【速報】モバゲーがオープン化戦略を発表。mixi,Facebookとの緊急比較

斉藤徹 | 2009/10/06

【速報】モバゲーがオープン化戦略を発表。mixi,Facebookとの緊急比較

10月5日,株式会社ディー・エヌ・エーは「モバゲーオープンプラットフォームForum2009」において,正式に「モバゲータウン」(以下,モバゲーと省略)のオープン化計画を発表した。

■ DeNA,「モバゲーオープンプラットフォームForum2009」開催 (GAME Watch, 2009/10/5)

Facebookの完全オープン戦略,GREEの完全クローズ戦略に対して,mixiとモバゲーは,アプリはオープン化するが,課金広告インフラは自社で提供するという半オープン化戦略をとっているのが特徴だ。

Moba1

 

そもそもオープン化戦略は,高い収益性を見込めるアプリ部分を開放することで,多くのアプリ・デベロッパーの参入を促進し,コンテンツ優位性によるサービス拡大を狙うものだ。したがって成否の最も重要なポイントは 「デベロッパーが儲かるか」 どうかである。

この意味で,実は課金広告インフラの仕様が決定的に重要となる。

では,この部分を機能分解し,モバゲーの発表内容をFacebookやmixiと比較してみよう。

Moba2

この図を見てわかるとおり,mixiのオープン化と比較して,モバゲーのそれは精緻に設計されており,仮想通貨やアフィリエイト広告,アバター,さらには投稿監視まで,自社サービスの範囲を広げている。

特にアバターと投稿監視サービスをアプリ・デベロッパーに提供するモデルは世界初といってよいだろう。しかもアバターはアイテム販売やゲーム連動まで提供するという高度なものとなっている。また携帯SNS特有の投稿監視規制に対応するため,自社投稿監視サービスで対応するためのAPI提供を提供するという画期的な仕様になっている。

さて,最も重要なアプリ・デベロッパーの収益性についても考察しておこう。

過去のブログ記事でも記載しているが,FacebookやMyspaceにおいてデベロッパーが高い収益をあげているのは,主として「アフィリエイト広告」の還元によるものだ。

それに対して,mixiアドプログラムでは「バナー広告」の提供にとどまっており,デベロッパーへの還元はCPM(1000pvあたりの単価)で10円-50円,アプリの貢献度によりmixiにランク付けされる仕組みとなっている。またPCより広告効率の良い携帯の還元率は未発表だ。

一方,モバゲーの場合,CPM,CPA,アフィリエイトと多様な広告インフラを自社提供し,還元率は一律70%と発表した。モバゲーのCPM広告単価は携帯のために高く,バナーサイズなどにもよるが300-400円程度である。したがってその70%というと210-280円程度が期待できることになり,mixiのPC還元単価に比べてヒトケタ違う高い配当となることが予想される。

また,Facebookのアフィリエイト広告還元がCPM換算で数千円のレベルになっていることを考えると,モバゲーにおけるアフィリエイト広告もバナー広告よりさらに高還元となることが予想される。

ただし,課金については,mixiの80%還元に対してモバゲーは70%還元と,手数料が割高になっている。(ちなみにFacebookは課金もサードパーティに開放しており,還元率は90%を超える)

結論としては,モバゲータウンのオープン化戦略は,Facebookとは一線を画す新しい方向性を示したものであり,綿密に練られた高度なサービスになっている。またデベロッパーにとっても高い収益を可能にする優れたインフラサービスと言ってよいだろう。

もとよりモバゲーは,それまで収益性に疑問を持たれていたSNSというインフラで,世界で初めて高収益をもたらすビジネスモデルを開発した日本の誇るフロンティア・サービスである。今回のオープン化が,モバゲー自身はもちろんのこと,その恩恵にあずかる日本の若手ベンチャーにとっても大いなる発展のきっかけとなることを期待したい。

【追記1】
「はてブ」に大変参考になるコメントがありましたので追記します。モバゲーはアプリをオープン化しましたが,自社でもそのアプリを開発するという点において,他のいずれのSNSとも異なる性格を持っています。単なる競合ではなく,他のデベロッパーと相乗効果が出せる形をとれれば,さらに進化したモデルになると考えます。

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AUTHOR PROFILE

  • 著者:斉藤徹

株式会社ループス・コミュニケーションズ代表取締役。

 

1985年、慶應義塾大学理工学部を卒業し、日本IBM株式会社入社。1991年2月、株式会社フレックスファームを創業。2005年7月、株式会社ループス・コミュニケーションズを創業し、ソーシャルメディアのビジネス活用に関するコンサルティング事業を幅広く展開。20年を超える起業家としての経験とビジネスに関する知見に基づき、ソーシャルシフトの提唱者として「透明な時代におけるビジネス改革」を企業に提言している。著書に『再起動 リブート』(ダイヤモンド社)『BEソーシャル 社員と顧客に愛される5つのシフト』『ソーシャルシフト これからの企業にとって一番大切なこと』(日本経済新聞出版社)、『新ソーシャルメディア完全読本』(アスキー新書)、『ソーシャルシフト 新しい顧客戦略の教科書』(共著、KADOKAWA)など多数。

 

2016年4月から学習院大学経済学部経営学科の特別客員教授に就任。「起業論」「企業経営とトップマネジメント」「企業経営とソーシャルキャピタル」「インキュベーション塾」の講義を担当する。

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