月間アクティブユーザーは20億人を超え、世界で2番目にトラフィックを獲得しているYouTube。
日本においても様々な企業がYouTubeチャンネルを立ち上げ、動画施策において主要プラットフォームになっています。しかし、目的としていた認知度の拡大や、再生回数の増加につながらず、お困りの担当者も多いのではないでしょうか。
YouTubeによると、ユーザーが見る動画の70%はアルゴリズムによって推薦された動画とのことです。YouTubeで再生回数を増やすためにはアルゴリズムを理解することが重要になります。この記事では、これまでのYouTubeアルゴリズムの変遷を振り返りながら、現在YouTubeにおいて重要視されている要素を紹介していきたいと思います。
2005年~2011年 「再生回数とクリック数」
YouTubeがアルゴリズム開発に取り組み始めた当初、再生回数やクリック数で動画をランク付けしていました。人気のある動画は多くのユーザーに再生されているというシンプルな考えを元にしています。しかし、多くのユーザーに動画を表示させたいYouTubeチャンネル運用者が、とにかくユーザーにクリックさせ動画を視聴させるようなタイトルやサムネイルを採用するようになってしまいました。その結果、YouTube利用者の満足度は低下し、ユーザーはYouTubeに対して面白くないプラットフォームであるという感情を抱くようになりました。この傾向が続き、YouTubeから離れるユーザーが増加したため、YouTubeは改善を試みます。
2012年「 視聴時間」
ユーザーが動画にポジティブな評価をした場合、その動画は他の動画よりも長時間視聴されているはずである。ポジティブな評価を獲得している動画を複数公開しているYouTubeチャンネルは、他のYouTubeチャンネルより人気のあるチャンネルであるという考えから、YouTubeは各動画の視聴時間だけでなく、YouTubeチャンネル全体の視聴時間も重要視するように調整されました。
このことがYouTube公式Blogで発表されると、全体の視聴時間を伸ばすために動画を長尺にするなどの対策に乗り出すチャンネル運用者が発生していったため、YouTubeはユーザーが見たいと思うような動画をおすすめできるよう、各動画の「好き、嫌いや、アンケート」など、ユーザーの総合的な満足度を重視するようになっていきました。
2015年~現在「ディープラーニングを活用したレコメンデーションシステム最適化」
2016年になると、従来の手法では、日々公開される大量の動画の中から、ユーザーに最適な動画を推奨することが困難であるとYouTubeは考えました。そこで、ユーザーの履歴や、アクティビティに基づいて動画をおすすめするディープラーニングを用いたレコメンデーションシステムを採用するようになりました。
YouTubeはディープラーニングの内部構造の一部を以下の様に説明しています。
① ユーザーの履歴を調査して候補が作成されます。
② その候補は「ランキング」ファネルに送られます。
③ 動画がランキングファネルに到達すると、スコアが割り当てられます。
④ スコアの高いものからユーザーに提示されます。
Deep Neural Networks for YouTube Recommendations
近年ではアルゴリズムのアップデートに関して注目を集めた発表が2点(「プラットフォームの安全性向上」「ユーザー体験のパーソナライズ化」)ありました。
「プラットフォームの安全性向上」
巨大なプラットフォームに成長したYouTubeでは、レコメンドされる動画への問題が増加する様になりました。実際に、不適切な動画から広告収入を得ているなどの問題を重く受け止め、多くの有名企業がYouTubeでの広告出稿を撤収する出来事も発生しています。
このような背景から、YouTubeでは有害な誤報の拡散を抑えつつ、多様な意見を支持する責任を真剣に果たすと発表しました。
YouTubeでは、責任を果たすため以下の取り組みを強化しているといいます。
開かれた場であることを大切にするとともに、責任を守るために取り組みを近年強化してきました。この取り組みは、以下の 4 つの原則から構成しています。4 つの Responsibility( 責任): Remove、 違反コンテンツの削除
REMOVE
ポリシーに違反するコンテンツはできるだけ速やかに削除( REMOVE )します。また、今年に入り、危険ないたずらやチャレンジ、子どもの安全、悪意のある表現に関するポリシーに関して実施してきたように、ポリシーをより明確かつ効果的にするように努めています。クリエイター コミュニティーでポリシーが機能していないと感じた場合は、ぜひお知らせください。更新が必要というご意見をいただいている事柄の 1 つは、クリエイター間の嫌がらせです。前回のレターでお伝えしたとおり、この問題について調べ、今後数か月のうちに詳しいことをお知らせする予定です。
RAISE UP
人々が速報のニュースや情報を求めているときに、信頼できる情報を取り上げ( RAISE UP )ます。現在、ニュース速報棚とトップニュース棚は、日本を含む 40 ヵ国で提供していますが、今後も提供する国を増やしていく予定です。
REDUCE
ポリシーに抵触しそうなコンテンツが広まることを抑制( REDUCE )します。今年初めに米国で、動画をおすすめするシステムに変更を加えました。その結果、おすすめ動画からのこの種のコンテンツへの視聴回数が 50 % も減少しました。つまりその分、質の高いコンテンツが視聴されるチャンスが増えたといえます。英国、アイルランド、南アフリカなどの英語圏でも、この変更のテストを開始しました。
REWARDING
YouTube で収益化が可能なチャンネルの基準を上げ、基準を満たす信頼できるクリエイターが報いられる( REWARDING )ようにします。YouTube で配信が許可されている全てのコンテンツについて、広告主がブランド イメージに合っていると感じるとは限りません。YouTube は、広告主が安心して広告を掲載できるよう努めています。また、Super Chat やメンバーシップなど、クリエイター向けの新しい収益源となる機能を開発しています。広告に加えてこうした新しい機能を追加することで、数千ものチャンネルが YouTube での総収益を 2 倍以上に伸ばしています。
この結果、ボーダーラインコンテンツの視聴は70%減少したとのことです。
※YouTubeでは、ボーダーラインコンテンツを、コミュニティガイドラインに全く違反しないが、有害または誤解を招くようなコンテンツと定義しています。
「ユーザー体験のパーソナライズ化」
YouTubeのレコメンデーションシステム プロダクトマネージャーによると、2021年より「個々のユーザーに最適な動画を見つけること」と「できるだけ視聴を継続させること」という2つを重要視していると以下の動画で述べています。
Behind the Algorithms – How Search and Discovery Works on YouTube
つまり、ユーザー体験をパーソナライズするためにディープラーニングを洗練させていることが推測されます。
またパーソナライズ化のため、主に以下3つのカテゴリーを重要視していると語っています。
パーソナライゼーション
YouTubeがユーザーの視聴履歴に基づいて、その人の興味に関連すると思われるビデオを提供すること。ユーザーが特定のトピックを好んだり、特定のチャンネルをたくさん見たりすると、同じものがより多く提供されることになります。この要素は、人の興味や関心の高まりや衰退に伴う、時間経過に伴う行動の変化も重要視しています。
パフォーマンス
クリックスルー率、平均視聴時間、平均視聴率、いいね!、嫌い、視聴者調査などの指標でパフォーマンスを測定します。基本的には、動画をアップロードした後、アルゴリズムがホームページ上で数人のユーザーに動画を見せ、そのユーザーにアピールし、興味を持たせ、満足された場合、ホームページ上でより多くのユーザーに提供されるようになります。
外部要因
どのような外部要因が、動画視聴に影響を及ぼすのでしょうか?YouTubeでは視聴に影響を及ぼす主な外部要因は「トピックへの関心度」「コンペティション(他の動画よりも高いパフォーマンス)」「季節性」の3つがあると考えています。
まとめ
YouTubeは近年、ユーザーの満足度を高めるためにアルゴリズムの最適化を行ってきました。動画を視聴したユーザーにアンケートを取り、ユーザーの本音を確認したり、「インプレッションのクリック率」「視聴維持率」「高評価数」「共有数」「コメント数」などユーザーが動画に対して、ポジティブな評価を表すいくつかの指標を重視していると考えられます。これらの指標はユーザーの期待に対して、動画が応えてくれたことを表していると考えられるためです。
今回の記事が、重要視すべき指標や、運用改善施策を思いつくきっかけになれば幸いです。
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