MAUが7億人、DAUが4億人を超えたInstagram。若い世代への人気が高く、「消える」投稿であるInstagram Storiesは特にティーン世代(13〜18歳)の間で非常に活発に使用されている。
最新の企業のInstagram活用状況をお届けする。2017年7月度におけるいいね!率が高い企業アカウントのランキングを掲載。今回は、調査期間内もしくはそれに近いタイミングで公開された映画のアカウントを紹介する。
本調査にはInstagram分析ツール「Aista」を利用し、いいね!率ランキングを、フォロワー数規模別に作成した。さらに、各ランキングの中でいくつかアカウントをピックアップし、運用や投稿の特徴を整理、解説する。
Instagram いいね!率 調査方法
・データ提供元について
Instagram分析ツール「Aista」登録アカウント
・データ取得期間
2017年7月1日〜7月31日
・いいね!率の定義
投稿のいいね!数÷投稿時のフォロワー数
・ランキングの用語解説
-カテゴリ:Aista内で振り分けられた分類
-平均いいね!率:期間中の1投稿あたりの平均いいね!率
-フォロワー数:期間最終日のフォロワー数
-投稿数:期間中の投稿総数
-平均ハッシュタグ数:期間中の1投稿あたりの平均ハッシュタグ数
全体サマリー
当記事では、Instagramにおける企業アカウントのフォロワー数別に平均いいね!率によるランキングを作成した(フォロワー数5,000〜9,999、10,000〜49,999、50,000〜99,999、100,000〜)。下記は、作成したフォロワー数別のいいね!率ランキング上位10の平均を比較したものである。
()内は前回(2017年6月度調査)数値
どのフォロワー数別においても、最も頻出したカテゴリは前回調査に引き続きテレビカテゴリだった。フォロワー数100,000〜のみ、ファッションもテレビと同数が頻出。いずれもInstagramと相性が良いカテゴリだ。
平均いいね!率は、フォロワー数5,000〜9,999、10,000〜49,999では低下し、フォロワー数50,000〜99,999、100,000〜では上昇。前回調査時に平均いいね!率が高かった関西テレビ「僕たちがやりました」や日本テレビ「過保護のカホコ」などの新ドラマのアカウントのフォロワー数が増え、50,000〜99,999や100,000〜のランキングに属するようになった影響が大きい。
全体的に平均ハッシュタグ数は減少傾向であった。
フォロワー数5,000〜9,999の企業アカウント
いいね!率ランキングトップ10
平均いいね!率 16.16%(前回20.44%)
平均投稿数 17.7(前回16.4)
平均ハッシュタグ数 9.3(前回9.6)
7月22日公開の新映画、実写映画『心が叫びたがってるんだ。』が1位となった。他の規模のランキングでは、ドラマ関連のアカウントが上位に入る中で、フォロワー数5,000〜9,999人の規模は奈良 長谷寺 / nara hasedera、川越氷川神社と寺社仏閣のアカウントが継続して高い人気を誇っている。
平均いいね!率は前回から約4.3ポイント低下。平均投稿数と平均ハッシュタグ数は大きくは変わらなかった。
ピックアップアカウント
実写映画『心が叫びたがってるんだ。』(1位:平均いいね!率21.64%)
7月22日公開の映画で、アカウントの開設は2017年3月。開設以降、ゆるやかにフォロワー数が増加しており、公開間近となった今回の調査のタイミングでフォロワー数が5,000人を突破し、ランクインした。
運用の特徴は、投稿数の多さと投稿頻度の高さだ。7月の投稿数は66件で、他のアカウントより2倍以上多い。
7月の前半は1日1投稿の頻度であったが、公開10日前ほどから1日の投稿数が増加。多い時は、1日5件ほど投稿しており、公開に向けてカウントダウン投稿などを行いながらInstagram上での情報量を増やしていることがわかる。
人気アニメの実写映画ということもあるのか、「#ここさけの世界」「#ここさけ名ゼリフ」といった映画の世界観やワンシーンを切り取った投稿への反響が大きい。映画の内容を小出しにすることで、公開に向けて期待感を醸成している。オリジナルのハッシュタグを用いてシリーズ化している。役の心の中を表した「#順のメモ」も人気である。
投稿:公開までのカウントダウン投稿
投稿:映画の世界観やワンシーンを切り取った投稿
フォロワー数10,000〜49,999の企業アカウント
いいね!率ランキングトップ10
平均いいね!率 22.07%(前回26.63%)
平均投稿数 21.9(前回21.6)
平均ハッシュタグ数 9.4(前回10.6)
平均いいね!率は前回から約4ポイント低下。前回平均いいね!率が圧倒的に高かった関西テレビ「僕たちがやりました」のフォロワー数が増え、10,000〜49,999のランキングから外れたことなどが要因にあげられよう。
その他のアカウントでは、映画「ジョジョの奇妙な冒険」やタイ×乃木坂46、日本テレビ「孤食ロボット」、C-TIVEなどが前回に引き続き上位にランクイン。顔ぶれは前回からほとんど変わっていないため、平均投稿数と平均ハッシュタグ数は大きくは変化はなかった。
ピックアップアカウント
映画「ジョジョの奇妙な冒険」(1位:平均いいね!率27.21%)
8月4日公開の映画アカウント。前回調査でも平均いいね!率28.26%でフォロワー数10,000〜49,999にランクインしており、今回も引き続き高い平均いいね!率で同規模のランキング1位となった。
投稿数は前回同様に22件で、1日1件弱の投稿頻度を継続し、安定した運用を行っている。
実写映画『心が叫びたがってるんだ。』同様に人気アニメの実写映画であるが、独特の世界観を持つ作品でキャラクターの個性が強いことが特徴。そのためか、作中では見せないような出演者の素顔やコミカルな様子を写したオフショット投稿が好まれている。オフショット投稿には、ハッシュタグ「#メイキング」を用いている。
その他、公開に向けたカウントダウン投稿やイベント紹介、PV紹介投稿を行っている。
投稿:人気が高いオフショット投稿
投稿:カウントダウン投稿やイベント、PV紹介
フォロワー数50,000〜99,999の企業アカウント
いいね!率ランキングトップ10
平均いいね!率 14.74%(前回14.61%)
平均投稿数 27.2(前回34.5)
平均ハッシュタグ数 6.4(前回7.1)
映画『銀魂』、日本テレビ「フランケンシュタインの恋」、居酒屋えぐざいるPARK、など5アカウントが前回に引き続きランクイン。日本テレビ「フランケンシュタインの恋」の投稿数が前回66件だったのに対し今回は1件と大幅に減少した影響もあり、ランキング全体の平均投稿数は前回から7件ほど減少した。
前回に引き続き、ランクインしたアカウントのほとんどがテレビカテゴリということもあり、平均いいね!率や平均ハッシュタグ数に大きな変化は見られない。
ピックアップアカウント
映画『銀魂』(1位:平均いいね!率20.15%)
7月14日公開の、人気アニメの実写映画アカウント。2017年4月のアカウント開設以降、急激なペースでフォロワーを伸ばし前回からフォロワー数50,000〜99,999のランキング上位に入っている。
映画公開までは登場人物単体を写した投稿やPV投稿が中心で、出演者の普段の様子を写したオフショット投稿が少ないことが特徴的だ。4〜7月における投稿でもオフショット投稿はみられたが、いずれも作品の世界観を壊さないような、作中のキャラクターの表情を残した投稿が多い。
逆に映画公開以降は、動画投稿にてメイキング映像を載せ、出演者の撮影の様子や素顔を紹介している。
投稿:映画公開までの投稿
投稿:映画公開以降のメイキング映像投稿
フォロワー数100,000〜の企業アカウント
いいね!率ランキングトップ10
平均いいね!率 11.78%(前回10.46%)
平均投稿数 29.5(前回24.1)
平均ハッシュタグ数 5.7(前回6.6)
ランキングの顔ぶれは大きく変わらず、前回に引き続き映画「ひるなかの流星」やNHK連続テレビ小説「ひよっこ」が上位にランクイン。このフォロワー規模では、上位のアカウントは継続して平均いいね!率が高い。
その中で、新たに関西テレビ「僕たちがやりました」がフォロワー数を一気に伸ばし、2位に位置づけた。ドラマの放送自体が好調で印象的なキャラクターやポーズが印象的であることから、オフショットを多用した運用が人気を博している。
アカウントプランナー紹介:若月 翼(わかつき つばさ)
1990年山梨県生まれ。早稲田大学スポーツ科学部を卒業後、インターン期間を経てループスにジョイン。在学中はスポーツ政策の学生学会の運営やアスリートの震災復興支援活動のサポートなどを行う。現在は企業のソーシャルメディア活用支援などに従事。最近の興味関心はスポーツ×VR。@tsubasa_waka