in the looop では社内でソーシャル・ネットワークを活用する「エンタープライズ・ソーシャルネットワーク」についての3月に3本記事を掲載させて頂きました。
・企業内にソーシャルの仕組みを 〜 エンタープライズ・ソーシャルネットワーク導入の要諦(3/5。斉藤)
・企業内にソーシャルの仕組みを 〜 ツールはどう選べば良いのか? Facebook/Yammer/Chatter/etc.(3/7。岡村健)
・企業内にソーシャルの仕組みを 〜 運用の前に準備するコミットメント(3/14。福田)
今回は運用面についてお話しさせていただきます。
当社ループス・コミュニケーションズは現在はコンサルティング事業を核としていますが、2008年以前は自社開発した社内SNSパッケージを販売・導入していました。ちょうどmixiが盛り始めていた頃より、企業内でもmixiのようなものを導入してみたいというお話を多く頂戴しました。
「社内の風通しを良くしたい」「新入社員(入社前、入社後の研修)同士のコミュニケーション」などの目的で導入したものの、好きな人しか使わない状況に陥ることが多く、多くの企業で現在も活性化が課題となっています。Twitter、Facebookが普及しはじめた現在、企業内でもソーシャルメディアを導入したいというニーズが増えてきましたが、単にツールを導入する感覚でのアプローチでは同様の状況に陥る可能性が大きいと考えています。
ではなぜ社内SNSは活性化しにくいのでしょうか。理由を挙げてみます。
1.取りあえずツールを導入してしまった
2.インターフェースが使いにくい
3.目的、テーマを設定しなかった
4.社員の参加意識が低い
5.社内の締め付けが厳しい
ここからは活性化しなかった理由の詳細と活性化のポイントを説明します。
1.取りあえずツールを導入してしまった
取りあえずツールを導入してしまったケースでは社員が何をすればよいのか分からず、投稿がほとんどされないケースが多いです。また社内のコミットメントを取らずにスタートしてしまい業務なのか業務外で勝手にやっているのかという意見も出がちです。さらに情報システム部門主導での導入の場合には、セキュリティなどの制約が増え、締め付けが多くなり使われない原因となるケースも散見されます。
運用チームによるツール選定、スモールスタート
導入前に専門の運用チームを置き、少人数でのスモールスタートを行います。運用チームは特定の部門に偏らずに社内で有志を募り、部門を超えたクロスファンクショナルチームを結成します。クロスファンクショナルチームにすることで、それぞれの部門に担当者がいることで各部門が他人事にならないようにします。
チーム内で自社にあったツールを選定し、運用チームのメンバーや少人数でスモールスタートを行い、全社にローンチする際の問題点やどうすれば活性化するのかを見極めます。さらにスモールスタート期間で今後の方向性や運用ルールを固めた上で社内のコミットメントを取る事も重要です(経営層へ必要性の理解、運用チームが業務で行うということの理解)。実際に使用し、使い勝手の悪いツールであれば変更するということも視野に入れる必要があります。
2.インターフェースが使いにくい
インターフェースが使いにくいツールだと社員が使わなくなってしまいます。他の社員が書いた書き込みがすぐに分からなかったりするとコメントを書く事も出来ず反応が悪くなり、徐々に使われなくなってしまいます。
動的で、使いやすいインターフェースのあるツールを採用する
Facebookのお知らせ機能のように自分の投稿にコメントが入ったり、メッセージが来た際にはすぐにわかるようなツールを採用しましょう。最近の社内コミュニケーションツールはこの機能が採用されているものも多いです。YammerのようにFacebookのインターフェースにかなり近いものもあります。これはFacebookのインターフェースがそれだけ使いやすいものだからと言えるでしょう。
3.目的、テーマを設定しなかった
目的、テーマを設定せずに運用を開始し、プライベートなどの趣味の事ばかりを話すようになると、企業活動にプラスになる事が限られてしまいます。経営層からビジネスの事はどうなっているのかというツッコミが入ります。社内の風通しは良くなるかもしれませんが、テーマの中心は企業やビジネスでないと会社に認めてもらう活動にはなりません。
目的、テーマ設定(ビジネスをメインにする)
ビジネスをテーマにするという点では経営理念に沿う行動を推奨する方法があります。ツールを使っている例ではありませんがANA(全日空) の場合は5つの社内プロセスで、学ぶ、褒める、対話する、見直す、実践するという組織文化があります。特に「褒める」文化を強化するためにお互いの仕事のいいところを見つけたら、それをカードに記して本人に手渡しする「Good Job Card」という仕組みを採用しています。またこの「Good Job Card」で共感出来る内容ものは当事者同士だけでなく他の社員にも公開するようにしています。
仲間たちからもらった“Good Job Card”が私の宝物!
このような方法であれば、企業経営理念に沿った目的で実施する事もでき、従業員同士も良い関係を気付く事が出来るようにもなります。経営理念、ビジネスに直結するような目的、テーマが自然に達成出来るような仕組みにしましょう。
4.社員の参加意識が低い
社員ひとりひとりの参加意識が低いと、書き込みがされません。また特定の一部門だけで導入してしまうと他の部門の社員は自分には関係ない事だと考え参加率が下がります。社員全員が投稿しなくても他の社員の投稿を読んだり、いいね!を押したり社員一人一人が参加するような仕組みにしないといけません。
参加したくなるモチベーションを用意する
多くの社員に参加してもらうためには参加したくなるようなモチベーションを用意しましょう。前述したANAのように「褒める文化」を促進するためにはどのような方法があるでしょうか。
NHK「クローズアップ現代」でも取り上げられたシンクスマイルでは社員同士でバッジを贈り合うというシステム(CIMOS)を採用しています。このシステムでは「サンクス」や「スマイル」などのバッジが用意されていますが営業上の数字だけではない評価を獲得する事もできます(営業の数字だけでは目立たない総務、経理などのバックヤードの社員も目立つようになった)。
人事評価は可視化とソーシャル化が肝?社内制度をゲーム化する(シンクスマイル事例)
このように社員同士が褒めあう事が楽しいと感じ合うようなモチベーションのある仕組みにしましょう。
5.社内の締め付け
ただソーシャルネットワークツールを社内に入れただけでは、風通しが良くなり部門間の垣根が取り払われるわけではありません。特に縦割りで上下関係が厳しいような企業は現状の組織のままでツールを導入しても、社員が自由な発言をしなくなります。また社内のコミットメントを取らずに始めてしまった場合、社員が投稿に躊躇してしまいます。そうなるとよく投稿する社員は「あいつは仕事をせずになにをしているんだ」という意見が出たり、優秀で忙しい社員は参加しなくなります。
トップダウンとボトムアップの組み合わせ
社内を緩めるといっても今日から無礼講だというわけにはいきません。ではどうすればよいでしょうか。社長や経営陣に参加してもらうようにすることです。社長が参加する事で社員が会社として業務としてコミュニケーションを取ってもよいと認識し、遠慮せずに使うようになります。通常は年や4半期に一度くらいしかない社長の想いが直接、社員に頻繁に伝えられるようになります。更に現場の社員の投稿が社長や経営陣にも目に触れることになり、社長からフィードバックがあればその社員は会社への期待も高まるでしょう。
上層部から言われて渋々やるのではなく現場からのボトムアップも重要です。現場の各部門から代表を選んだクロスファンクショナルチームを結成し、運営する事が成功につながります。このトップダウンとボトムアップのどちらも大切であることはNTTデータ、楽天の社内SNS成功例からも垣間みることができます。
日本が誇る社内SNSの成功例!NTTデータ「Nexti」の秘密
2社の事例では社長が参加し、かつ現場の運用チームが盛り上げるいうトップダウン+ボトムアップが実践されているということがポイントです。社長が参加しているという事は会社が公に認めているということにもなります。トップダウン(社長の参加)+ボトムアップ(現場の運用チームで盛り上げる)が成功の鍵と言えるでしょう。
ここまで事例も踏まえた上で注意点を述べさせて頂きましたが、ANAやNTTデータ、楽天、シンクスマイルは既に社を上げてよりよくする文化(トップダウン、ボトムアップ)ができていたのでエンタープライズソーシャルネットワークの仕組みを入れて成功したともいえます。ではまだそこまでの文化が熟成出来ていない企業はどうすればよいでしょうか。やはり、ソーシャル時代の企業になるための文化を作り上げて行く必要があると思います。
ここからは営業の話になってしまい恐縮ですが弊社代表の斉藤が昨年11月に「ソーシャルシフト」という書籍を出版させて頂きました。おかげさまで多くの方に拝読して頂きましたが、「うちの会社もソーシャルシフトしたい」「社長以下経営層に理解してもらいたい」というお声も多く頂戴しております。そこで今回、ソーシャルシフトを経営層向けに出張で勉強会を開く機会をご用意させて頂きました。
■出張ソーシャルシフト勉強会 対象(下記企業様): ・ソーシャルシフトを実現するために経営層向けに勉強会を実施したい ・社内でソーシャルシフトの理解を深めたい ・具体的にソーシャルシフトを進めたい 費用:18万円 (税抜。関東圏以外の場合は別途交通費を実費請求させて頂きます) ※特別メニューとなりますので弊社通常価格とは異なる限定価格となります 講師:斉藤徹(ループス・コミュニケーションズ代表取締役)、岡村(健) 時間:2時間程度 ※毎月2社様限定とさせていただきますのでお問合せはお早めにお願いいたします お問合せ:ループス・コミュニケーションズ 岡村(健)、岡田 お問合せフォーム 電話番号:03-6438-0311
今まさに「ソーシャルシフト」のお手伝いさせて頂いている会社様の具体的な事例もお話しさせて頂きます。どうぞご活用ください。
関連記事:
・企業内にソーシャルの仕組みを 〜 エンタープライズ・ソーシャルネットワーク導入の要諦(3/5。斉藤)
・企業内にソーシャルの仕組みを 〜 ツールはどう選べば良いのか? (3/7。岡村健)Facebook/Yammer/Chatter/etc.
・企業内にソーシャルの仕組みを 〜 運用の前に準備するコミットメント(3/14。福田)
軽々しい営業に騙されるな、もあるね。('A')っ|RT @iuhya: 企業内にソーシャルの仕組みを 〜 運用に失敗しないための5つの注意点
企業内にソーシャルの仕組みを 〜 運用に失敗しないための5つの注意点 in the looop 岡村健右(おかむらけんすけ)
仕事の義務としてやらせるのではなく、社員自身が意義の感じられる導入が必要。
参考になる
トップダウンとボトムアップの組み合わせ
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