スマートフォン向けショート動画サービスの TikTok が目覚ましい成長を見せています。
TikTokの月間アクティブユーザー数は10億人を超え、2021年1月から6月までに3億8300万ダウンロードを達成しました。米国では、TikTokのユーザー成長率は787.86%で、全世界では1157.76%のユーザー増加率を記録。若者を中心に世界中で多くのユーザーを抱える動画配信プラットフォームとなっています。
この急成長を支えている要因の一つは、ユーザーの好みに基づき関連性の高い動画をレコメンドすることで、ユーザーを飽きさせないアルゴリズムではないでしょうか。
TikTokはユーザーを惹きつける魅力について、次の様に述べています。
- TikTokでは、ユーザーの好みや興味に基づき、関連性の高いパーソナライズされたコンテンツを提供することで、エンターテインメント性のあるプラットフォームを実現します。
- ユーザーの49%が毎月このアプリで新しいものを探し、発見し、35%のユーザーが毎月新たな学びを得ています。
- TikTokの粘着性は、常に新しいことを学び、発見したいという私たちのコミュニティの欲求によって促進されています。
The infinite loop: TikTok’s unique retail path to purchase
科学技術誌『MITテクノロジーレビュー』が選ぶ2021年版の「世界を変える10大テクノロジー」では以下の様にTikTokの「おすすめ」アルゴリズムが評価されています。他のSNSと異なりインフルエンサーの拡散力ではなく、「おすすめ」アルゴリズムによりユーザーの趣味嗜好に合致した動画が拡散されやすいプラットフォームであると考えられます。
他のプラットフォームが一般受けするコンテンツに重点を置いているのに対し、TikTokのおすすめアルゴリズムは、有名なスターと同列に、無名の新人クリエイターを扱っている。また、特定の関心事やアイデンティティを共有するユーザーたちのニッチなコミュニティに関連するコンテンツを表示するのに特に優れている。
TikTok「おすすめ」アルゴリズム
「おすすめ」のアルゴリズムはどのような仕組みなのでしょうか?TikTokは次のように説明をしています。
TikTokを開いて「おすすめ」フィードにアクセスすると、ユーザーの興味に合わせて厳選された動画が表示されるので、好きなコンテンツやクリエイターを簡単に見つけることができます。このおすすめの仕組みは、各ユーザーが興味を持ちそうなコンテンツを届けるレコメンドシステムによってできています。
TikTokが「おすすめ」に動画をレコメンドする仕組み
TikTokでは動画が公開されると、「おすすめ」アルゴリズムによって、まず一部のユーザーに動画表示されます。これらのユーザーは、過去の行動から、その動画に興味を持つ可能性が高いとTikTokが判断したユーザーになります。ユーザーが動画をシェアしたり、動画を最後まで見たりしてポジティブな評価を示した場合、TikTokは同じような関心を持つと思われる多くのユーザーにその動画を表示します。この評価プロセスがスピーディーに繰り返され、ユーザーからのポジティブなフィードバックループが何度も起こると、その動画は多くのユーザーに表示されるようになります。しかし、最初のユーザーグループが動画に対してポジティブな評価をしなければ、多くのユーザーへの動画表示は行われず、表示回数は制限されてしまいます。
TikTok「おすすめ」アルゴリズムに関係のあるポジティブな要因
では、どのようなユーザーアクションがポジティブなフィードバックとなるのでしょうか?
おすすめフィードに関係のある要因
TikTokでは、おすすめフィードは各ユーザーの好みを反映しています。このレコメンドシステムでは新規ユーザーが興味のあることから、興味のないことまでを調整しながら、これらを組み合わせた要素をもとに動画をランキング化し、個人に合わせたおすすめフィードを作るため動画をレコメンドしています。おすすめフィードに載る動画は多くの要因に基づいて決まります。以下は一例です:
ユーザーインタラクション:動画の「いいね」や「シェア」、アカウントのフォロー、コメント投稿、作成したコンテンツなど
動画の情報:キャプション、サウンド、ハッシュタグなど
デバイスとアカウントの設定:言語や国の設定、デバイスの種類など。これらの要素は、システムのパフォーマンスを最適化するために含まれていますが、これらの要素からユーザーの嗜好は判別するのが難しいため、レコメンドシステム上では他の要 素よりも重要度は低くなっています。
上記より、「ユーザーインタラクション」「動画の情報」の2つが「おすすめ」アルゴリズムにポジティブな影響を与える要素として重要だと考えられます。TikTokのインサイトや投稿などの取得可能なデータから、日々のアカウント運用の際に重要視すべき指標は以下になるのではないでしょうか。
ユーザーインタラクション
- リーチした視聴者数
- 合計いいね数
- 合計コメント数
- 合計シェア数
- 合計視聴時間
- 合計視聴回数
- 平均視聴時間
ユーザーが動画のどこまで見たか、そして最後まで見たかどうかも考慮されます。動画を最初から最後まで見ることは、ポジティブな関心の表れであり、他の要因よりも重要視されていると考えられます。
ビデオ情報
- ハッシュタグ
- キャプション
- サウンド
- ステッカー
特にハッシュタグは、「おすすめ」フィードでの表示以外にも、検索結果に表示される可能性もあります。特定のハッシュタグを検索し動画を視聴したり、作成したりしたユーザーは、その後も継続的にそのハッシュタグを使用する可能性が高いこともあり、重要な要素と考えられます。
参考までにTikTokでダウンロード可能なデータ一覧を下記に記載します。
動画レベル:
- リーチした視聴者数
- 合計いいね数
- 合計コメント数
- 合計シェア数
- 合計視聴時間
- 合計視聴回数
- 平均視聴時間
など
アカウントレベル:
- 動画の視聴数
- フォロワー数の増減
- プロフィールの表示回数
- 過去7日間の投稿数
- 過去7日間の人気上昇中の動画
- フォロワー数:フォロワーに関する分析(フォロワー100人以上から利用可能)
- フォロワー数の増減
- フォロワーの男女比
- 視聴者の国籍
など
TikTok「おすすめ」アルゴリズムに関係のあるネガティブな要因
また、TikTokではユーザー体験を常に最適化するため、同じビデオやあなたが興味を示さない動画が表示されないよう、以下の様なタイプの動画はおすすめフィード への掲載を推奨していません。
- ユーザーがすでに視聴したことのある動画
- スパム動画
- 重複する動画
- お客様が「興味なし」と申告した動画
- 有害または不快な可能性のある動画
そのためアカウント運用者は上記基準に抵触しないように動画を投稿する必要があります。
今回は TikTokのおすすめアルゴリズムを紐解き、TikTokでは他のSNSと異なり、インフルエンサーなどのアカウントではなく、アルゴリズムにより動画が拡散されていること、「おすすめ」アルゴリズムはユーザーからのポジティブなフィードバックが何度も起こると、短期間で多くのユーザーに動画が拡散されるが、ポジティブなフィードバックを得られない、あるいはネガティブなフィードバックを得た場合、動画の表示回数が制限されてしまうことがわかりました。
TikTokのアルゴリズムについては不明点も多く、「おすすめ」に表示される可能性が高まるかどうかは試行錯誤を繰り返すしかありません。本記事が問題の解決に至るヒントになれば幸いです。
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