「怪盗ロワイヤル」成功のノウハウと今後の戦略は?(DeNA大塚氏インタビュー)-後編

岡村健右(おかむらけんすけ) | 2010/08/06

「怪盗ロワイヤル」成功のノウハウと今後の戦略は?(DeNA大塚氏インタビュー)-後編

昨日アップしたDeNA大塚氏へのインタビュー前編が好評でしたので引き続き後編をお送りします。

DeNAの好業績を牽引する怪盗ロワイヤルの舞台裏(DeNA大塚氏インタビュー)-前編

大塚 剛司氏 プロフィール:

2005年に東京大学を卒業後、事業家を目指してDeNAに新卒入社。当初は営業企画として活躍するが、ビジネスとシステムの両方を理解してサービスを提供できるようになることを目指し、エンジニアに転向。同社の最初のソーシャルゲームである「怪盗ロワイヤル」の企画・開発を全て担当した。現在はプラットフォーム統括部長として活躍中

 

継続率が大事

 

—重要視している指標(KPI)は何ですか?

私たちが重要視しているのは継続率で1日後、2日後、登録日からカウントして2週間後にアクセスしたかどうかという数字です。初期の脱落者、とりあえずやってみて止めてしまうユーザーの中でもわからなくてやめてしまうユーザーを脱落させるのはもったいないのでどの段階でやめてしまっているのか(離脱率)をチェックし、チューニングを進めています。ゲーム全体のKPIは継続率、課金率、課金単価が重要な数値ですがゲーム個別に追っていく数字もあります。怪盗ロワイヤルであればバトルをちゃんとしているか、ボス戦が難しすぎないか、逆に簡単すぎないかというところは勝率を見たりもしますし、後はお宝の流通数。流通数が多すぎると簡単になりすぎ、つまらなくなっていないか、イベントには参加しているかという個々の点を見て離脱率を下げ、最終的には継続率をよくするようにしています。

 

運用体制について

—運用体制について教えてください

問合せが1次的に急増した場合には担当者に連絡されるようになっています。問合せが急増した場合はなにか問題が発生している可能性があるので、これをチェックすることでトラブルの芽を積むこともできます。今までのモバゲーの問い合わせ対応内(新潟センター)でチームソーシャルゲーム担当、怪盗ロワイヤル担当を置いています。運用後はゲームがヒットすると人員が必要になります。初期開発は一人で作っても機能追加人員、イベントを企画・準備する要員、CS要員(問合せ対応、監視)、バグ対応要員が必要になります。

 

サービスを完全にクローズする選択肢はあまりないかと思っています

—サービスを終了させる目安はありますか?

サービスとして終了するか、積極的に関与しないかという2種類があるかとは思いますがサービスを完全にクローズとする選択肢はあまりないと思っています。やはり継続率が一番大事だと思っています。例えば継続率が2週間後に10%を切っている状態だとユーザーが少ない状態で課金となり、売上が積み上がらない構造になってしまいます。そうなると少ないユーザーで争うことになりユーザーも疲弊してしまうので初期の段階で継続率が悪ければゲームを抜本的に改造するか、クローズするかのどちらかと考えています。抜本的な改造でも継続率が上がらなければ即終了という判断になります。

 

継続率、課金率、課金単価の目安

トータルでの売上よりも売り上げを構成する継続率、課金率、課金単価を重視しています。課金率、課金単価はある程度上げていけますが、継続率はゲームの本質のところが出る部分なので継続率が低い場合にはクローズしてしまったほうが賢明です。もちろん継続率が低くても課金率が高ければよいというもありますし、逆に継続率が高くても課金率が低ければ続けることが難しいということもありますが基本的には先日公表させていただいた数字で収まるのかなと思っています。

※先日公表した数字とは

100万人登録時に月間コイン売上1億円売上るための目安

■ユーザの継続率(登録X日後におけるDAU/登録者数)
・ユーザ登録後  7日後 30〜40%
・ユーザ登録後 14日後 25〜35%
・ユーザ登録後 30日後 20〜30%

■課金率
5〜10%(対MAU)

■課金単価
1,500〜3,000円/月

【モバゲーオープンプラットフォーム2010発表資料より】

 

Facebook版BanditNation(怪盗ロワイヤル)を8月末で終了する理由

—Facebook版BanditNationを8月末で終了する理由を教えてください

テストマーケティングの意味合いもありましたが、ビジネスとしてやっていたのでドカンといけば別の判断もありましたが今回は会社としてどこのリソースに当てていくという点でFacebook版BanditNationのような単体のアプリではなく、複数のアプリを共通のコミュニティ上で使用できるiPhoneのMiniNationでプラットフォーマーとしてスマートフォンをがっちり取っていくという方向になっています。このような背景を元にしていますがサービスとして継続率も目標よりもいまいちだったということもあります。

 

iPhone版BanditNationについて

—iPhone版BanditNationの状況を教えてください

まだ会員は数百万人レベルまではいっていません。4アプリでのMiniNation上でソーシャルグラフを取れるようにしています。MiniNationに参加してもらい、そこからまた別のゲームに今の国内モバゲーでできているいい流れを持っていきたいと思っています。


MiniNationとはDeNAがiPhoneで提供している「Bandit Nation」「Mini Solitaire」「MiniBalloonHunt」「MiniNumberPlace」の4アプリをソーシャルゲーミングプラットフォームであるOpenFeint上での共通コミュニケーションの場(iPhone上でのモバゲーみたいなものです)。
詳しくはTechCrunchの記事を参照ください

 

iPhone版BanditNationを日本版を提供していない理由

—iPhone版BanditNationは日本国内では使えませんが、なぜでしょうか?

どうやってソーシャルグラフを構築していくかを考えていましたが、まずiPhoneの市場規模の一番大きい英語圏をターゲットにするためです。英語、日本語がごちゃまぜにならないように、まず英語でコミュニケーションをしてもらっていくことを考えました。現在の国内モバゲーユーザーのソーシャルグラフを大切にしたいと思っているので現在の携帯からスマートフォンにもソーシャルグラフを引き継げるようになればいいと思っています。

 

Android上でもMiniNationを提供予定

—AndroidでMiniNationを提供される予定はありますか?

開始時期はまだお答えできませんがMiniNationをAndroid上でも提供する予定です。iPhone MiniNationのソーシャルグラフ、コミュニティを共通にしクロスプラットフォームにしていければと思っています。

 

戦国ロワイヤルをリリースした経緯

—戦国ロワイヤルを開発した経緯を教えてください。

怪盗ロワイヤルの世界観を変えてサービス提供するとどうなるかを見てみたかったということと、アバター連動できるゲームを提供してみたかったことがあります。実際に戦国ロワイヤルではモバゲーのアバターがそのままゲーム中(ボス対戦時)に出てくることができます。この部分は他のSAPさん参考になるかと思っています。既に9アプリほどはアバター連動したSAPさんのアプリも提供されています。SAPさんのゲーム内でのモバゲーアバターを利用する道筋は作られたかなあと思います。

 

いきなりランキング2位になっていましたが

—戦国ロワイヤルがいきなりランキング2位になりましたがクロスプロモーションはどこまでされましたか?

クロスプロモーションはそれほど実施していませんが、どこまでクロスプロモーションすればいいのか難しいところもあります。怪盗ロワイヤルから流れたユーザーがそのまま別のゲームに行ってしまい怪盗ロワイヤルでは遊んでもらえなくなるという危険性もありますし、全く違うゲーム性、例えばバトル系→ほのぼの系への誘導は意味のないケースも多いと思います。

 

今後の展開について

—今後の展開について教えてください

今成功しているのは国内かつフィーチャーフォンですがyahoo!×モバゲーが10/1にオープンし、日本でもPCのソーシャルゲームが盛り上がるんだということを世界に向けて証明したいと思っています。SAPさんにも無理を言って準備してもらっていますがみなさんと一緒に成功させたいなと思っています。あと今後台頭してくるスマートフォン(iPhone、Android)はユーザーの感覚がタッチパネルになることにより、今までと違ったものになる可能性があり今までのゲームをそのまま出せば成功するというものでもないと思っています。スマートフォンを皮切りに世界に進出していきたいですが、DeNAだけではもちろん難しいので他のSAPさんとともに知恵を絞りあってやっていきたいと思います。ソーシャルゲームはこうすればいいんだということが提示でき世界をリードできる存在になるのが理想です。

 

あとがき

大塚さん。お忙しいところインタビューにご協力ありがとうございました。仕事で何度かお打ち合わせにはご一緒させていただきましたが今回は個人的にお話を聞かせていただきました。日本のソーシャルアプリ開発の第一人者ですがいつもすごく気さくな感じの方です。次は是非、初台のお寿司屋さんでお願いします(笑)

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AUTHOR PROFILE

  • 著者:岡村健右(おかむらけんすけ)

ソーシャルメディアコンサルタント

グループウェア「LotusNotes」のシステムエンジニア(データベース開発/システム運用)を経て、米国製CRM/CMSパッケージの国内販売立ち上げ事業にてマーケティング、セールスエンジニアを経験後、ループス・コミュニケーションズにて社内SNS、コミュニティ立ち上げ事業の営業、コンサルティングに従事。

専門分野は社内ソーシャルネットワーク(社内SNS)、ゲーミフィケーション。

著書「ゲームの力が会社を変える -ゲーミフィケーションを仕事に活かす-(日本実業出版社)」

共著「ソーシャルメディアダイナミクス(毎日コミュニケーションズ)」「ゲーム産業白書Decade(メディアクリエイト)」

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