昨年8月のリリース以来、毎日1.5億人が利用するInstagram Storiesに広告が導入された。Instagramの広告主数は100万を突破し、昨年の同時期から20万増加と、ビジネス面でも急成長している。
今回は、2017年2月度における、いいね!率が高い企業アカウントの投稿を見ていきたい。今回もInstagram分析ツール「Aista」を利用し、いいね!率ランキングを、フォロワー数規模別に作成した。さらに、各ランキングの中でいくつかアカウントをピックアップし、運用や投稿の特徴を整理、解説する。
Instagram いいね!率 調査方法
・データ提供元について
Instagram分析ツール「Aista」登録アカウント
・データ取得期間
2017年2月1日〜2月28日
・いいね!率の定義
投稿のいいね!数÷投稿時のフォロワー数
・ランキングの用語解説
-カテゴリ:Aista内で振り分けられた分類
-平均いいね!率:期間中の1投稿あたりの平均いいね!率
-フォロワー数:期間最終日のフォロワー数
-投稿数:期間中の投稿総数
-平均ハッシュタグ数:期間中の1投稿あたりの平均ハッシュタグ数
全体サマリー
当記事では、Instagramにおける企業アカウントのフォロワー数別に平均いいね!率によるランキングを作成した(フォロワー数5,000〜9,999、10,000〜49,999、50,000〜99,999、100,000〜)。下記は、作成したフォロワー数別のいいね!率ランキング上位10の平均を比較したものである。
()内は前回(2017年1月度調査)数値
全体では、テレビカテゴリのアカウントが多く見られ、天才!志村どうぶつ園などが新しくランクインした。
平均いいね!率をみると、フォロワー数50,000〜99,999以外は全て上昇傾向。1月放送開始ドラマのアカウントが順調に成長していることに加え、映画「たたら侍」などは投稿数が大幅に増加した。
ランキング上位のアカウントの顔ぶれは大きくは変わらず、また投稿内容もこれまでの記事で紹介したものから大きな変化はないものの、一定の投稿頻度を保ち運用することで、既存ユーザーを楽しませつつ新規フォロワーを獲得している。
フォロワー数5,000〜9,999の企業アカウント
いいね!率ランキングトップ10
平均いいね!率 19.01%(前回18.88%)
平均投稿数 16.7(前回18.8)
平均ハッシュタグ数 14.0(前回8.8)
平均いいね!率は前回から若干の上昇。天才!志村どうぶつ園の平均いいね!率が51.42%と圧倒的に高く、フォロワー5,000〜9,999規模の平均いいね!率を牽引した。
平均投稿数は全体的には減少しているが、前回もランクインしたみんなのニュース「上を向いて歩こう」や愛知県田原市は前回よりさらに投稿数が増加し、かつ平均いいね!率も高く、良好な運用状況と言える。
ピックアップアカウント
天才!志村どうぶつ園(1位:平均いいね!率51.42%)
最初の投稿が2月11日だが2月末にはフォロワー数が7,000人を超えるなど急激にフォロワーが増えた。これまでドラマや情報番組のアカウントのランクインが目立った中で、動物バラエティ番組のアカウントとして異彩を放つ。
投稿は、出演者のオフショットより動物の写真が多く、ハッシュタグも「#志村どうぶつ園」など番組名の他、動物名や動物と相性が良いと思われる「#cute」「#かわいい」などを使用している。Instagramとかわいい動物の相性が良いのか、いずれの投稿もいいね!率が非常に高い。
投稿:出演する動物の写真
投稿:出演者と動物の写真
フォロワー数10,000〜49,999の企業アカウント
いいね!率ランキングトップ10
平均いいね!率 19.02%(前回17.99%)
平均投稿数 26.7(前回14.6)
平均ハッシュタグ数 12.1(前回13.0)
平均いいね!率は19.02%で前回から上昇。THE NINE WORLD、映画「たたら侍」、下克上受験などテレビや映画関連アカウントの投稿数が多く、全体の平均投稿数も26.7件と前回から10件以上増加。
放送開始した日本テレビ「スーパーサラリーマン左江内氏」や下克上受験は前回はフォロワー数5,000〜9,999のランキングに入っていたが、順調にフォロワー数が増加し今回は10,000〜49,999のランキングに入った。
テレビや映画関連アカウントが多い中で、以前紹介した陸上自衛隊や伊勢神宮は継続してランクインし、特に前者は順調にフォロワー数が増加している。いずれも独自の世界観を作り込んでいることが特徴。
ピックアップアカウント
映画「たたら侍」(2位:平均いいね!率25.48%)
投稿数が前回19件から今回81件と大幅に増加し、運用が活性した影響もあるのか、フォロワー数が前回から2倍以上増加。前回はフォロワー数5,000〜9,999のランキングに入っていたが、今回は10,000〜49,999のランキングに入った。
ドラマや映画関連アカウントの投稿でよく見られる撮影のオフショットは、動画投稿やカルーセル投稿を用いていた。また、宣伝用のパネルを様々なシーンで活用して投稿し、出演者だけでなくファンと一緒に写った写真もなども投稿していた。投稿数が多い中で投稿に幅を持たせ、ファンを楽しませている。
さらに、Twitterで実施されたバレンタインキャンペーンの様子を、Instagramでも積極的に紹介し、動画投稿も用いて盛り上げていた。
投稿:オフショット動画
投稿:宣伝用のパネルを用いた投稿
投稿:バレンタインキャンペーン関連の投稿
フォロワー数50,000〜99,999の企業アカウント
いいね!率ランキングトップ10
平均いいね!率 10.57%(前回11.71%)
平均投稿数 24.3(前回21.7)
平均ハッシュタグ数 6.9(前回4.7)
平均いいね!率は10.57%で、前回からやや低下。映画「ひるなかの流星」と兄に愛されすぎて困ってますの平均いいね!率がそれぞれ20%を超え、引き続き高い水準を維持している。
前回からランキングの顔ぶれは大きくは変わらず、人気のアカウントが活発に運用を継続し、フォロワーからも評価された形だ。ただし、このフォロワー数の規模では通常の運用だけでは急激なフォロワー増加は難しく、これ以上のフォロワー増加を目的とするのであれば専用の施策をとる必要もあるだろう。
ピックアップアカウント
テレビ・映画関連アカウントやファッション関連アカウントを除くと、一般ユーザーの投稿した写真を用いて再度投稿する運用が多く見られた。
猫好き集合!! みんなのねこ部 [みんねこ] (3位:平均いいね!率11.08%)
RECO(11位:平均いいね!率4.68%)
GoPro (13位:平均いいね!率4.52%)
フォロワー数100,000〜の企業アカウント
いいね!率ランキングトップ10
平均いいね!率 7.95%(前回7.43%)
平均投稿数 24.1(前回16.4)
平均ハッシュタグ数 11.3(前回8.3)
前回調査時から平均いいね!率はやや上昇、平均投稿数は大幅に増加した。TBSドラマ「カルテット」、東京タラレバ娘など放送中のドラマアカウントの平均いいね!数が10%を超えた。両アカウントともフォロワー数の規模は大きいが、継続して新たなフォロワーを獲得しており、TBSドラマ「カルテット」は前回から2倍以上、東京タラレバ娘は1.5倍以上もフォロワーが増加した。
これまでの記事で紹介してきた投稿内容と大きくは変わらず、安定した投稿を行うことでフォロワーを獲得していると考えられる。
その他ではBabyful Storeやママリなどは、フォロワー50,000〜49,999で紹介した事例と同様に、ユーザーの投稿した写真を再度投稿に用いる形式の運用をしている。
アカウントプランナー紹介:若月 翼(わかつき つばさ)
1990年山梨県生まれ。早稲田大学スポーツ科学部を卒業後、インターン期間を経てループスにジョイン。在学中はスポーツ政策の学生学会の運営やアスリートの震災復興支援活動のサポートなどを行う。現在は企業のソーシャルメディア活用支援などに従事。最近の興味関心はスポーツ×VR。@tsubasa_waka
in the loopによる調査結果。ツールAistaを利用。