昨日斉藤がアップした記事を受けて、エンタープライズ・ソーシャルネットワーク導入にあたりツール選定についてまとめた。なお斉藤の記事でも言及しているが、目的・ゴールを定めた上で自社にあったツールを選定する必要があることは頭に入れて頂きたい(ツールありきではいけない)。
企業内にソーシャルの仕組みを 〜 エンタープライズ・ソーシャルネットワーク導入の要諦
この分野にはすでにさまざまなツールが存在している。Facebookのようなパブリックなソーシャルネットワークのグループを社内で活用するオープンなスタイルから、社内でクローズして利用できるクラウドサービス、利用端末のIP制限ができるサービス、さらには社内サーバーにインストールするタイプまで様々だ。ループスには社内ソーシャルネットワークを開発導入した実績が多数あり、この分野のツールに精通している。現時点で、日本語環境で活用できる主要ツールの価格や機能、対応機種などを表にまとめてみた。
エンタープライズ・ソーシャルネットワークで利用可能なツールはSNS系、グループウェア系に分けられる。SNS系はFacebook、Twitter、mixiなどのSNSをベースにしたもので「Facebook Group」「Yammer」「BeatShuffle」「エアリー」「Biz-IQ」などがあり、既にSNSを利用しているユーザーには使いやすいものとなっている。グループウェア系は「サイボウズLive」「Salesforce Chatter(Salesforceは厳密にはCRMであるが)」「SkyDesk」などのツールがあり、グループウェア(カレンダー、メール等)にコミュニケーション機能を取り入れたものやグループウェアと連携する事でより業務と連携した利用が可能になる。
ここからは社内事情、どういう目的であればどのツールが向いているかを説明する。
社員がSNSに慣れている
社員の多くがSNS(Facebook、Twitter、mixi)を頻繁に利用していて、社員同士が友達、フォロー関係にしている場合は「Facebook Group」が一番コミュニケーションはとりやすい。普段からFacebookを立ち上げているため、すぐにコメントやいいね!等のお知らせに気づく事ができるためコメント返信もすぐにでき活性化しやすい。ただしSNS上では上司や親しくない同僚とは友達になりたくないという社員もいるため、社員の利用意識には配慮しておく必要がある。
SNSを頻繁に利用している社員が多く、SNSでプライベートとビジネスは混同したくないという社員が多い場合には「Yammer」が向いている。「Yammer」はFacebookインターフェースとそっくりであり、SNSに慣れている社員は違和感なく利用を開始する事ができる。また「Yammer」は社外のグループやネットワークとも同時に使用することができる。さらに「Yammer」には組織図、アイデア、拍手(バッジを送る)という面白い機能も用意されており、Firefoxのアドオン(FirefoxでYammerのアラートが表示される)などサードパーティのアプリケーションも提供されている。個人的にはYammerの社員間でバッジを送る機能が気に入っている。(「ありがとう」「おつかれさま」などの感謝の気持ちを伝える事ができる)
現在グループウェアを使っている
すでにサイボウズ等のグループウェアを使用している場合はスケジュールなどのグループウェア機能は不要となる。もちろんサイボウズを使っている場合には「サイボウズLive」を使う方がよい。なお既にグループウェアを導入していて別システムを導入するとなると、別画面を立ち上げる必要になるため利用する社員にとっては面倒と感じるであろう。
まだグループウェアを使っておらずカレンダー機能等のグループウェア機能も併せて導入したい企業の場合にはグループウェア機能のある「Beat Shuffle」「サイボウズLive」「SkyDesk」を導入するようにしたい。
「BeatShuffle」や「サイボウズLive」には今回の比較表では取り上げていないが「アンケート」「タスク管理」「Wiki」「Q&A」などの機能も用意されている。利用用途によってツール選定を行いたい。
営業情報、顧客の声を共有したい
営業情報やコールセンターなどの顧客の声を共有したい場合にはSFA、CRMと連携可能な「Salesfroce Chatter」や「SkyDesk」が向いている。
SFA・・・Sales Force Automation。営業支援システム
CRM・・・Customer Relationship Management。顧客情報管理システム
「Salesforce Chatter」は世界有数のSFA(営業情報)、CRMクラウドサービスである「Salesforce」と連携する事で営業案件情報や顧客情報を社員間で共有し、コミュニケーションのテーマとする事ができる。またFacebookやTwitter情報を取り込む事も可能であり、ソーシャルメディア上の企業の評判や問合せ対応といった顧客の生の声を社内で共有し、コミュニケーションのテーマとする事も可能である。
Salesforce Chatter(セールスフォースドットコム)
「SkyDesk」はZohoと提携し、無償でCRMを利用する事が可能である。Zohoは中小企業向けのクラウドサービスでGoogle Appsのように表計算ソフトやプレゼンテーションソフトなども提供されているため、中小企業であれば社内システムをまとめてリプレイするすることも可能である。
セキュリティを重視して専用サーバで利用したい
今回紹介したツールはほとんどがクラウドで提供されているが、専用サーバで利用した場合には「エアリー」が専用サーバサービスを用意している。費用面に関しても専用サーバであれば定額料金(初期費用30万円、月額費用15万円。税抜)で利用する事が可能である。
これ以外にも企業のサービス体系(メーカー、サービス業、BtoB、BtoC等)によってツール選定基準は変わってくる。
ここからは個々の機能、サービスについて解説する。
費用
無償
最近は基本無償で利用する事ができるフリーミアム型のサービスが多い。高機能やレポート等の管理者機能を使用するためには有償プランが必要になる料金体系が多い。
※運用していくにあたって効果測定(アクティブ利用者数、活性度合い)を行うためにはレポート機能は重要である。
有償
有償のツールは月額で1ユーザー当たりいくらという課金体系が多く、社員数が多いと利用金額が高額になる(Yammer有償プラン:5$、Salesforce Chatter有償プラン:1,575円)。なお、大企業の場合はエンタープライズ契約(ユーザー単位でない割安な契約)も可能である。
掲示板
画像添付
添付された画像のサムネイルが表示できる事が望ましい。サムネイルが表示されるのと表示されないのでは目を惹く事ができるかどうかが大きく異なる(ほとんどのツールが対応している)。
URL添付
URLを添付した際に単にURLリンクを表示するのではなく、URL先のプリビュー(画像のサムネイルやタイトル、本文の一部)が表示できることが望ましい(「Facebook Group」「Yammer」が対応)。画像と同様に目を惹くかどうかに大きく関わる。またコメント返信でも「Facebook Group」のようにプリビューが表示される事が望ましい。
メッセージ
メッセージでも掲示板同様に画像、URL添付の際にプリビューが表示される事が望ましい。
複数人
1対1の対応だけでなく簡易的にプロジェクト対応を行うために1対多でのメッセージのやり取りができる事が望ましい(あとからメンバーの追加も可能な方がよい)。掲示板、グループのようにツリー上に管理されないため、議題が多い場合はグループの方が向く。
検索
キーワード検索機能は非常に重要である。海外サービス(Facebook、Yammer)は日本語検索が弱く、国産サービスの方が検索は強い。データが増えるにつれて検索はしづらくなるため、オブジェクト毎(投稿、ファイル、メッセージ)に検索ができるようになっている方がよい。
タグづけ、カテゴリ分け、グループ機能
また投稿毎にタグづけを行う事でカテゴリ分け、検索できるようになっているサービスも多い。グループ機能で部署や業務毎にグループを設定し、メンバー間で議論できるようになるサービスもある。
ファイルの全文検索
ファイル共有が目的の場合(資料等のレビュー)はあまり対応されていない機能ではあるがファイルの全文検索ができることが望ましい。 ファイル名だけの検索であると、探したい資料がすぐに見つからないためである。
IP制限
現在提供されているサービスはほとんどがクラウド型で社外にデータを置く事になるが、社外からのアクセスを防ぐためにIP制限、ドメイン制限を設定できるサービスも多い(特に国産サービス)。SSL認証は現在提供されているツールのほとんどは対応済みである。
統計レポート
「Yammer」では有償プランだと下記レポート機能を利用する事ができる。
・月間トータルメンバー数
・月別投稿者数
・月間トータルメッセージ数
・日別メンバー数(いいね!の多いメンバー)
・日別コミュニケーションメンバー数
・日別投稿者数(投稿の多いメンバー)
・日別メッセージ数(メッセージの多いメンバー)
エンタープライズ・ソーシャルネットワークがうまく活性化されているかどうかを確認するためには、有償プランになってしまうがレポート機能を活用して頂きたい。
エクスポート
クラウドサービスの場合にはデータの保証がされない事が多いため、バックアップという観点でエクスポート機能がある事が望ましい。また今後、別ツールへの移行をする際にもエクスポート機能のありなしで移行計画が全く変わってくる(提供会社によってはエクスポートはできないといった回答やエクスポートするためには高額の費用がかかってしまうという回答があるかもしれない。移行を検討する際に気づいても手遅れになってしまう)。
今回はツール選定をテーマに取り上げたが、冒頭でも述べたようにツールありきではなく、各企業で目的・ゴール設定を行った上で、ツールの選定を行う事が重要になる。よいツールを導入すればよいということではなく、運用後、いかに活性化させるかということが非常に重要になる。次回は、活性化の運用ポイントをテーマに取り上げる。
ソーシャルゲーム、ゲーミフィケーションも研究中ですが、実は元々ループスに入る前は「グループウェア(LotusNotes)の開発、サーバ運用 」→「 米国社製CRMパッケージ販売」 というエンタープライズ系(社内)の業務システムを担当していたので社内システムにも詳しいです(10年前はプログラマーでした) - 岡村(健)
Yammerみたいな社内ツールね。
チェック!あとで読む!
企業のソーシャル化を推進するのに重要な国内企業でのツール採用状況と機能の比較。
非常に良くまとまっていレポート。参考にしたい。
社内SNSのまとめ。やまー使ってみたい。
規模や社員のリテラシーによって異なるおすすめグループウェア。FBブループだけでは案件回せないので、携帯対応をあきらめるならSkyDeskもアリだなぁ。
やっぱり慣れなのかなぁ。
備忘録:企業にソーシャルの仕組みを 〜 ツールはどう選べば良いのか? Facebook/Yammer/Chatter/etc. http://t.co/TimpxvLM @LooopsComさんから
「海外サービス(Facebook、Yammer)は日本語検索が弱く…」
やっぱりそうだったのか、はっきり言ってFacebookの検索はまったく使い物にならない。http://t.co/Cp48VBtm
企業にソーシャルの仕組みを 〜 ツールはどう選べば良いのか? Facebook/Yammer/Chatter/etc. http://t.co/dUkapwtM @LooopsComさんから
Yammer的ネタを続けて耳にしたのでコレを:企業にソーシャルの仕組みを 〜 ツールはどう選べば良いのか? Facebook/Yammer/Chatter/etc. http://t.co/jUKAFSDX @LooopsComさんから
企業にソーシャルの仕組みを 〜 ツールはどう選べば良いのか? Facebook/Yammer/Chatter/etc. http://t.co/K3VLvkII
社内で使うなら。
[SNS]社内で使うなら。 / “企業にソーシャルの仕組みを 〜 ツールはどう選べば良いのか? in the looop 岡村健右(おかむらけんすけ)” http://t.co/u2hwWqzZ
企業にソーシャルの仕組みを 〜 ツールはどう選べば良いのか? Facebook/Yammer/Chatter/etc. [ITL] http://t.co/TAQb3ueN #ITL @LooopsComさんから
企業にソーシャルの仕組みを 〜 ツールはどう選べば良いのか? http://t.co/HnEeCivF
企業にソーシャルの仕組みを 〜 ツールはどう選べば良いのか? Facebook/Yammer/Chatter/etc. [ITL] http://t.co/L15ttxOr
企業にソーシャルの仕組みを 〜 ツールはどう選べば良いのか? Facebook/Yammer/Chatter/etc. [ITL] http://t.co/TDsYaa1P #ITL @looops_naotoさんから