hintゼミ DAY3 職場における対人関係の課題解決:適用課題へのアプローチ

関根健介 | 2024/11/18

hintゼミ DAY3 職場における対人関係の課題解決:適用課題へのアプローチ

hintゼミDAY3のメインテーマは職場における対人関係の課題、「適用課題」の解決方法に関してです。適用課題とは、人々の優先事項や信念を変える必要がある関係性の中で生じる難しい問題を指します。これらの課題に対し、ゴードンメソッドやダブルループ学習などの手法を活用し、問題の本質に迫るアプローチへの紹介となります。早速解説していきたいと思います。

 

 

 

適用課題とは

適用課題とは、人々の優先事項、信念、習慣、忠誠心を変えなければ対処できないような、関係性の中で生じる難しい問題を指します。これは単なる専門知識や過去の成功体験だけでは解決できず、「正解のない問題」とも表現されます。

対照的に、「技術的問題」は既存の方法で解決できる問題であり、正解が存在します。高度な専門知識や組織内の既存の構造、手続き、実行方法によって対応可能です。

適用課題の解決には、過去の成功体験から凝り固まった手法を排除し、新たな視点や方法を取り入れる必要があります。

 

 

ゴードンメソッドの活用

適用課題の解決に有効なアプローチの一つに、トマス・ゴードン博士が提唱した「ゴードンメソッド」があります。これは人間関係を円滑にするコミュニケーション技術であり、以下の考え方を基本としています。このアプローチは、win-winの関係を築くことを目指しています。

 

1. 相手の欲求を満足させる権利を尊重する
2. 自分自身の欲求を満足させる権利も尊重する
3. 双方に受け入れられる解決策を常に探す
4. 結果として、双方の欲求が満たされる

 

問題所有の原則

ゴードンメソッドの核心に「問題所有の原則」があります。これは、問題を人から取り上げてはいけないという考え方です。他者が問題解決すると、考える力や自尊心を奪ってしまう可能性があるためです。問題は人生の宿題であり、解決策は所有者の心の中にあるという認識が重要です。したがって、問題の所有者を見極めることが課題解決の第一歩になるということです。

 

問題所有者の見極め

 

1. 相手が所有する問題

相手が「相手の欲求」を満足させられない問題が起きている場合。この時、相手の言動が「自分の欲求」を損なっているわけではありません。

 

2. 自分が所有する問題

相手の言動が「自分の欲求」を満たすための障害となっている場合。問題の所有者を正しく認識することで、適切なアプローチを選択できます。

 

相手が問題を持つ場合のアプローチ

相手が問題を持っている場合、以下の3つのステップを踏むことが効果的とのことです。

1. 問題を取り上げない
2. 能動的に傾聴する
3. 未来の質問をする

 

1. 問題を取り上げない

問題所有の原則に基づき、相手の問題を奪わないようにします。救助(相手の問題を奪い、解決してしまう)ではなく、支援(相手の気持ちに寄り添い、支援する)することが重要です。

 

2. 能動的に傾聴する

自分の考えは一旦横に置き、相手の経験していること、思考や感情に共感します。「今どんな気持ちなのだろう」「何が不安なんだろう」と相手の内面に意識を向け、耳を傾け続けます。

 

3. 未来の質問をする

相手の感情が整理されてきたら、「大切にしたいことはなんだろう?」「そのためにどうしたい?」といった未来に向けた質問で、心の中にある解決策への気づきを促します。

 

 

 

自分が問題を持つ場合のアプローチ

自分が問題を持っている場合は、以下の3つのステップを踏みます:

1. 私メッセージを伝える
2. 能動的に傾聴する
3. 第三案を共創する

 

1. 私メッセージを伝える

相手の行動が嫌なとき、「あなた」主語で責めてしまいがちですが、これは避けるべきです。代わりに「わたし」のありのままの気持ちや思いを伝えます。例えば、「なんでいつも~なの」ではなく、「私は~と感じています」というように表現します。

 

2. 能動的に傾聴する

自分の気持ちを「わたしメッセージ」で伝えたあとは、完全に気持ちを切り替えて相手の思考や感情に共感します。相手の内面に意識を向け、耳を傾け続けます。

 

3. 第三案を共創する

どちらかの案を通すのではなく、問題を場に置き、一緒に解決策を考えます。以下の手順で進めます:

1. お互いの欲求や問題を理解しあう
2. それを解決するための第三案をともに考える

 

相互理解には「わたしメッセージ」と「能動的な傾聴」が大切です。

 

 

ダブルループ学習の活用

人間関係が絡む問題を解決するためのアプローチとして、経営学者クリス・アージリスが提唱した「ダブルループ学習」の紹介がありました。「ダブルループ学習」は、複雑な問題の根本原因を探り、真因を改善する思考法です。一般的な「シングルループ学習」が過去の成功体験をもとに問題解決を図るのに対し、「ダブルループ学習」では発生した問題に対して既存の目的や前提そのものを疑い、そこから軌道修正を行うアプローチをとると良いとのことです。

 

例えば、「人手が足りない」という問題に対して:

 

– シングルループ:採用を強化する(複雑性を内包したまま)
– ダブルループ:エンゲージメントを高める、無駄な業務を断捨離する(真因に迫る)

 

このように、表面的な対症療法ではなく、問題の根本原因に迫ることで、より効果的な解決策を見出すことができるとのことです。

 

 

 

心を整える重要性

適用課題に取り組む際、自分自身の心の状態を整えることも非常に重要です。以下の3つのポイントを意識すると良いとのことでした。

1. 今に集中する(マインドフルネス)
2. あるものに感謝する(有り難さ)
3. 他者を思いやる(慈悲の心)

 

これらの実践により、落ち着きを取り戻し、この瞬間に集中することができます。過去や未来に囚われず、今この瞬間に意識を向けることで、より効果的な問題解決が可能になります。

 

 

まとめ

職場における対人関係の課題、特に適用課題の解決には、従来の方法論だけでなく、新たなアプローチが必要です。ゴードンメソッドやダブルループ学習といった手法を活用し、問題の本質に迫ることが重要です。

また、問題の所有者を正しく認識し、適切なコミュニケーション方法を選択することで、より効果的な解決策を見出すことができます。「私メッセージ」の活用や能動的な傾聴、第三案の共創といった具体的な技術を身につけることで、チーム全体のコミュニケーションの質を向上させることができるでしょう。

これらの手法や考え方を日々の業務に取り入れることで、職場の人間関係はより良いものとなり、結果として組織全体のパフォーマンス向上にもつながるはずです。適用課題は簡単に解決できるものではありませんが、継続的な努力と学習によって、必ず改善の道は開けるはずです。

適用課題に対する理解を深め、効果的なコミュニケーション方法を身につけることで、より強固で生産的な組織文化を築いていくことができるのではないでしょうか。次回DAY4が楽しみです。

 

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AUTHOR PROFILE

  • 著者:関根健介
ループス・コミュニケーションズ所属。某コンサルティング会社にてWebマーケティングやバイラルマーケティングを経験した後、数年放浪し2011年12月からループスへジョイン。ソーシャルメディアの健全な普及をねがい日々精進しています。関心のあるテーマはO2O・地域活性×ソーシャル・医療×ソーシャル・ソーシャルコマース ま〜ソーシャル全般です。 【座右の銘】 意思あるところに道あり 【Facebook】www.facebook.com/kensuke.sekine.7 【Twitter】 @kensuke_sekine
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