先日Instagramの日本国内の月間アクティブユーザー(MAU)数が発表された。2016年12月末時点でMAU1,600万人(前年比174%)と大幅に増加しており、日本国内でも好調さが伺える。
他のソーシャルメディアと比較すると、機能アップデートの面でも大きな動きが見られ、2017年も注目のソーシャルメディアであることは間違いないだろう。
今回は、2017年1月度における、いいね!率が高い企業アカウントの投稿を見ていきたい。今回もInstagram分析ツール「Aista」を利用し、いいね!率ランキングを、フォロワー数規模別に作成した。さらに、各ランキングの中でいくつかアカウントをピックアップし、運用や投稿の特徴を整理、解説する。
Instagram いいね!率 調査方法
・データ提供元について
Instagram分析ツール「Aista」登録アカウント
・データ取得期間
2017年1月1日〜1月31日
・いいね!率の定義
投稿のいいね!数÷投稿時のフォロワー数
・ランキングの用語解説
-カテゴリ:Aista内で振り分けられた分類
-平均いいね!率:期間中の1投稿あたりの平均いいね!率
-フォロワー数:期間最終日のフォロワー数
-投稿数:期間中の投稿総数
-平均ハッシュタグ数:期間中の1投稿あたりの平均ハッシュタグ数
全体サマリー
当記事では、Instagramにおける企業アカウントのフォロワー数別に平均いいね!率によるランキングを作成した(フォロワー数5,000〜9,999、10,000〜49,999、50,000〜99,999、100,000〜)。下記は、作成したフォロワー数別のいいね!率ランキング上位10の平均を比較したものである。
()内は前回(2016年12月度調査)数値
全体では、引き続きテレビカテゴリのアカウントが上位10位以内に最も多くランクインした。新しい動きとして、これまではテレビカテゴリのアカウントはほとんどがドラマ関連だったが、徐々にアニメやニュース関連など多ジャンルのアカウントのランクインが増えてきている。
平均いいね!率をみると、前月に引き続きフォロワー数100,000〜以外は全て上昇している。1月放送開始ドラマのアカウントが多かったためか、特にフォロワー数5,000〜9,999、10,000〜49,999は3〜5ポイントほど増加している。
上記同様の理由から、平均投稿数もフォロワー数100,000〜以外は前月から大幅に増加し、総じて平均いいね!率上位のアカウントは運用も活発だった。
フォロワー数5,000〜9,999の企業アカウント
いいね!率ランキングトップ10
平均いいね!率 18.88%(前回13.50%)
平均投稿数 18.8(前回13.2)
平均ハッシュタグ数 8.8(前回11.6)
平均いいね!率は前回から大幅に上昇し、平均投稿数も大幅に増えている。最も平均いいね!率が高かったのは、1月から放送開始となったドラマ、公式「スーパーサラリーマン左江内氏」。1月8日に最初の投稿を行って以来フォロワー数が急激に増加し、1月末にはフォロワー数が5,000を超えた。
テレビカテゴリでは同様に1月放送開始のドラマである下克上受験や、みんなのニュース「上を向いて歩こう」がランクイン。その他、TVアニメ「進撃の巨人」や映画「たたら侍」など放送・公開前のアカウントがランクインしている。
ピックアップアカウント
みんなのニュース「上を向いて歩こう」(3位:平均いいね!率18.56%)
情報・ニュース番組「みんなのニュース」の1コーナーのアカウント。2016年11月の開設以降、徐々にフォロワー数を伸ばしている。
投稿は、出演アナウンサーが全国各地を巡るコーナーの舞台裏やオフショットが中心。同アナウンサーの人となりが伝わる笑顔の画像やポーズを決めた画像の投稿が人気だ。番組名や地名のハッシュタグに加え、「#目指せ3万人みんなでポーズ」「#FNNビデオポスト」などオリジナルハッシュタグを用いている。
投稿:出演者の人となりが伝わる画像
笑顔の写真へのポジティブな反応が非常に多い。
投稿:オフショットの動画投稿
愛知県田原市(4位:平均いいね!率16.19%)
テレビや映画カテゴリのアカウントがランクインする中では愛知県田原市が異彩を放っている。
同市が運営するアカウントで、2016年7月の開設以来、徐々にフォロワー数を伸ばしている。愛知県田原市の風景や生活の様子が伝わるような投稿しており、月間投稿数が43件と多い。
平均ハッシュタグ数は22.9とフォロワー5,000〜9,999のランキングの中では最も多い。同市の地名や「#スローライフ」「#田舎暮らし」などのキーワードに加え、「#igersjp」などInstagram上で人気のハッシュタグも用いている。オリジナルハッシュタグ「#たはら暮らし」も使い、ユーザーへ同ハッシュタグを用いた投稿を促しており、ユーザーからの投稿が5,000件以上見られている(2017年2月時点)。
親しみやすい文章で投稿しており、コメント欄でのユーザーからの画像リクエストに応えたり、ユーザーのコメントに返信を行うなど、積極的にコミュニケーションをとっている。
投稿:親しみやすい文章で田原市を紹介
投稿:ユーザーのリクエストに応えた形の投稿
フォロワー数10,000〜49,999の企業アカウント
いいね!率ランキングトップ10
平均いいね!率 17.99%(前回14.80%)
平均投稿数 14.6(前回12.1)
平均ハッシュタグ数 13.0(前回9.4)
平均いいね!率は17.99%で前回から大幅に上昇。平均投稿数と平均ハッシュタグ数も増加しており、全体的に積極的な活用状況が伺える。前回もランクインした1月放送開始のドラマアカウント、NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」やA LIFE〜愛しき人〜は、放送開始前から平均いいね!率が高く、盛り上がりが継続している。
テレビカテゴリに加え、ファッションやコスメ関連のアカウントが上位にランクインしている中で、伊勢神宮は引き続き高い平均いいね!率を誇り、コアなファン層を獲得できている可能性がある。
今回はランキング外だが、特徴的な運用を行っており、伊勢神宮同様にコアなファンを獲得できていると考えられる陸上自衛隊を紹介したい。
ピックアップアカウント
陸上自衛隊(17位:平均いいね!率9.86%)
2017年1月19日に開設された陸上自衛隊は、開設直後から急激にフォロワー数が増え1月末には早くも34,000人を超えるなど人気が高い。
普段見ることができない訓練などの様子を、思わず「かっこいい」と唸らせられるような迫力ある画像で投稿していることが大きな特徴だ。独自の世界観を作り上げ、ミリタリーファンらの心を掴んでいると思われる。
ハッシュタグは陸上自衛隊関連のものに加え、「#握手」「#信頼」など画像のシーンを具体的に表すものや、「#スノーモービル」「#雪山」など情景を表す単語を用いている。平均ハッシュタグ数は14.9で、平均いいね!率上位10にランクインするアカウントと比較しても多い。
投稿:迫力ある投稿画像
フォロワー数50,000〜99,999の企業アカウント
いいね!率ランキングトップ10
平均いいね!率 11.71%(前回10.02%)
平均投稿数 21.7(前回18.4)
平均ハッシュタグ数 4.7(前回6.5)
平均いいね!率は11.71%で、前回からやや上昇した。このフォロワー規模になると、フォロワー数5,000〜9,999や10,000〜49,999ほど大幅な変動は見られなくなっている。
前回に引き続き、映画カテゴリの映画「ひるなかの流星」と兄に愛されすぎて困ってますの平均いいね!率がそれぞれ20%を超えており、高い水準を維持している。
NHK連続テレビドラマ小説「べっぴんさん」やタリーズコーヒー、京都いいとこフォトなどは過去2回の調査時から引き続き平均いいね!率が高く、ランクインし続けている。
ピックアップアカウント
NHK連続テレビドラマ小説「べっぴんさん」(4位:平均いいね!率12.05%)
出演者のオフショットや撮影のワンシーンの様子の投稿が中心。主人公を中心に、表情豊かに写る出演者に対してファンからポジティブなコメントが多く見られる。「キッチンは、女子トークの聖地」など、投稿画像に対して一言で様子を表す特徴的な一文を入れることで、親近感が増しているように感じられる。
その他にはクランクアップした出演者が名残惜しく泣いている様子の画像などを投稿し、ファンから共感を得ている。出演シーンが終わった出演者が撮影現場を訪れている様子など、オフショットでも投稿の幅があり、ファンを楽しませている。
投稿1:特徴的な一文を添えたオフショット
投稿2:感動的なクランクアップのシーン
投稿3:過去の出演者が再登場(本投稿は2月)
フォロワー数100,000〜の企業アカウント
いいね!率ランキングトップ10
平均いいね!率 7.43%(前回8.38%)
平均投稿数 16.4(前回31.7)
平均ハッシュタグ数 8.3(前回6.5)
前回調査時から平均いいね!率はやや低下、平均投稿数は大幅に減少した。前回はフォロワー数10,000〜49,999にランクインしていた東京タラレバ娘のフォロワー数が、放送開始を受けて急激に増加。フォロワー数100,000〜のランキングの中でも平均いいね!率が11.69%と圧倒的に高く、非常に人気が高いアカウントである。
ピックアップ・ポイント
テレビや映画関連アカウントの活用が目立つ中で、愛知県田原市や陸上自衛隊のように、そのアカウントの特性を十分に活かした運用もみられる。
Instagramは今年2月に最大10本までの写真や動画を共有できるカルーセル機能をリリースした。昨年8月にリリースされたInstagram Storiesも含め、企業のInstagram活用の幅はさらに広がっていくと考えられる。
アカウントプランナー紹介:若月 翼(わかつき つばさ)
1990年山梨県生まれ。三浦海岸在住。早稲田大学スポーツ科学部を卒業後、インターン期間を経てループスにジョイン。在学中はスポーツ政策の学生学会の運営やアスリートの震災復興支援活動のサポートなどを行う。現在は企業のソーシャルメディア活用支援などに従事。最近の興味関心はスポーツ×VR。@tsubasa_waka