in the looopでは、定期的に企業のInstagram活用調査記事をお届けしており、先日も4月度の調査記事をリリースした。同記事内のランキングでは、フォロワー数5,000人以上かつ上位10アカウントを集計対象としているが、ランキング外のアカウントの中にもユニークな活用をしているアカウントも多い。
そこで今回の記事では、4月度の調査記事では紹介していないアカウントを、特に地方自治体が運営するアカウントにフォーカスして紹介したい。今回もInstagram分析ツール「Aista」を利用している。
Instagram いいね!率 調査方法
・データ提供元について
Instagram分析ツール「Aista」登録アカウント
・データ取得期間
2017年4月1日〜4月30日
・いいね!率の定義
投稿のいいね!数÷投稿時のフォロワー数
・用語解説
-平均いいね!率:期間中の1投稿あたりの平均いいね!率
-フォロワー数:期間最終日のフォロワー数
-投稿数:期間中の投稿総数
-平均ハッシュタグ数:期間中の1投稿あたりの平均ハッシュタグ数
フォロワー数が5,000人を超える人気アカウント
まずは、過去の調査記事でも紹介した2アカウントを、改めて紹介したい。
横浜市(フォロワー数 14,280人、平均いいね!率 6.65%)
2016年7月に開設されたアカウント。今回取り上げるアカウントの中では最もフォロワー数が多い。
4月度の投稿数は30件で、1日1件の頻度で投稿されている。プロフィール文を含め投稿文は全て英語で記載されており、主に外国人観光客をターゲットに運用されていると考えられる。投稿はいずれもクオリティが高く、Instagram内のトレンドをうまく取り入れている。
投稿:観覧車を映す動画投稿
ハッシュタグ「#MyYokohama」を用いて横浜市の観光スポットを紹介。ほとんどの投稿は「#MyYokohama」で投稿された画像を用い、投稿者のアカウント名を入れて投稿している。同ハッシュタグを用いた投稿は、5月31日時点で13,000件を超えている。
投稿:ユーザー投稿の活用
愛知県田原市(フォロワー数 8,518人、平均いいね!率 9.77%)
横浜市同様に2016年7月に開設され、4月度の投稿数が30件と1日1件のペースで投稿されているアカウント。オリジナルハッシュタグ「#たはら暮らし」や地名に関するハッシュタグを活用。加えて、InstagramersJapan主催のハッシュタグ「#igersjp」にも参加し、アカウントの認知拡大を図っている。
ユーザーからの投稿を呼びかけている「#たはら暮らし」は、今年2月時点で投稿数が5,000件程度だったが、5月31日時点で9,000件を超えており、約2ヶ月で4,000件ほどの投稿が発生した。
2017年1月度の調査記事で紹介した際は田原市の景色を写した写真の投稿が多かったが、4月度は店舗内や料理の投稿も増加している。
投稿:店舗内や料理の投稿
以前からユーザーのコメントに対して返信を行うなど積極的なコミュニケーションが見られ、さらに「#なんか自転車乗りたい気分」「#でも二人乗りはだめだよ」など文章化されたハッシュタグを使用することで、親しみやすさを出している。
投稿:親しみやすいハッシュタグ活用
ユーザーからの投稿を積極的にキュレーティング
次に、横浜市のようにユーザー投稿を活用している事例を紹介する。
和歌山県(フォロワー数 4,564人、平均いいね!率 10.37%)
2015年から運用されており、4月度の投稿数は20件で土日を除き毎日投稿されている。平均いいね!率も10.37%と高い。平均ハッシュタグ数が18.0件と非常に多く、「#和歌山県」「#wakayama」など和歌山県関連のハッシュタグを日本語と英語で投稿したり、「#wakayamagram」などInstagram特有のものも用いている。
運用の大きな特徴としては、「#insta_wakayama」に寄せられたユーザーの投稿画像を用いている点である。投稿者のアカウントを記載した上で、解説や感想がボリュームたっぷりに書かれている。
アカウント開設時から「#insta_wakayama」が活用され、当初は本アカウント含め部門ごとに4アカウントを開設し認知度の拡大を図っていた。同ハッシュタグへの投稿は5月31日現在で53,000件を超えており、ハッシュタグの活用が浸透している。
兵庫県(フォロワー数 3,103人、平均いいね!率 11.83%)
2017年1月に開設され、順調にフォロワー数が増加している。4月度の投稿数は30件で、土日を除き1日1〜2件の投稿頻度と、積極的に運用している。
アカウント開設時に「県民参加型のインスタグラム」と発表しているように、「#lovehyogo」のオリジナルハッシュタグに寄せられたユーザーの投稿画像を活用している。アカウント開設から4ヶ月ほどだが、5月31日時点で同ハッシュタグに寄せられた投稿は9,000件を超えている。
また、同県出身の著名人とも協力しており、フォロワー数12万人を超える朝比奈彩さんからは兵庫県をタグ付けした投稿も見られ、フォロワー数急増の要因のひとつになっていると考えられる。
投稿:ユーザー投稿の活用
投稿:兵庫県出身の著名人との協力
朝比奈彩さんによるタグ付け
Instagramを超えたイベントの開催
平塚市(フォロワー数 2,129人、平均いいね!率 18.52%)
本アカウントも、オリジナルハッシュタグ「#hiratsukagood」を用いてユーザーの投稿を促しているが、愛知県田原市と同じように投稿自体はオリジナルの画像を使い、ユーザー投稿は活用していない。
プロフィール欄に「『手をつなぎたくなる街 湘南ひらつか』の暮らしをお届けします。」と記載があるように、投稿内容は平塚市の情景や生活の様子がわかるものが多い。「#海辺の暮らし」など生活を連想させるハッシュタグを用いている他、「#ここはどこでしょう」「#わかったらコメントしてね」などユーザーとのコミュニケーションを図る投稿も見られる。
投稿:生活の様子がわかるものやコミュニケーションを図る
また、「#hiratsukagood」のハッシュタグは、アカウント開設当初はまずフォトキャンペーン形式で活用され、平塚市のアカウントで紹介されるだけでなく同市の広告媒体にも活用された。
最近では、「平塚の海」をテーマに写真展「#hiratsukagood展」が開催され、ハッシュタグに寄せられたユーザー投稿が実際に展示されるなど、Instagramの枠を超えた展開が特徴的だ。
ピックアップ・ポイント
地方自治体のInstagram活用では、地域の見どころである綺麗な風景や生活の様子を紹介することはもちろん、ハッシュタグを用いて多くのファンを巻き込むような運用が目立つ。ハッシュタグに寄せられたユーザー投稿をアカウントで紹介するだけでなくキャンペーンやリアルイベントにつなげるなど、Instagramの枠を超えて地域を盛り上げようとする意図も感じられた。
アカウントプランナー紹介:若月 翼(わかつき つばさ)
1990年山梨県生まれ。早稲田大学スポーツ科学部を卒業後、インターン期間を経てループスにジョイン。在学中はスポーツ政策の学生学会の運営やアスリートの震災復興支援活動のサポートなどを行う。現在は企業のソーシャルメディア活用支援などに従事。最近の興味関心はスポーツ×VR。@tsubasa_waka