若い世代を中心に人気が高いソーシャルメディアであるInstagram。6月にはInstagram StoriesのDAUが2.5億人を突破するなど、引き続き好調だ。
今回も、最新の企業のInstagram活用状況をお届けする。2017年6月度におけるいいね!率が高い企業アカウントのランキングを紹介。
特に、Instagramの中でも人気カテゴリのひとつである、旅行カテゴリのアカウントをピックアップして分析した。なお、ランキング上位にはテレビカテゴリ、特にドラマ関連のアカウントが多いため、10位外のアカウントも取り上げている。
本調査にはInstagram分析ツール「Aista」を利用し、いいね!率ランキングを、フォロワー数規模別に作成した。さらに、各ランキングの中でいくつかアカウントをピックアップし、運用や投稿の特徴を整理、解説する。
Instagram いいね!率 調査方法
・データ提供元について
Instagram分析ツール「Aista」登録アカウント
・データ取得期間
2017年6月1日〜6月30日
・いいね!率の定義
投稿のいいね!数÷投稿時のフォロワー数
・ランキングの用語解説
-カテゴリ:Aista内で振り分けられた分類
-平均いいね!率:期間中の1投稿あたりの平均いいね!率
-フォロワー数:期間最終日のフォロワー数
-投稿数:期間中の投稿総数
-平均ハッシュタグ数:期間中の1投稿あたりの平均ハッシュタグ数
全体サマリー
当記事では、Instagramにおける企業アカウントのフォロワー数別に平均いいね!率によるランキングを作成した(フォロワー数5,000〜9,999、10,000〜49,999、50,000〜99,999、100,000〜)。下記は、作成したフォロワー数別のいいね!率ランキング上位10の平均を比較したものである。
()内は前回(2017年5月度調査)数値
すべてのフォロワー規模において、最も頻出したカテゴリはInstagramと相性が良いと思われるテレビだった。表には掲載していないが、次いで各ランキング上位で頻出していたカテゴリは、映画、書籍・webマガジン、ファッションなど。
平均いいね!率は、いずれのフォロワー規模で前回調査より上昇。特にフォロワー数10,000〜49,999では約6.5ポイントの大幅な上昇。関西テレビ「僕たちがやりました」など、新ドラマのアカウントが牽引した。
フォロワー数5,000〜9,999の企業アカウント
いいね!率ランキングトップ10
平均いいね!率 20.44%(前回19.07%)
平均投稿数 16.4(前回16.8)
平均ハッシュタグ数 9.6(前回8.7)
奈良 長谷寺 / nara hasedera、テレビ朝日フィギュアスケートやテレビ朝日「緊急取調室」などが前回調査に引き続きランクインした。フォロワー数5,000〜9,999人の規模はドラマ関連のアカウントが多くフォロワーの増加スピードが早いため、それ以外のアカウントは新しくランクインしたものだった。
新しい顔ぶれが増えたものの、平均いいね!率は前回から約1.3ポイント上昇、平均投稿数は0.4件減少と大きな変化はなかった。奈良 長谷寺 / nara hasederaやフジテレビ「セシルのもくろみ」、furryrate × 松岡茉優などのアカウントで使用ハッシュタグ数が多く、全体の平均ハッシュタグ数は前回から0.9件増加した。
ピックアップアカウント
ランキング外ではあるが、以下の旅行・観光系アカウントを紹介したい。
HAIMURUBUSHI はいむるぶし(17位:平均いいね!率12.12%)
プロフィール欄に「はいむるぶし~南十字星という名のリゾート~の公式アカウントです。」と記載されているように、沖縄にある観光企業が運営しているアカウントで、2016年2月開設。
本調査時点での投稿数が336件で、6月の月間投稿数が27件とほぼ毎日投稿されるなど、積極的に運用されている。
投稿の特徴は、美しい世界観である。
「ここにしかない、沖縄がある。」と書かれているように、沖縄の鮮やかな海を写している。似たような画角や構図の写真が多く、インスタジェニックな自然に合わせ色鮮やかな世界観をつくっている。
また、「星空カフェ」など幻想的な観光施設も綺麗に写し、まるで沖縄のリゾートを堪能しているような気分にされる。
ハッシュタグは企業名や関連するものに加え、「#okinawatrip」「#resorthotel」など観光向けのハッシュタグを用い、ユーザーからの反応を促している。
投稿:沖縄の鮮やかな海
フォロワー数10,000〜49,999の企業アカウント
いいね!率ランキングトップ10
平均いいね!率 26.63%(前回20.01%)
平均投稿数 21.6(前回24.0)
平均ハッシュタグ数 10.6(前回9.1)
平均いいね!率は前回から約6ポイント上昇と大幅に変化。新たにランクインした関西テレビ「僕たちがやりました」の平均いいね!率が41.83%と非常に高く、全体を牽引した。同アカウントは2017年5月末に開設されて以来、大幅にフォロワー数を伸ばし、本調査時点で46,382人となっている。
その他のアカウントでは、前回調査ではフォロワー数5,000〜9,999にランクインしていた日本テレビ「孤食ロボット」や日本テレビ「架空OL日記」などがフォロワー数を伸ばしランクイン。
テレビカテゴリ、ドラマ関連のアカウントが多い中で、タイ×乃木坂46の旅行カテゴリのアカウントが平均いいね!率31.17%で2位に入った。
ピックアップアカウント
タイ×乃木坂46(2位:平均いいね!率31.17%)
人気アイドルグループである乃木坂46とタイ国政府観光庁のタイアップアカウント。2017年6月19日に最初の投稿がされて以来、大幅にフォロワーが増加しランクインした。
公式サイトと合わせ「こんなタイ、知らなかった。」というコンセプトで運営されており、Instagramアカウントでは公式サイト掲載画像のオフショットを中心に投稿されている。
乃木坂46のメンバーの集合写真などシンプルなオフショットから、「彼女とプーケットなう。に使っていいよ」とソーシャルメディア上での流行をうまく活用したものもある。
また、メンバーによるセルフィーや、メンバー視点の動画投稿など、一緒に旅行をしていると感じさせるような工夫も見られる。
投稿:アンバサダーの集合写真
投稿:「彼女とプーケットなう。に使っていいよ」
投稿:セルフィーやメンバー視点の動画
フォロワー数50,000〜99,999の企業アカウント
いいね!率ランキングトップ10
平均いいね!率 14.61%(前回13.32%)
平均投稿数 34.5(前回36.3)
平均ハッシュタグ数 7.1(前回9.4)
前回に引き続き、ランクインしたアカウントのほとんどがテレビカテゴリ。7位にランクインしているフードカテゴリの居酒屋えぐざいるPARKも、熱狂的なファンが多い人気グループEXILE関連のアカウント。
フジテレビ「人は見た目が100パーセント」やTBS「リバース」など5アカウントが前回同様ランクインしているためか、平均いいね!率は前回から約1.3ポイント上昇、平均投稿数は約1.8件減少したが、大きな変化はなかった。
ピックアップアカウント
ランキング外ではあるが、以下の旅行・観光系アカウントを紹介したい。
はなまっぷ❁日本の花風景(12位:平均いいね!率7.34%)
「花のある風景に花まるを」とプロフィール欄にあるように、花を写した風景を投稿している旅行カテゴリのアカウント。「#はなまっぷ」をつけた投稿を募集しUGCを活用されているアカウントで、綺麗な風景写真が中心。
6月は「#はなまっぷ紫陽花2017」、以前紹介した際には「#はなまっぷ桜2017」と、季節に合わせたテーマで投稿を募集している。いずれのハッシュタグも3〜5万件ほど投稿が集まっているなど、多くのユーザーを巻き込んだコミュニケーションの基盤がしっかりと作られている
投稿:「#はなまっぷ紫陽花2017」投稿募集
投稿:ユーザー投稿をピックアップ
投稿:投稿数が多かったユーザーはスライドショー動画で紹介
京都いいとこフォト(16位:平均いいね!率5.86%)
フォロワー数が多く継続して人気が高い旅行カテゴリのアカウント。UGCを活用しているはなまっぷ❁日本の花風景とはまた違い、観光情報誌「京都いいとこフォト」の3人のフォトグラファーが撮影した写真を投稿する形式をとっている。
京都の人気スポットや穴場スポットの景色や建物を、綺麗に幻想的にみせているところが特徴的。投稿文やハッシュタグはシンプルにすることで、より写真そのものが際立っている。まれに動画投稿も行っている。
投稿:京都タワーの幻想的な夜景
投稿:動画投稿
フォロワー数100,000〜の企業アカウント
いいね!率ランキングトップ10
平均いいね!率 10.46%(前回9.96%)
平均投稿数 24.1(前回19.3)
平均ハッシュタグ数 6.6(前回7.4)
NHK連続テレビ小説「ひよっこ」は、前回調査時ではフォロワー数50,000〜99,999にランクインしていたが、フォロワー数が増加したことで100,000〜に新たにランクインした。
平均いいね!率は10.46%で前回から若干上昇。兄に愛されすぎて困ってますの月間投稿数が105件と非常に多い影響もあり、平均投稿数は前回から約5件増加し24.1件となった。
アカウントプランナー紹介:若月 翼(わかつき つばさ)
1990年山梨県生まれ。早稲田大学スポーツ科学部を卒業後、インターン期間を経てループスにジョイン。在学中はスポーツ政策の学生学会の運営やアスリートの震災復興支援活動のサポートなどを行う。現在は企業のソーシャルメディア活用支援などに従事。最近の興味関心はスポーツ×VR。@tsubasa_waka