企業経営とソーシャルキャピタルについてお話しします。

福田浩至 | 2016/11/30

企業経営とソーシャルキャピタルについてお話しします。

こんにちは。ループスのブログメディア “in the looop” のリニューアルを担当した若月くんに刺激され、近況の報告も兼ねて、ブログを書き始めてみようかなと思っている斉藤です。

今年4月から学習院大学の教壇にたちました。わからないことだらけのアカデミー界でしたが、学生たちの意見に耳を傾け、講義を改善してきました。ぬるい授業をすると5分で爆睡される過酷な環境の中で、ワークショップ、ビジネスゲーム、映画上映、白板ゆっくり書き、福引きでの席決め、ランダムアプリによる学生指名など、睡魔を追い払う多様なツールも編み出し、今では学生たちとの一体感を楽しめるようになりました。

僕の授業は週4回、専門講座は「企業経営とソーシャルキャピタル」「企業経営とトップマネジメント」「起業論」「インキュベーション塾」の4つです。熱い思いが伝わったのか、学生たちにはユニークで実践的だと好評のようです。でもそれを聞くと僕の中に「せっかく気合を入れてつくったコンテンツなんだから、ビジネスの人たちにも広く知ってもらいたい」という欲望が首をもたげてきました。

そこで今年の5月に身近な仲間に声をかけてはじまったのが「ソーシャルシフト・ラボ」です。そのチームが徐々にミッション、ビジョンを持つ組織に成長し、このたび、第一回目のオープンな活動をお披露目できることになりました。そのイベントは12月14日夜、大手町の3×3LAB futureにて。今日はそこでのストーリーの骨子をごく簡単に紹介させていただきます。

テーマは「ソーシャルキャピタル」です。

最近、ちらほら耳にされている方も多いかも知れません。例えばあなたが経営者だとしましょう。まずは優秀な人を雇いたいですよね。どんなスキル?どんな経験?そのような個人属性は「ヒューマンキャピタル」と呼ばれます。でもいくら優秀な人がそろっても、いがみあってバラバラだったら仕事にならないですよね。人間関係も「目に見えない資本」であるという考え方、それが「ソーシャルキャピタル」です。アカデミック界では注目度の高いキーワードのひとつです。

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まずは、このわかったようでわからない言葉を、きちんと定義 ── といっても、その定義が多様なのですが、もっとも一般的なロバート・パットナムの定義 ── にそって学ぶところからはじめましょう。「信頼」「規範」「ネットワーク」という言葉をひもとき「ソーシャルキャピタル」の本質を理解してゆきます。

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定義のあとは事例紹介。こちらも有名な「南北イタリア」、それに「シリコンパレーとルート128」の事例を紹介します。なぜか大きな経済格差が出てしまったこの2つの地域ですが、その原因は「ソーシャルキャピタル」にあったというお話です。

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しかし、ソーシャルキャピタルは万能ではありません。「つながり」というと暖かく有益な響きになりますが、「しがらみ」と聞くとぐっと息苦しくなってきます。では、つながりとしがらみは何が違うのでしょう?人々の関係性にはどんなタイプがあるのでしょう?

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いいものもあれば、悪いものもある。「ソーシャルキャピタル」には光と陰があるのです。では具体的に「つながり」にはどういうメリットがあり、「しがらみ」にはどういうデメリットがあるのでしょう?社内の人間関係が大切というのは誰しも知っている。でも、それがいつの間にか排他的になり、同調圧力を生んでいないか。「つながり」がどういうメカニズムで「しがらみ」に変わっていくのか。どうすればそれが防げるのか。人間関係を科学的に考えてみよう。そんなお話です。

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さらに一歩すすめて、人間関係に関する最新の研究も紹介します。延べ数百万時間におよぶ社会実験のビッグデータから、人間の集団がもつ普遍的性質を解明した、MIT教授ペントランド氏による「ソーシャル物理学」です。

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これまでの社会科学では、実験の現象かアンケートに頼るしかありませんでしたが、この「ソーシャル物理学」では、通話記録やクレジットカード履歴、GPS位置情報など、人々の行動の痕跡を示すビッグデータをもとにした研究です。そこから、人間のアイデアや行動のパターンなど、世の中のさまざまな現象も説明できるようになったのです。ちなみに彼らの研究は、MITテクノロジーレビュー誌から「世界を変える10のテクノロジー」のひとつとして選ばれています。

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ソーシャル物理学の研究結果をいくつか紹介します。特に興味深いのは「チームづくりの科学」です。彼らが解析した「最強チームの法則」とはなんでしょう?チームの中に、イチローや大谷翔平のような抜きん出た達人がいることでしょうか?しかし解明されたデータは、僕たちの直感とは異なりました。そのような突出した「個人の能力」と「組織の生産性」との間には相関関係がほとんどないことがわかりました。強いチームの秘訣は「チーム内コミュニケーションにおける3つの特性」にあったのです。

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続いてグーグルが行った、社員の生産性を極限まで高めるために各界のエキスパートを集結させて行った実験「プロジェクト・アリストテレス」についても取り上げます。

最後に、机上で学ぶだけでなく「自分の組織に、それらの知見をいかに応用すべきなのか」を発見するワークショップも行います。これにより、最新のソーシャルキャピタル理論を「明日から使えるノウハウ」としてみなさまの職場に持ち帰っていただくことが目的です。

講義のあとには、参加者同志のソーシャルキャピタルを醸成するために、軽い懇親会も用意しています。

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ちなみに今回のお話は、学習院大学の講義「企業経営とソーシャルキャピタル」(90分 × 13回) のエッセンスを、ビジネスパーソン向けにぎゅーっと凝縮した内容となっています。かわいい教え子からこんな感想をたんさんもらい、教師冥利につきると心から感謝しております。

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なお、このイベントは冒頭でご紹介した一般社団法人「ソーシャルシフト・ラボ」における、はじめてのオープンな取り組みです。ここでほんのすこしだけラボのご紹介を。

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以下のスライドシェアをご覧いただければ、もうすこし詳細がわかります。当日は200枚を超えるスライド、ムービー、ワークショップを交えた内容となりますので、ご期待くださいませ。

なお、このイベント (12月14日18:30から、大手町 3×3 Labにて) は、ソーシャルシフト・ラボとしての初トライアルなので、講義後の懇親会実費 (2000円) のみでの開催となります。参加人数には限りがありますが、もしご興味ある方はこちらのFacebookグループをご覧くださいませ。

さんさんビジネスクリエイトvol.8 ~ 幸せと成功の源泉「ソーシャルキャピタル」を学ぶ

ソーシャルキャピタル講義 (企業版の告知用抜粋版) from Toru Saito

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AUTHOR PROFILE

  • 著者:福田浩至

株式会社ループス・コミュニケーションズ副社長、博士(情報管理)

多数の企業にて、ソーシャルメディアの効果的かつ安全な運営を支援しています。 特に、企業のソーシャルメディア活用におけるルール「ソーシャルメディア・ポリシー」策定や啓蒙教育など積極的な守りの仕組みづくりが専門領域です。

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