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【世界体操Facebookページの運用考察】コミュニケーション設計と効果測定から運用効果を最大化する

 

日本国内におけるスポーツ分野で、ソーシャルメディアはどのように活用されているのでしょうか?

「選手の本音が知りたい。選手とオンラインで交流がしたい。」という想いを抱くファンに対して、日本のスポーツ業界は、その期待に応えられているのでしょうか?

 

現状は、ごく一部のチーム・選手がソーシャルメディアアカウントを持っているのみで、ファンと積極的な“コミュニケーション”を行って、ソーシャルメディアを活用している例はまだ限られています。

 

そこで今回は、昨年参加させて頂いた「世界体操 東京2011Facebookページ」プロジェクト(以下、本プロジェクトという)を例に、Facebookページ上で大会運営事務局(以下、事務局)とファンの間にどのような“コミュニケーション”が行われて、どのような“成果”を得たのか、そのプロセスと結果を簡単にご紹介したいと思います。

 

※  Looops社は、世界体操 東京2011Facebookページ(以下、世界体操Facebookページ)の企画〜運用に携わりました。

※  体操協会様から各指標の数値、インタビュー内容の公開許可を頂いております。

※  各指標の分析には、ユニークビジョン株式会社が開発しているBelugaを利用しております。

 

 

 

世界体操Facebookページプロジェクトの概要

 

世界体操 東京2011Facebookページはこちら

 

 

以下に世界体操Facebookページについての簡単な概要をまとめます。

 

【運用目的】

① 日本国内の体操ファンに大会を知ってもらう、または大会の開催会場に来場してもらうこと

② 体操競技に興味関心を持ってもらい、少しでも体操を身近に感じてもらうこと

③ ファン同士の交流、世界体操大会事務局とファンの交流を図ることで、今まで知り得なかった体操ファンの思いを視覚化すること

 

【運用スタンス】

① 普段決して表に出ることのない選手の素顔や試合の裏舞台を公開することで、

  プレミアム感のある、ここでしか得られない魅力あるコンテンツを投稿する

② 体操の楽しみ方や選手への応援メッセージを通じたファンと事務局がコミュニケーションを行い、

  より体操を好きになってもらえるような運用を心がける

 

【ターゲット】

① 体操競技のコアなファン

② 体操競技に興味関心はあるが、知識はあまりないファン

③ 体操競技について全く知識はない潜在的なファン

 

【コンテンツ内容】

① 体操についての知識情報(技、歴史)

② 選手オフショット(会場やテレビでの中継では見られない選手の写真、裏話)

③ 大会の日程、結果、選手、チーム情報

④ 大会オフィシャル情報(会場、チケット、交通など)

 

 

運用結果の振り返り

 

上記の概要に基づき運用した結果について、以下にまとめました。特筆すべきはエンゲージメント率だと思います。

 

【エンゲージメント率】

約5ヶ月の運用の結果、Facebookページに対するエンゲージメント率(※1)は、4.24%を記録しました。ファン数が5,000人程度のFacebookページで平均的なエンゲージメント率は0.9%前後なので、4.24%という数字は評価されるものだと思っています。

 

※1. エンゲージメント率とは、Facebookページ内でどれくらいのファンがアクションを起こしているのかということを表現するものです。一口にエンゲージメント率と言っても実に様々な計測方法があるのですが、今回はfacenaviで提唱されているFacebookエンゲージメント調査結果を参考にし、「エンゲージメント率=(投稿に対するいいね!数+コメント数)/ファン数」という算出方法を採用しています。 

 

【いいね!・コメント数、インプレッション数】

運用期間内で、寄せられた投稿に対するいいね!数は19,624、コメント数は1,746、投稿コンテンツのインプレッション数(※2)は2,549,840を記録しました。

 

※2. 昨年末からFacebookインサイトの項目が変更され始めており、インプレッションではなくリーチという指標に変わりつつあります。

 

 

 

上記の運用結果数値を表した世界体操Facebookページの最終的な状況を以下にまとめています。(2011年10月31日時点)

 

 

 

運用を最適化させ、活性化させるコツ

 

事務局は世界体操Facebookページを運用する際に以下の3点を意識していました。

 

① ファンとの接点を大事にして、対話の頻度を上げる

② “体操”を楽しめる空間を演出し、ファンに貢献できるコンテンツを投稿する

③ 最適な時間に投稿する

 

Facebookには、エッジランクという仕組みがあるのをご存知でしょうか。

 

エッジランク=「親密度(コミュニケーションの量)」×「重み(コミュニケーションの質、ファンアクション数)」×「情報の新鮮さ(投稿の経過時間)」

 

これは、Facebookページでの投稿をより多くのファンに届けるために意識しなければいけない大事なポイントです。

エッジランクを意識した運用は、投稿コンテンツの露出数とページの活性化に大きく影響するので、運用の効果を最大化するための投稿時間と、ファンに喜ばれるコンテンツ設計の最適化は、Facebookページを活性化させるのに非常に重要なファクターだと思います。

 

Facebookページごとに状況は異なりますが、本プロジェクトでは定期的な効果測定を行い、運用状況を常に確認しながら進めていました。

 

以下は何時に投稿するとファンのアクションが一番多いのか?ということを把握する為にBelugaにて作成したグラフです。

 

 

 

こちらで紹介しているのは本プロジェクト期間全体での数値ですが、10時〜12時の時間帯と、18時〜24時の時間帯で多くのファンアクションを得られていることが見て取れます。

特に23時台にコンテンツを投稿することで、多くのいいね!やコメントが集まる可能性が高いことを示唆しています。

 

この“ゴールデンタイム”は、Facebookページによって異なりますので、是非一度分析されることをオススメします。

 

 

以下はカテゴリーごとに、細かく分けたコンテンツがどれくらいファンアクションを得られたのかを分析した9月と10月の2ヶ月分のデータです。

 


赤色部分が注目すべき箇所ですが、「選手からのメッセージ」「試合結果」に関して、ファンアクションが得られる可能性が高いことを示しています。

 

このようなデータを取得し、コンテンツ内容と投稿時間の最適化を図ることで、効果を最大化することができます。「このようなコンテンツはファンに喜んでもらえるのではないか?この時間帯に投稿すればより多くのアクションが集まるのではないか?」という仮説のもと、時間とコンテンツ内容を最適化するPDCAを回していく必要があります。

 

この一連のプロセスが最適化されて初めて、Facebookページが活性化し、効果も最大化するのです。

 

 

ファンとのコミュニケーションを通じて得られた成果

 

 

【チケット購入の事例】

体操競技のファンであるものの、会場に足を運ぶことを躊躇するファンがいました。事務局が今大会の魅力を伝え、ファンとコミュニケーションを行った結果、チケットの購買アクションを後押しできたに例です。

 

実際には、小さい出来事かも知れません。しかし、ソーシャルメディア上で自然な形でコミュニケーションができているからこその結果

 

 

【大会に対するご意見を頂き、すぐに運営改善を行えた事例】

大会会場への来場者が大会の運営について、いくつかの気付きをFacebookに投稿されました。事務局は即座にそれに対応して、結果を投稿しました。その結果、意見を述べられた方は感謝のコメントを述べられています。

 

 

注目点としては、コメントを頂いてから返答までの時間と対応状況をコメントに投稿して報告するまでの時間がいずれも1時間以内であるということです。

迅速な対応はファンを驚かせます。その驚きがファンの心理を揺さぶり、初めは少しネガティブな投稿内容だったのですが、最後には大会の成功を祈るようなコメントを下さっていました。

 

 

日本体操協会 常務理事 遠藤幸一様へのインタビュー 

 

事務局が世界体操Facebookページで行ったファンとのコミュニケーションは、体操競技や体操協会にどのような変化をもたらしたのでしょう?

日本体操協会 常務理事 遠藤 幸一様にコメントを頂きました。

 

 

 

最後に

 

日本国内において、体操競技は決してメジャーなスポーツではありません。その競技について感動を共有する場、語り合う場の存在があまりにも少数なのが現状です。それらの場でさえ、世界体操Facebookページの運用開始時には、各所バラバラに存在していたため、ごく一部のファンの薄い“コミュニケーション”しか発生していなかったのです。

 

Facebookというコミュニケーションインフラが日本でも活性化しつつある今、その空間で体操競技に関する一つのページを立ち上げることには大きな意味があったのと同時に、上記の結果を得られたことは大変意義深いものがあったと思います。

 

少ないコアなファンに、Facebook上で素晴らしい体験を提供することで、きちんと貢献を行う。

その貢献がやがて大きな共感となって、いいね!やコメントなどのアクションにつながる。

そういった好循環を生み出せたのではないか?と感じています。

 

 

 

 

ソーシャルメディア×スポーツをテーマにした講演を承っております。
どんな小さなことでもお気軽にご連絡頂ければと思います。

【記事執筆】
北野 達也
Twitter:@TatsuyaKitano
Facebook:TatsuyaKitano
岡田 純一
Facebook:junichi.okada.111
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北野達也

ソーシャルメディア・コンサルタントとして活躍している28歳。専門分野はスポーツで、2011年度はJリーグ特命PR部の公認キュレーターとしてJリーグとサッカーの魅力を広めていくために活動したりするなど、スポーツとソーシャルメディアの可能性について探求している。ITmediaオルタナティブブログ「SS the WORLD」執筆中。

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