X社最新ニュース総まとめ 【2024年11月号】 インド市場と新サービスの展開

関根健介 | 2024/11/06

X社最新ニュース総まとめ 【2024年11月号】 インド市場と新サービスの展開

X社(旧Twitter)の最新動向を毎月お届けする本シリーズでは、収益動向やサービス改定、プライバシーポリシーの変更など注目ニュースをまとめてご紹介します。広告モデルからサブスクリプション戦略への転換や、新しいブロック機能が競争環境に与える影響など、ユーザーや業界関係者に影響を及ぼすX社の動きを分かりやすく解説していきます。早速10月のX社関連情報をお伝えしたいと思います。

 

X社(旧Twitter)のインドでの収益が90%減少、大幅な人員削減が原因か

X社のインド市場における収益が2023年4月から2024年3月の会計年度で約90%も減少したことが明らかになりました。2024年度(FY24)の収益は約2億1200万ルピー(約3億8300万円)で、前年の約20億7700万ルピー(約37億4800万円)から大幅に減少しました。

 

収益減少の背景には、2022年11月に実施された大規模な人員削減が影響していると見られています。当時、X社はインドで230人の従業員のうち約180人を解雇し、コンテンツキュレーションやマーケティング部門なども含めて多くの部署が影響を受けました。その一方で、経費も約89%削減され、FY23の約16億8300万ルピー(約30億3700万円)からFY24には約1億8700万ルピー(約3億3700万円)に抑えられました。結果として、FY24の利益は3180万ルピー(約5700万円)と減少したものの、インド部門はかろうじて黒字を維持しています。

 

業界の反応

テクノロジー系メディアのTechCrunchは、この収益低迷が「広告主を維持するためにプラットフォームが世界全体で苦戦していることも反映している」と指摘しています。また、インドのテクノロジー系メディアEntrackrは、YouTubeがメディアカテゴリーからシェアを奪っているなど、インドのメディア環境の変化がX社の関連性を弱めていると分析しています。業界専門家からは、X社の収益減少が一時的なものか、それとも長期的な傾向の始まりなのかを見極める必要があるとの声が上がっています。また、インド市場における競合他社の台頭や、ユーザー行動の変化にX社がどう対応していくかに注目が集まっています。

 

API料金大幅引き上げ – 個人開発者に打撃

X社はAPIの利用料金を一部大幅に引き上げました。これにより特に個人開発者に大きな影響が出ると予想されています。

 

  • ・Basicプラン:月額100ドルから200ドルに値上げ(2倍)
  • ・Proプラン:月額5000ドルで据え置き
  • ・追加購入の回数制限:Basic・Proともに月1回までに制限
  • ・年額プランの新設:Basicは年額1800ドル、Proは5万4000ドル

 

この値上げにより、個人開発者や小規模サービスの運営者にとって、X社のAPIを利用するコストが大幅に上昇することになります。ただし、気象警報や交通更新情報、緊急通知の発信目的での利用については、引き続き無料で提供されるとのことです。

 

業界の反応

この発表に対し、開発者コミュニティからは懸念の声が上がっています。多くの個人開発者や小規模スタートアップにとって、月額200ドルという料金は大きな負担となる可能性があります。特に、APIを利用した創造的なプロジェクトや実験的なサービスの開発が抑制されるのではないかという懸念が出ています。一方で、大手企業や収益性の高いサービスにとっては、この値上げの影響は比較的小さいと見られています。しかし、エコシステム全体の多様性や革新性が損なわれる可能性を指摘する声もあります。また、X社の収益化戦略の一環としてこの決定を評価する意見もあります。APIの無料提供や低価格での提供が、企業の持続可能性に影響を与えていたという見方です。今後、この値上げがX社のプラットフォームエコシステムにどのような影響を与えるか、開発者コミュニティの動向と合わせて注目されています。

 

ブロック機能の変更でBlueskyに大量移行

X社(旧Twitter)が2024年10月17日にブロック機能の仕様変更を発表したことを受け、競合ソーシャルメディアのBlueskyが24時間で50万人以上の新規ユーザーを獲得しました。X社の新しいブロック機能では、ブロックされたユーザーでも公開投稿を閲覧できるようになりました。ただし、いいねや返信、リポストなどのエンゲージメントは不可能です。この変更は、イーロン・マスクCEOが以前から示唆していたものでした。X社の公式エンジニアリングアカウント@XEngは、この変更により透明性が向上し、ブロックされたユーザーに関する有害な情報や個人情報の共有を確認できるようになると説明しています。一方、Blueskyは10月18日に、過去24時間で50万人の新規ユーザーを獲得したと発表しました。これは、X社の仕様変更に不満を持つユーザーが移行した結果と見られています。

 

業界の反応

この出来事に対し、ソーシャルメディアユーザーや業界専門家からは様々な反応が寄せられています。

 

  1. 1.プライバシー懸念:
    多くのユーザーが、X社の新しいブロック機能がプライバシーを侵害する可能性を指摘しています。ブロックした相手に投稿が見られることへの不安が広がっています。
  2. 2.Blueskyへの期待:
    X社の変更に不満を持つユーザーの中には、Blueskyを代替プラットフォームとして歓迎する声が多く見られます。Blueskyの急成長に期待を寄せる意見も出ています。
  3. 3.ソーシャルメディア競争の激化:
    業界専門家からは、この出来事がX社とBlueskyの競争を加速させる可能性があるとの見方が示されています。ユーザー体験とプライバシー保護のバランスが、今後の競争の鍵になると予想されています。
  4. 4.X社の戦略への疑問:
    一部のアナリストからは、X社の度重なる仕様変更がユーザー離れを招いているのではないかとの指摘があります。長期的な戦略の一貫性を求める声も上がっています。

 

この事態を受け、他のソーシャルメディア企業も自社のプライバシー機能やユーザー保護策を再検討する動きが出ています。ソーシャルメディア業界全体に波及効果をもたらす可能性があり、今後の展開が注目されています。

 

 

プライバシーポリシー改定でAI学習にユーザーデータ活用

X社(旧Twitter)が2024年11月15日から適用される新しいプライバシーポリシーを発表しました。この改定により、ユーザーデータを第三者のAIモデルトレーニングに使用できるようになります。

 

主な変更点は以下の通りです:

  1. 1.ユーザーの共有情報を、生成AIなどのモデルトレーニングに使用可能
  2. 2.第三者の協力会社がユーザー情報を独自の目的で使用可能
  3. 3.ユーザーがX社に対し、投稿コンテンツの幅広い使用権を許諾

 

新しいサービス利用規約では、ユーザーがコンテンツを投稿することで、X社にそのコンテンツを様々な目的で使用する世界的、非独占的、ロイヤリティフリーのライセンスを付与することが明記されています。また、24時間以内に100万件を超えるポストにアクセスした場合、100万件あたり15000ドルの損害賠償を支払う条項も追加されました。これは、ウェブスクレイピングを抑制する狙いがあると見られています。

 

業界の反応

専門家からは、この動きがソーシャルメディア業界全体に与える影響や、データ保護規制との整合性について注目が集まっています。今後、ユーザーの反応や規制当局の対応が注目されます。

 

 

コミュニティノート表示速度の改善

X社(旧Twitter)が、誤情報対策機能「コミュニティノート」の表示速度を大幅に改善したと発表しました。新システム「Lightning Notes」の導入により、投稿から最短18分20秒でコミュニティノートが表示されるようになりました。

 

主な改善点は以下の通りです:

  1. 1.ノートの評価システムを再構築し、処理速度を向上
  2. 2.iOS版アプリのアップデートにより、ノートの評価速度が約2倍に
  3. 3.2024年10月後半の2週間で、8000件以上の投稿にコミュニティノートが自動表示
  4. 4.同期間に、コミュニティノートが2億回以上閲覧される

 

X社は、この改善によりコミュニティノートの有効性が大幅に向上したと主張しています。外部調査によると、コミュニティノートが付いた投稿の共有が約50%減少し、問題のある投稿の削除が約80%増加したとのことです。イーロン・マスクCEOも、この機能のアップグレードを称賛しています。X社は、コミュニティノートが政治的立場を問わず信頼できる情報源となっていると強調しています。

 

業界の反応

誤情報対策機能「コミュニティノート」の表示速度が大幅に改善され、最短18分20秒で表示されるようになりました。この改善により、誤情報の広がりを抑える期待が高まっていますが、20分でも不十分だとする声もあります。X社の信頼性向上とユーザー維持にどのような影響を与えるか、今後の展開が注目されています。

 

 

まとめ

X社はインド市場での収益低迷に加え、API料金引き上げや有料サブスクリプションの導入など、収益性向上を目指した戦略を続けています。データ利用方針の変化や誤情報対策の改善も進めていますが、ユーザーの懸念を呼び、競争他社にユーザーが流出する事態も発生しており、今後の動向が注目されています。

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AUTHOR PROFILE

  • 著者:関根健介
ループス・コミュニケーションズ所属。某コンサルティング会社にてWebマーケティングやバイラルマーケティングを経験した後、数年放浪し2011年12月からループスへジョイン。ソーシャルメディアの健全な普及をねがい日々精進しています。関心のあるテーマはO2O・地域活性×ソーシャル・医療×ソーシャル・ソーシャルコマース ま〜ソーシャル全般です。 【座右の銘】 意思あるところに道あり 【Facebook】www.facebook.com/kensuke.sekine.7 【Twitter】 @kensuke_sekine
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