全127ヶ国、世界最大級のアプリ開発動向が発表 〜 アプリからのコマース売上が急拡大

斉藤徹 | 2014/02/10

全世界127国、7000ものアプリ・デベロッパーを対象とした世界最大級の調査「Developer Economics Q1 2014」がVision Mobileから発表された。今やモバイルアプリは業種を問わないキラー・テクノロジーであり、日々進化するアプリ動向はあらゆる事業者にとって重要な環境要因となっている。今回の調査においても興味深い結果が報告されているので、そのサマリーを紹介したい。なお、報告書データ本文は こちら からダウンロードできる。

 

 

アプリ・デベロッパー調査の概要

 

アプリ開発は、1ドル100円換算(以下同)で、2013年で6.8兆円、2016年には14.3兆円規模になると予想されている。右図はアプリ開発者の世界分布で、アジアが76万人、欧州と北米が68万人となっている。

 

 

 

平均すると、事業者は同時に2.5個のプラットフォームでアプリ開発をしている。参考まで、半年前の調査では2.9個だった。

 

端末装置の優先度ではスマートフォンが72%となり、PCの13%、タブレットの12%を圧倒した。ただし第二優先度ではタブレットが57%と急増している。

 

 

アプリ開発プラットフォーム・サマリー

 

以下の表は、五大開発プラットフォームにおける市場シェア、開発者のマインドシェア・優先度・ロイヤリティ、平均収益などをまとめたものだ。参考まで、マインドシェアの対前年比は、Androidが▲1%、iOSが▲1%、HTML5が+2%、WidowsPhoneが+5%、BlackBerryが▲1%となっており、今後、HTML5とWindowsPhoneが勢いを増す可能性が示唆されている。

 

特に興味深いのは、間初環境によってアプリ開発事業者の収益状況が大きく異なる点だ。その詳細をあらわしたのが下図だ。

 

この図は、アプリの月次収益をベースにした開発環境ごとの分布があらわされたもので、月500万円超がオレンジ、月100-500万円がブルー、月5-100万円がグリーン、月5万円未満とほとんど収益がないものがグレイで示されている。収益の点が見るとiOSがもっとも有利で、HTML5とAndroidが続く。BlackBerryやWIndows系のアプリは収益面で苦戦していることがわかる。

 

 

アプリ端末機器サマリー

 

次の図は、スマートフォン、タブレット、PC、フィーチャーフォン、ゲームコンソールなどのアプリ端末機器ごとに、アプリ開発事業者から見た優先度をあらわしたものだ。彼らが圧倒的に支持しているのはスマートフォンだが、第二優先度としてタブレットが急浮上しており、マインドシェアでついにPCを大きく上回った。

 

なお、端末機器ごとのメイン開発環境としては、スマートフォンではAndoidが40%に対してiOSが31%、タレットではAndroid28%に対してiOSが52%となっており、タブレットにおいては現時点でiOSの支持が大きいことがわかった。

 

 

アプリ収益状況サマリー

 

 最後に、気になるアプリ開発の収益状況のサマリーを見ておきたい。これはアプリ開発事業者の収益を直接収益 (受託開発およびコミッション、ダウンロード課金、アプリ内購入、フリーミアム、会員料金、ロイヤリティやライセンス) と間接収益 (アプリ内広告収益、ブランド認知など、開発者サービス、コマース売上、アフィリエイトなど) に分け、それぞれの比率および平均収益を調査したものだ。

 

今回、この調査でもっとも注目されるのが、アプリからのコマース売上が大きな伸びを示していることだ。月平均収益で見ると28万円と他の課金形態を大きく凌駕しており、コマース対応のアプリもこの半年で3ポイント(5%から8%)も増えている。以下のVentureBeat記事にもあるように、この点はこの調査でもハイライトと言えるだろう。

 

It’s not pay-for-download. Not advertising. Not freemium. And not in-app purchases. Instead, for the rank-and-file of the hundreds of thousands and perhaps millions of mobile developers around the world, e-commerce is now the most lucrative mobile monetization strategy. (VentureBeat)

 

ダウンロード課金でも、広告でも、フリーミアム、アプリ内広告でもない。世界のアプリデベロッパーにおいて、今やコマースこそが、最も儲かるマネタイズ戦略となったのだ。

 

なお、2013年10月に矢野経済研究所から発表(プレスリリース)された「国内スマートフォン・コマース市場規模予測」においても、2013年見込みの1.35兆円に対して、2015年は2.67兆円と2倍近い急成長と予想されており、このアプリ収益傾向は日本でも同様に推移する可能性が高いと言えるだろう。

 

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5 件のフィードバック

  1. mpresso より:

    全127ヶ国、世界最大級のアプリ開発動向が発表 〜 アプリからのコマース売上が急拡大

  2. kazuyadesse より:

    ( ´ ▽ ` )ノ

  3. TAKAPPRS より:

    へぇー。参考に。

  4. hiroomi より:

    “開発環境としては、スマートフォンではAndoidが40%に対してiOSが31%、タレットではAndroid28%に対してiOSが52%となっており”

AUTHOR PROFILE

  • 著者:斉藤徹

株式会社ループス・コミュニケーションズ代表取締役。

 

1985年、慶應義塾大学理工学部を卒業し、日本IBM株式会社入社。1991年2月、株式会社フレックスファームを創業。2005年7月、株式会社ループス・コミュニケーションズを創業し、ソーシャルメディアのビジネス活用に関するコンサルティング事業を幅広く展開。20年を超える起業家としての経験とビジネスに関する知見に基づき、ソーシャルシフトの提唱者として「透明な時代におけるビジネス改革」を企業に提言している。著書に『再起動 リブート』(ダイヤモンド社)『BEソーシャル 社員と顧客に愛される5つのシフト』『ソーシャルシフト これからの企業にとって一番大切なこと』(日本経済新聞出版社)、『新ソーシャルメディア完全読本』(アスキー新書)、『ソーシャルシフト 新しい顧客戦略の教科書』(共著、KADOKAWA)など多数。

 

2016年4月から学習院大学経済学部経営学科の特別客員教授に就任。「起業論」「企業経営とトップマネジメント」「企業経営とソーシャルキャピタル」「インキュベーション塾」の講義を担当する。

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