チャンネル登録者数が最も多いのはNHKで424万人に達しています。累計視聴回数もNHKが群を抜いており、2億回を超えています。
この中で最も古くから運用しているのは、テレビ東京の「テレ東公式 TVTOKYO」の2005年12月8日です。来年には20年が経過することになります。最も新しいのはTBSの「TBS公式YouTuboo」の2012年4月10日ですが、TBSは「TBS NEWS DIG Powered by JNN」を2009年9月15日スタートさせています。このように、別途ニュースチャンネルや番組専用のチャンネルを運用されている放送局もありますので、このYouTube Channelだけが各局のYouTube活用ではないことはお含みおきください。例えば、日本テレビは日テレNEWS、テレビ朝日はANNnewsCH、フジテレビはFNNプライムオンラインのテレビ東京はテレ東BIZといったニュース専用のチャンネルを各局用意しています。これらのニュース専用チャンネルは、上表に示したすべての局の公式アカウントよりもチャンネル登録者数が多くなっています。さらに、ドラマやスポーツ、個別番組、アナウンサーチャンネルなど、ニュースチャネル以外の公式チャンネルを運用しています。参考までに、以下に各局が「公式」と表明して運用しているYouTubeチャンネルを列記しました。
(2024/4/1現在。数字はチャンネル登録者数(万人))
投稿傾向
ここからは、各局の公式アカウントにおける動画投稿のタイミングを細かく見ていきましょう。
今回、情報を収集する期間を2023年12月1日から2024年3月31日としました。
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投稿件数(月次ベース)
まずは、投稿件数です。以下に、2023年12月~2024年3月までの月次動画投稿件数をまとめました。期中、最も多くの動画投稿を行ったのは、TBS公式YouTubooです。月に300-450件程度の投稿を行っています。日に換算すると10~15件程度を毎日投稿していることになりますね。次いで日テレ公式チャンネルとtvasahiが220-300件/月程度です。さらに、NHKとテレビ東京公式が150~250件/月程度、フジテレビ公式が70件/月程度となっています。
各局の月次傾向を見ますと、すべての局で12月と3月の投稿が多い傾向が見て取れます。こちらは、毎四半期の番組改変に伴う新番組告知が増加するためと思われます。今後、年次の傾向も確認していきたいと思います。 -
投稿頻度(曜日別)
曜日別にみてみましょう。各局傾向が随分異なります。NHK、tvasahi、TBS公式、テレビ東京の4局は金曜日の投稿が最も多く、一方で、フジテレビでは土曜日、日テレ公式では月曜日の投稿が最も多くなっています。金曜日に多く投稿された記事は、
・NHK:連続テレビ小説「ブギウギ」の次週予告や番組内で演奏される楽曲のフルバージョンオンステージ動画
・テレビ東京公式:ポケットモンスターの期間限定配信
といった各局の特徴もありますが、全体的に番線告知が増加している傾向があります。 -
投稿頻度(時間帯別)
続いて投稿時間帯別にみていきましょう。
以下には、各局の時間帯別の投稿件数をヒートマップで示しているのもです。
各局、17時から23時にかけて、多めに投稿されていることがわかりますね。このなかでも、各局の特徴がうかがえます。
・NHK 連続テレビ小説の放送される8時代が他局に比べて突出して多い
・日テレ公式チャンネル 深夜0時台と11時台が他局に比べて突出して多い。深夜0時台には【日テレ系〇曜日】という、当日放送される番組を告知を毎日行っているため、当該時間の投稿件数が増加しています。11時台は日曜以外毎日放送している番組「3分クッキング」の動画が公開される
ことが要因です。
視聴回数上位ランキング
以下に、該当期間中の対象チャンネル内で視聴回数が多かった動画ランキング(上位25位)です。トップ10の実に8件は、日テレ公式の【踊る!さんま御殿!!】の体験談再現VTR傑作選の動画が上位を占めています。tvasahi の【酒豪の#王林】の関連動画が3位と20位にランクインしています。いずれも視聴回数が100万回を超えています。さらに下表のランキングには載っていませんが、さらに2件の関連動画が投稿されており、合算する500万回に達します。王林さんが45°の非常に強いお酒を「美味しい」と飲み干すショート動画ですが、彼女のお酒の強さに驚いている視聴者の感想がコメント欄を埋めています。
(観測対象チャンネルで2023/12/1~2024/3/31に投稿された動画が対象。視聴回数は2024.4.1現在)
まとめ
放送局によって、公式アカウントの運用スタンスが随分異なる様子が垣間見えてきましたね。本記事にでは投稿頻度を中心に紹介しましたが、最後に各チャンネルごとに視聴回数を獲得している動画の傾向も織り交ぜて、投稿されている動画やチャンネル運用の特徴を記します。
・NHK
連続テレビ小説、大河ドラマという国民的人気番組の訴求に活用していることがわかります。また、コメント欄は基本開放していません。タイトルの終わりに|NHK とするルールを徹底しています。
・日テレ公式チャンネル
踊る!さんま御殿!!の体験談再現VTRが人気。0時台の当日番組告知投稿、11時台の三分間クッキング動画はほぼ毎日、定期的に投稿されています。また、踊る!さんま御殿!!の体験談再現VTRのタイトルに#踊るさんま御殿、#さんま御殿、#さんま御殿体験談、#明石家さんま、#切り抜き、#おすすめといったハッシュタグとして付加することを徹底しています。
・tvasahi
バラエティー番組関連の動画を丁寧に投稿されています。short動画を多く投稿されることと、投稿タイトルに出演者のハッシュタグを使用する特徴があります。
・TBS公式
今回の観測期間においては、ドラマ【不適切にもほどがある】と【Eye Love You】関連の投稿が多くの視聴回数を獲得しています。コメント欄もドラマのシーンや出演者などに対する好意的な感想であふれています。ドラマの評判の良さが伺えます。
・テレ東公式
【ポケットモンスター】の期間限定配信動画が上位を占有します。期間限定ということで、観測した動画はすべて削除されていますが、現在視聴できる動画の説明を読むと投稿してから約2週間程度閲覧できる模様です。コメント欄を読むと、
0:57 リコ可愛い
11:08ここのサンゴちゃんがロケット団の台詞みたいww
といったように、秒単位でシーンの感想を細かく述べているものがたくさん確認できます。
・フジテレビ公式
ドラマ関連の動画を中心に投稿しています。特に【大奥】の予告30秒Verと【月9 君が心をくれたから】の予告動画が視聴回数上位を占有しています。
前述の通り、各局とも公式アカウント以外のチャンネルを多数運用しています。この結果だけで、各局のYouTubeチャンネルの取り組みを把握することはできません。今後、ニュースチャンネルの運用実態も調査してみたいと思います。
より詳細に分析した資料の用意もあります。ご興味のある方はこちらの資料請求フォームからお問い合わせください。
当社では、様々な企業のYouTubeチャンネルのデータ収集及び分析支援を行っています。
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