バイトテロは「悪ふざけ」では済まない!カインズのバイトテロ事例から学ぶ広報・リスク管理対策

関根健介 | 2024/10/16

バイトテロは「悪ふざけ」では済まない!カインズのバイトテロ事例から学ぶ広報・リスク管理対策

バイトテロとは、飲食店や小売店の従業員が勤務先の食材や設備で不衛生な悪ふざけをし、その様子をSNSに投稿して炎上させる行為です。これにより、企業や店舗は社会的信用を大きく損ない、商品の廃棄や返金、消毒などの直接的な損害が発生します。フランチャイズ店の場合、契約解除や閉店、本部からの損害賠償請求に発展することも。さらに、長期にわたり「不衛生な店」「モラルの低い従業員」といったネガティブなイメージが残り、集客や売上低迷に苦しむケースも少なくありません。

もはや「悪ふざけ」では済まされないバイトテロは、企業の存続を脅かす行為として「テロ」と呼ばれています。行為者は偽計業務妨害罪や器物損壊罪に問われる可能性があり、民事上の責任追及も受けます。

度重なるバイトテロに対し、世間の怒りは増しており、メディアでも重大な社会問題として報じられています。企業には厳正な対処が求められ、従業員を解雇するだけでは納得が得られないことも。そのため、広報・リスク管理担当者は、事例から学び、適切な予防策と事後対応を理解しておくことが不可欠です。

事例の概要:何が起きたのか?

2024年下半期に発生した主なバイトテロ事案の一つとして、ホームセンター「カインズ」の事例が挙げられます。

この事例では、カインズの店舗で従業員がもう1人の従業員に商品のトイレットペーパーを放り投げ、それを売り場に並べる不適切な作業の動画がSNS上で拡散しました。動画には「効率重視」という文字が載せられていたと報じられています。

カインズ広報部によると、この動画は2023年11月に群馬県の店舗で撮影されたものであり、過去のコンテンツが再掲されて炎上したケースであることがわかっています。動画に映っていた2名の従業員は、すでに2024年3月と4月に自己都合で退職しているとのことです。

 

 

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炎上の経過と企業の初動対応

この動画がSNSで拡散し始めたのは2024年10月3日ごろとみられます。従業員の行為については、SNS上で「このくらいの事は問題にならなくていいと思います」「商品綺麗に陳列出来てるし良くない?」といった擁護の声も上がった一方、「商品を投げるってどうなんですかね」「動画に撮ってSNSに晒しちゃうのはまずい」といった批判的な声も上がりました。

カインズ広報部は、J-CASTニュースの取材に対し、2024年10月4日付で事実を認め、「大変ご不安・ご不快な思いをおかけしましたことを心より深くお詫び申し上げます。動画内の行為は、商品をお客様にご提供する企業としてあってはならない行為だと深く反省しております」とコメントしました。

今後の対応については、「今後はこのような事態が発生しないよう、従業員に対する指導・教育の更なる強化と徹底を図り、再発防止に取り組んでまいります」と表明しました。

バイトテロが発生した際には、事実関係を徹底的に調査し、できるだけ迅速かつ正確に公表することが求められます。その上で、消費者に対する真摯な謝罪と当事者の処分、具体的な再発防止策を示すことが、炎上被害を最小限に抑える鍵となります。

 

何が問題だったのか?構造的な視点

カインズの事例に見られるようなバイトテロの背後には、複数の構造的な問題が存在します。

従業員の認識の欠如と「悪意なき」問題行為の増加

カインズの動画に映っていた従業員たちは楽しそうに笑っており、商品を放り投げる行為が悪いという認識がなかった可能性があります。単に楽しかったから投稿した、という見方もできます。

外食チェーン関係者の指摘によれば、最近の10~20代の若者はSNS利用のリスクには敏感なものの、「悪い行為だという認識がないまま」に問題行為をしてしまう従業員が増えていると感じられています。これは、以前のバイトテロが「悪いことだと認識して」行われていたのとは異なる「質の変化」です。例えば、明らかなミスをしても悪いという認識がなく謝罪しなかったり、不衛生な行為に対する問題意識が低いといった傾向が見られます。

人手不足と採用基準の緩和

深刻な人手不足は、企業がアルバイトやパートを確保する上で大きな課題となっています。このため、以前であれば面接の段階で不採用としていたレベルの人材でも採用せざるを得ない状況が生じています。このような採用基準の緩和は、接客サービスや従業員の質低下に拍車をかける要因となっています。介護業界でも同様の問題が指摘されています。

「甘やかし」と指導の難しさ

人手不足の状況下で、企業は従業員を厳しく指導することに躊躇する傾向があります。厳しく言って辞められてしまっては困る、あるいは「パワハラ」だと騒がれることを恐れ、結果として従業員を「甘やかし気味」にしてしまう実態が報告されています。

「カスハラ」の浸透による従業員意識の変化

「カスタマーハラスメント(カスハラ)」という言葉が浸透したことで、従業員側の意識が「クレームを言う客のほうが悪い」という方向に変わってきている点も影響している可能性があります。これにより、顧客からのクレームに対して適切な対応が取れないケースも増えていると指摘されています。

過去の投稿の再炎上リスク

カインズの事例のように、動画自体は2023年11月に撮影されたにも関わらず、2024年10月に再拡散して炎上しました。これは、インターネット上にアップされた情報は「半永久的に残り続けてしまう」という特性を示しており、過去のコンテンツが何らかのきっかけで再び注目され、問題となるリスクがあることを意味します。

この事例から学ぶ!広報・リスク管理担当者が取るべき対策

今回のカインズの事例を踏まえ、広報・リスク管理担当者は以下の対策を講じることが重要です。

効果的なSNS研修の実施

  • 単に「バイトテロはだめ」と伝えるだけでは効果が薄れるため、バイトテロ事件を起こした人が、どんなに悲惨な末路をたどったかを定期的に伝えることが有効です。多額の損害賠償金を求められたり、インターネット上で個人情報が晒され、将来の就職や結婚にも悪影響が及ぶといった具体的なイメージを持たせることが重要です。
  • 「ネット上にアップされた情報は、世界中に発信したのと同じであり、半永久的に残り続ける」という認識を従業員に持たせることが肝要です。
  • 就業規則やSNS利用ガイドラインで企業側の基本姿勢を明確にし、それらを遵守する誓約書の提出を求めることも有効です。
  • シエンプレが提供するeラーニング「従業員向けSNS利用研修」のように、SNSで情報を発信する際の注意点をわかりやすく解説し、個別の企業の状況に応じた研修プログラムを活用することも検討してください。

危機管理マニュアルの策定と体制構築

  • 万一バイトテロが発生した際に、迅速かつ適切な対応を取れる体制をあらかじめ構築しておくことが必要です。
  • 入社時の研修や職場へのスマートフォンの持ち込み禁止といった対策を講じていた企業でさえ、被害に遭うケースがあるため、絶対発生しないとは言い切れないという認識を持つべきです。
  • 企業側は責任者を明確にし、有事の際に現場が混乱して勝手な対応を取ることがないようにしておくことが重要です。
  • 同業他社でバイトテロ事案が起こった際は、「原因」「再発防止策」「被害者がいる場合の補償内容」を調査し、自社でトラブルがあった際に活かせるようにしておくことをお勧めします。

ネットの定点観測(Web/SNSモニタリング)

  • バイトテロによる炎上が起きた場合、どれだけ早く気付けるかが被害抑制のカギとなります。
  • そのため、24時間体制でネット上をモニタリングする体制を構築することが望ましいです。
  • 自社だけでそのような体制を整えるのが困難な場合、最新の炎上トレンドを把握し、リスクシナリオを描ける外部の専門会社に委託することを検討すべきです。シエンプレのWeb/SNSモニタリングサービスのように、専門家による監視を利用することで、バイトテロを発端とした炎上の予防・管理体制を強化することが可能です。

まとめ:広報・リスク管理担当者が今すぐ見直すべき視点

カインズの事例は、人手不足や従業員の意識変化という背景が、従来のバイトテロとは異なる形で企業にリスクをもたらす可能性を示唆しています。広報・リスク管理担当者が今すぐ見直すべき視点は以下の通りです。

  • 従業員一人ひとりのSNSリテラシー向上を最重要視する: これはバイトテロ防止に向けて最も重要な対策です。単なる禁止ではなく、行為がもたらす悲惨な結果を具体的に伝え、自分事として捉えてもらう教育が必要です。
  • 「悪意なき」問題行為への対応: 従業員が「悪いこと」と認識していない行動が増えていることを理解し、基本的なビジネスマナーや衛生管理の重要性を繰り返し、具体的に指導する体制を強化する。
  • 過去のデジタルフットプリントへの注意: 過去に投稿された動画や画像が、時間をおいて再炎上するリスクがあることを認識し、継続的なネットモニタリングで早期発見に努める。
  • 柔軟かつ厳格な採用・育成戦略: 人手不足の中でも、採用基準の緩和が長期的な企業イメージやサービス品質に与える影響を考慮し、入社後の徹底した教育と、問題行動に対する毅然とした対応(ただしハラスメントにならない範囲で)を両立させる方策を模索する。
  • 専門家との連携を検討する: 自社だけでの対応が難しい場合は、風評被害対策やデジタル・クライシス対策を専門とする外部企業(例:シエンプレ)の協力を仰ぎ、予防・管理体制を強化することを検討してください。

企業経営の根幹をも揺るがしかねないバイトテロ防止策の強化は、企業の信頼と安心感を醸成し、持続的な成長のために不可欠です。

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AUTHOR PROFILE

  • 著者:関根健介
ループス・コミュニケーションズ所属。某コンサルティング会社にてWebマーケティングやバイラルマーケティングを経験した後、数年放浪し2011年12月からループスへジョイン。ソーシャルメディアの健全な普及をねがい日々精進しています。関心のあるテーマはO2O・地域活性×ソーシャル・医療×ソーシャル・ソーシャルコマース ま〜ソーシャル全般です。 【座右の銘】 意思あるところに道あり 【Facebook】www.facebook.com/kensuke.sekine.7 【Twitter】 @kensuke_sekine
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